表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
災害小説  作者: 田芳治
7/8

第六話 佐藤優衣の寝室

「はあ?(Pardon me?のニュアンスで)」

 私はこの得体の知れない人?の言っていることが何もわからなかった。うっとりしている場合ではない。私は上体を起こす。間接照明が淡い橙色の壁。広い。視線を落とすと、これは布団? ベッド? なら寝室? 天井を見る。天蓋。どうやら1人用のベッドの上にいる。それもかなり高級な。少なくともここは自宅ではない。私の自宅は都内の生活保護受給者が多く住む都営団地だからだ。左を見る。背の高い窓。大きなベージュのカーテン。日はもう差していない。なら夜だが、今日の夜……だよな? 正面には木製のドア。部屋の隅にはミロのビーナスに似た裸像。右には誰かの肖像画。佐藤優衣さんに似ている? どうやらこの部屋には白粉おしろいでも塗りたくったかのような真っ白な人?と私以外は誰もいないらしい。「おい。鈴木悠斗。わしを忘れるな。」あとメーデンもいるの……か。


「ああ、そうか。ぼく(二人称の意味)には私の言うことが伝わらないか。困ったな。通訳や翻訳機などないしな。」

 全体にフィットするタートルネックの真っ白なボディスーツのようなものを着ている、皮膚も真っ白な生命体が何か言っている。しかし彼或いは彼女がなを言っているのか私にはさっぱりわからない。まさにバルバロイ。訳のわからぬ言葉を喋る者なり。なんて差別的か。……しかしながらどうしよう。ってか佐藤優衣さんと佐藤優衣さんのご尊父は? いや、敬語使ってるのが変かも知れないけど。刺したり殺そうとしてきたりしたから。てか意味わからん。何が私がこの世のものでなくなるだ。つまらねえギャグ言いやがって。わざと言葉遣いを悪くして言うディス。しかしあのときの彼らが偽物とかいう可能性もあるんじゃないのか? 佐藤優衣さんとは佐藤優衣さんがトイレに行く旨を伝え席を立ちダイニングを出たっきり、佐藤優衣さんのご尊父とは私がダイニングから出たっきり、私目線からは二人がお庭に出て私と合流したときまでの間、空白期間がある。その間何者かとすり替わったりなんてことはしてないのだろうか? 佐藤優衣さん或いは佐藤優衣さんになりすました何者かはあのとき確か「私の頭の中の存在が目的」みたいなことを言っていなかったか? それってメーデンのことだろう。もしそうなら、佐藤優衣さんはなんでメーデンのことを知っているんだ? メーデンのことは読者以外には誰にも言ったことはないのに。まさか読者に間者が……。いや、住む時空も次元も世界も違うからそれはないだろう。しかし本当に何がどうなっているんだ? というか寧ろこれは夢なんじゃないか?? 典型的な頬をつねって夢か現か確かめるなんて選択肢が頭に浮かんできたが、私の美しい顔が傷つく恐れがあるから御免被る!!!


「鈴木悠斗。これは夢ではない。これは現実じゃ。」

 メーデンの声が私の頭に響く。ってかメーデンなら何か知っているんじゃないか? いやそもそも幼女妖精ってなんだよ。冷静に考えたらおかしいだろ。脳内に住んでるってなんだよ。ファンタジーの世界じゃないんだからあり得ないだろ。コモンセンスで考えてさ。私は1ヶ月分の悪夢を見ていたのではないか? 今年の3月に高校を卒業してから今まで何かがずっとおかしい。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ