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七日記(なぬかじるし)  作者: 丁八
11/11

第十章 - 七月七日(土) 晴

 七月七日(土) 晴


山跡庭 鳴きてか来らむ 霍公鳥 汝が鳴くごとに 無人思ほゆ


 今日の短歌は先にここに書こうと思います。

 色々考えました。

 多分僕は、昔を思い出したからやっているわけではありません。

 逃げたかっただけです。

 昨日の憤慨は、自分に向けての感情でもありました。

 ですから、先程、思いっきり瞭司の部屋に入ってみました。

 とてもおかしな話です。こんなに身近なのに、ずっとあそこに入るのを拒んで、半ば開いたドアからだけ覗く、そんな勇気しかありませんでした。

 開けたら、瞭司がいました。

 いつもみたいに机ではなく、僕に面と向かって、椅子に座ってました。記憶の中と変わらない顔で。

 その顔を見て、僕は何も言えませんでした。入る勇気は湧いたものの、言うべきことは何も考えませんでした。頭の中は真っ白。何故でしょうか。

 そこで、座っている瞭司は僕に言うんです。

 父さん、もう15年経ったんです。

 父さん、あの事故は父さんのせいじゃない。


 もうわたしを、母さんの元に行かせてくれ、と。


 この15年間、悪夢をする度に、あの時の痛みを思い出す度に、直面するべきでした。

 認めたくない一心で、自分の息子をここに縛り続けてきました。

 「ごめんなさい」と言うべきなのに、その場でどうしても声は出せませんでした。

 気が付いて顔を上げたら、もう瞭司も部屋の中の物もなくなってしまいました。

 それも当然のはず。事故があった直後、僕と映子さんが片付けたのですから。

 逆戻りしたいのは、僕でした。

          ■

 ■の■■

 この日記は続いて書きますが、今日はここま■にします。

 ちょっと前がうまく見えませ■■ページも濡らしてしまいました。

 気持ちを整えましたら、日記を再開しましょう。

■さようなら。また次の日で。

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