表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
七日記(なぬかじるし)  作者: 丁八
2/11

第一章 - 七月一日(日) 曇 続

 七月一日(日) 曇 続き


 なんかすごいことになりました。

 来たのはお仕事関連のじゃなくて、人探しを依頼でした。

 こんなの久しぶりですね、最後にろくに探偵をやっていたのはいつでしたか?少なくとも映子さんが瞭司を身ごもっていた時、いや、式をあげてからやめていた話でしたね。お付き合い始めたばかりの頃はまだ探偵みたいな依頼何回か受けてましたね。家系は家系で、こういう依頼がうちに転がり込んでくるこそ、若い頃はお金にはあまりこまらなかったものですから。でも昔のことは日記に書いても、あとで読み返す時に困るだけですから、思い返すのは頭の中だけにしましょう。「今日」を書かなきゃ。

 依頼の内容は以下通りです。

 「シンガーVtuberの海幸ジョッキーさんが行方不明に!一体何があったのですか!?

  おやや?どうやら最近関係者だと思われる人が映ってる動画がキーですね~

  ならばここはプロの人に出場してもらいまっっしょー!

  噂のあなたの腕が、見たいです。」


 短い文章ほど、ボロが出にくい。にしてもそれ以前にこの方、挨拶が下手ですね。

 第一感想はさておき、メールアドレスはランダムに生成されたもので、ドメイン名は見たことがありません。おそらく使い捨てのものでしょう。何らかの事件が起きて警察にお願いしない限り、一般人にはこれの追跡は無意味で無理に等しいと判断してもよいでしょう。むしろ迷惑メールのフィルターにかからなかったのは驚くべきである。

 それともう一つ、テキストの下にURLが二つ添えてあります。

 こちらに関してもとてもとても興味深いですが、何分電脳技術は日進月歩であるため、アンチウィルスソフトがあっても、僕みたいなじじいになると迂闊に開くことをためらいます。

 そして何より、この書いてある「シンガーVtuber」が何なのかはさっぱりわかりません。「Vtuber」や「Youtuber」というの言葉自体は、最近のネットニュースのコタツ記事のタイトルではよく見ますが、正直にこの歳の自分はあまりにも疎い。とはいえ、これを完全にいたずらの迷惑メールと捉えるのも間違いであろうと、何故か心の中の自分はそう言っている。

 よって、以前仕事でお世話になってる種田さんに電話をして、この件を伝えました。転送したメールを見て同じく興味を湧いた彼女に、この「シンガーVtuberの海幸ジョッキー」についての説明と情報、そしてURLのリンク先の確認についてお願いしてみました。まず電話で得た簡単な説明は「素顔を出さないタレント」という。なるほど閣下かという僕の口走りが笑われてしまいました。そこでさらに得た説明は「インターネットで加工して売る閣下」。分かりやすくて助かりました。続いて彼女に確認を取ったところ、案外その行方不明はデマではなかったみたい。少し調べてから詳しくまとめてくれるみたいで、明日の午前中にまた連絡すると言ってくれました。

 依頼料も提示されていないのに、何十年もブランク開けている探偵業を再開するか、と不思議そうにたずねられました。「少々気になってただけ」と答えた僕を、ロマンチストと呼んでくれました。

 それはそうとも。ロマンチストでなければ、映子さんと結ばれる僕でもなかったですよ。

 ともあれ、詳しい状況説明を待つことにしましょう。


今日の備忘録:早速夕ご飯を決めて、シャワーを浴びる。寝る前に自分でもVtuberとやらを検索してみよう。

 瞭司は昼寝をしているみたいで、邪魔はしないことにしました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ