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棄てられ皇子の煩悶 :不遇の皇子は運命に抗い、自らの道を切り開く!  作者: 聡明な兎
第一部 棄てられ皇子の煩悶
2/31

墓守の継承者 ~双頭の従魔と心の闇~

「ルー坊は才能があるし、優秀じゃな。真面目(まじめ)に修練もしておるし、墓戸(はかべ)の一族は、安泰(あんたい)じゃて」


 カッ、カッ、カッ――と、(ぼく)、ルーカス・メルラの 祖父ヤニスは、顔に刻まれた深い(しわ)(ゆが)ませ、乾いたしわがれ声で笑った。

 その笑い声は、山の谷間に響き渡り、深い翠緑(すいりょく)の森に(ひそ)む悪い妖精(ようせい)(ささや)いたかのように、空気を重くする。

 

 祖父はかつての名声を誇りにしているが、その哄笑(こうしょう)の裏に(ただよ)う皮肉は、僕の心を暗くした。


 司令官(ストラテゴス)の職の座を父に(ゆず)った祖父は、僕に魔術(まじゅつ)奥義(おうぎ)を伝授してくれている。外見や話し方は老人そのものだが、実力は、いまだに健在だ。


 品のない感じがして(まゆ)をひそめそうになるが、これを押し留めて無表情を装う。

 いつものことだし、慣れたものだ。とはいえ、心の中ではやはり、何かが引っかかる。


「優秀……か……」


 祖父が去り静寂(せいじゃく)が訪れた後、一人残された僕は、(しの)()(ひと)()ちた。

 祖父の言葉に、悪気(わるぎ)はない。だが、手放しでは受け入れられなかった。


 わかっている。

 僕は、生来、極端に気が弱い性格で、何をするにも惰弱(だじゃく)だ。

 あの聖母のように優しい母でさえ、近づいて声をかけるには勇気がいる。


 武術や魔法(まじゅつ)の修行、そして学問も、叱責(しっせき)されるのがいやで、流されるままに行っているだけ。

 祖父の指示に素直(すなお)に従うのも、反抗する勇気がないからだ。


 その結果が「優秀」という評価。

 気がめいるばかりだ。


 自分も男であるから、物語の英雄譚(えいゆうたん)などを読むと、胸は高鳴り、心が(おど)る。

 だが、読み終わって、空想の世界から現実に(もど)ったときの空虚感(くうきょかん)といったらない。


 今のままでは、いけないと思うものの、何をどうしたらいいのか、雲をつかむようでわからない。

 主体性の欠如(けつじょ)幻滅(げんめつ)する。


 それでは、僕は不幸なのだろうか? いや、そんな考えは贅沢(ぜいたく)なのだ。


 もっと深刻な不幸にあえぐ人々は、世の中に数え切れないほどいる。


 食うに困る下層民や奴隷(どれい)、異なる容姿だけで差別や迫害を受ける獣人種(じゅうじんしゅ)など、いくらでも例は挙げられる。

 彼らに比べれば、僕の悩みなど些細(ささい)なものだ。


 このような状況下で、僕は周囲に迎合(げいごう)し、ただただ流れに身を任せる生活を送っていた。




     ◆




 一〇歳となったある日。魔法(まじゅつ)の修養のときに、何の前触れもなく厳しい声で祖父は言い放った。


「ルー坊は、もう一〇歳。そろそろ従魔の一匹や二匹は従えられるじゃろ。やってみなさい」


 従魔の召喚術(しょうかんじゅつ)は学んでいるが、正直(しょうじき)自信がない。

 意を決して率直に尋ねる。


「悪魔エリゴモリーの眷属(けんぞく)あたりで、よろしいですか?」

「何じゃと?」と祖父の(まゆ)(しわ)がより、その後黙り込んだ。


 (ちょっとレベルが低かったかな……?)

 

 だが、否定されなかったので、早速詠唱(さっそくえいしょう)に移る。

 まごまごしていて、(しか)られたら大変だ。


 朝の冷たい空気が漂う山腹の荒野の中央に立ち、深く息を吸い込んだ。指先がかすかに震え、冷や汗が額を伝う。

 意を決して、呪文を唱え始めた。


「悪魔エリゴモリーよ、我が声を聞け。

 (われ)(なんじ)の友であり、(なんじ)()が盟友である。

 ()が敵に恐怖と混乱をもたらす機会に、その凶悪な音を響動(どよめ)かせよ! ――」


 地面に魔法(まほう)陣が浮かび上がり、淡く不気味(ぶきみ)暗赤色(あんせきしょく)の光を放ち始めた。

 周囲の空気がぐっと冷たくなり、息をするたびに胸に冷気が刺さるような感覚が広がる。


 魔法(まほう)陣の中心から、黒い(きり)がゆっくりと立ち(のぼ)り、まるで何か得体(えたい)の知れない存在が目覚めるかのように、濃く、重く、空間を()め尽くしていく。

 その(きり)は、影のように広がり、やがてあたり一面を包み込んだ。


 頭上の木々はざわめき、鳥たちは鳴き声をあげて飛び()った。


 何かが異常だ――ただの召喚(しょうかん)ではない……。


 大気が(うな)り、土の臭いが湿気(しっけ)とともに(ただよ)い始める。

 

「――鳴り響け、鳴り響け、鳴り響け! 響き渡り、()が力に従え!

 今ここに(なんじ)眷属(けんぞく)(つか)わし、()が従魔とせしめよ! ――」

   

 言葉が発されるたび、周囲の空気がさらに重くなる。

 魔法(まほう)陣の光はますます強まり、地面が震えるような音を立てた。


 召喚(しょうかん)されるはずの眷属(けんぞく)は、ただの冥界(めいかい)の犬。ただそれだけの力を込めたつもりだった。

 しかし、何かが違う……何かが……僕は違和感を禁じ得ない。


「――世々(よよ)限りなきエレシアと神々の統合のもと、実存し、 君臨する冥界女王(めいかいじょおう)へサロアを通じ、ルーカスが命ずる。喚起(エヴォカティオ)!」 

 

 ますます濃くなった黒い(きり)渦巻(うずま)き始める。僕は、その異様な光景に(まゆ)をひそめた。


 (きり)は通常の召喚(しょうかん)とは比べものにならないほど濃く、冷たい(やみ)のように広がっていく。

 そして、その中心から、恐ろしい低音の(うな)り声が響いた。


「え……?」


 瞬間、息をのんだ。初級レベルの召喚獣(しょうかんじゅう)ではない。

 

 ――これは何か、違う……。


 (きり)の中から現れたのは、ただの冥界(めいかい)の犬ではなかった。

 巨大で、漆黒(しっこく)の毛並みを持つ双頭(そうとう)の犬――それは、頭が三つある地獄(じごく)の番犬・ケルベロスの(ともがら)にほかならない。これは完全に上位の冥界(めいかい)(けもの)だ。


 双頭(そうとう)の犬の(ひとみ)は、(やみ)に燃える赤い(ほのお)のようで、二つの頭が鋭い(キバ)()き出しにしている。


「くっ――何で……?」


 僕は後ずさろうとするが、恐怖で足が動かない。(のど)(かわ)き、心臓が激しく打ち始める。

 こんな恐ろしい(けもの)召喚(しょうかん)するつもりではなかった。自分の中で何かが暴走(ぼうそう)しているのだ。恐怖が僕の全身を駆け巡った。


 グルーッ! ――と、威嚇(いかく)(うな)り声をあげながら、双頭(そうとう)の犬は僕にじりじりと近づく。

 二つの頭が、それぞれ異なる音で(うな)り、口からは熱い息が立ち上っていた。


 惰弱(だじゃく)な僕は、如何(いかん)せん、こんな化け物を凌駕(りょうが)する覇気(はき)を持ち合わせていない。


 僕を(にら)双頭(そうとう)の目には、従魔になろうという融和的(ゆうわてき)な心は皆無に見える。

 目の前に立つ僕を格下とみて、支配しようとする野性の欲望だけが宿っている。


 従魔は、召喚(しょうかん)して終わりではない。

 従えるには、主人としての絶対的な強さを示し、服従させたうえで、契約(けいやく)(むす)ばなければならない。しかし……


「まずい……!」


 必死に(のが)れようとしたが、足がすくんで動かない。

 次の瞬間、双頭(そうとう)の犬は、殺気(さっき)とともに襲いかかってきた。


 咄嗟(とっさ)に体をひねり、かろうじて(きば)の一撃をかわす。

 

「くっ‼」

 次の瞬間、重く鋭い前足の一撃が風を切って僕の左肩を襲う。(つめ)が肉を(えぐ)り、鋭い痛みが背中にまで走った。

 肩口から熱い血が噴き出し、()けた衣服の隙間(すきま)(つた)って(したた)り落ちる。


 痛みは鋭く、胸が激しく上下し、世界が一瞬(ゆが)んで見えた。

  だが、その痛みで意識が朦朧(もうろう)とした刹那(せつな)――心の中に(ひそ)んでいた奇妙な感情に気づいた。


 墓戸の一族として、格闘術や武術はひととおり(たた)き込まれてはいる。


「くそっ! 剣でも(やり)でも武器を持ってくるべきだったか!」


 魔法(まじゅつ)の訓練と思い込んでいたせいで、何の備えもしていなかった。

 なんと浅はかな……「後悔(こうかい)先に立たず」とはこのことだ。


 (しの)び寄る死の影を感じる。同時に、首筋のひやりと()でるような感覚が全身を(おお)った。

 だが、その感覚が――不思議なことに――意識の深層の本能めいた異様な感情を呼び起こした。


「逃げるな……戦え……」


 心の奥底から声が聞こえるようだった。

 恐怖にすくんでいたはずの体が、急に熱を帯びていく。


 もはや、己の肉体を武器に戦うしかない。

 とはいえ、死線を(くぐ)るような戦闘は初めて。訓練では、ここまで追い込まれ、緊迫(きんぱく)することはなかった。だが――、


「急所は、人間であれ犬であれ同じだ!」


 今度は、こちらから()める番だ。

 次の瞬間、自然と体が動いていた。思考よりも先に体が反応し、双頭(そうとう)の犬の急所に向かって(こぶし)(たた)きつけていく。


 二つの頭の片方の(あご)(とら)え、骨が折れる音が響く。双頭(そうとう)の犬が(うめ)き、後退した。


「はは……!」


 気づけば、僕は薄ら笑いを浮かべていた。

 奇妙な愉悦(ゆえつ)の感情が心の底から()き上がる。こんな危機的状況にもかかわらず、極限の命のやりとりに燃え上がる戦意を(おさ)えることができなかった。


「もっと……もっとだ……!」と、心の中で何かが叫んでいた。


 僕は、それに従うかのように、再び双頭(そうとう)の犬に突進した。(こぶし)と足で、繰り返し(けもの)の急所を(ねら)う。

 双頭(そうとう)の犬は(うめ)き、血を流しながら地面に倒れたが、僕の攻撃は止まらない。犬をいたぶることが楽しくてしょうがない。


「何やってるんだ……!」と、頭の片隅(かたすみ)で、理性が警告を発する。だが、その声は徐々に遠のいていく。


 双頭(そうとう)の犬は、ついに完全に動かなくなった。


 はぁ、はぁ――と、荒い息をつきながら、血まみれになったその姿を前にして、僕は立ちすくんでいた。

 体は痛みを覚えているのに、心は高揚感(こうようかん)で満たされていた。


「……僕は……どうして……?」


 ゆっくりと血まみれの(こぶし)を見つめた。そこには、自分が思いもよらない力――そして残虐(ざんぎゃく)本性(ほんしょう)(ひそ)んでいた。


 僕は(ひざ)をつき、犬の首に手を()ばした。

 残虐(ざんぎゃく)に戦い、相手をいたぶることに快楽を覚えた自分がいたのだ。

 

 僕は身震いした。戦いに勝利したはずなのに、心の中で芽生えたこの感覚が恐ろしかった。


「僕は……いったい、何をしているんだ……?」


 その問いに答える者は誰もいなかった。

 勝利の代償(だいしょう)として芽生えたものは、力だけではなく、僕自身の心の(やみ)でもあった。


 血まみれ冥界(めいかい)の犬は、息も絶え絶えに、よろよろと服従のポーズをとった。


 我に返り、すぐに従魔契約(じゅうまけいやく)詠唱(えいしょう)に入った。


冥界(めいかい)の犬よ、()が声を聞け。

 (なんじ)の名はマグナス。(われ)(なんじ)との契約(けいやく)を誓う。

 汝は()が命令に従い、(われ)(なんじ)の忠誠に(むく)いる。

 (なんじ)の名を()が心に刻み、(われ)の名を(なんじ)(たましい)に刻め。

 (われ)らは一心同体(いっしんどうたい)となり、永遠に分かたれぬ。かくあれかし(アーメン)


 これで「マグナス」と名付けた冥界(めいかい)の犬が従魔となった。


 マグナスは、先ほどまでの凶暴さを完全に失い、手のひらを返して、クーンと甘えたような声を上げている。


「わかったよ。今、傷を治してやるから」


 マグナスを治癒魔術(ちゆまじゅつ)で回復させると、緊張(きんちょう)の糸が切れたのだろう──左肩が痛み、思わず顔をしかめた。

 顔をしかめながら、その傷にも手を当てた。これも魔法(まじゅつ)で治す。


 これで終わりだと、祖父を見ると、心ここにあらずといった様子だ。


「お(じい)ちゃん?」


 祖父は、はっと突然我に返った。まるで夢から覚めたかのようだ。

 

「やはり、ルー坊には才能があるようじゃの。だが、これに慢心せず精進しなさい」


 その言いぶりは、心がこもっていないようにも感じる


 ──なんだかんだ言って、まだ未熟者ということか?






 いつもは、早朝から朝にかけて魔法(まじゅつ)を修練し、続いて武術の鍛錬(たんれん)をする。

 それが終わったら、自宅に帰り正餐(せいさん)(昼食)になる。


 そして、午後は自由時間であり、各々(おのおの)の趣味をして過ごすのが貴族(パトリキ)のライフスタイルだ。


 今日は、従魔の関係で手間取り、正午の正餐(せいさん)の時間に遅れて帰宅する。


 自宅の前では、母エレナと妹ソフィアが落ち着かない様子で待っていた。


 母は、僕の姿を認めると、一目散に駆け寄ってきた。


「ルーちゃん! ケガをしたんでしょ! 大丈夫なの?」


 傷は治したものの、服が血で汚れてしまっている。それで心配をかけてしまった。

 申し訳ない気持ちで、いっぱいになる。


「ごめんなさい。従魔を従えるのに手間取ってしまって……。

 でも、傷は自分で治したから、何ともないよ。少し血が出ただけだから……」


「それなら、いいけれど……剣術の鍛錬(たんれん)にも来なかったっていうし、なかなか帰ってこないから、母さん心配したんだからね!」

 

 有無を言わさず、母は僕を抱きしめる。

 胸に押し付けられた乳房(ちぶさ)の感触が、何とも言えずなまめかしい。もう、そういうことに敏感なお年頃(としごろ)なのだが……僕は。


 母は、家族のひいき目を差し引いても美人だ。

 金髪と緑の(ひとみ)で、スレンダーな体形なのに、胸は大きい。

 

 そんな母は、幼少の頃からずっと僕を溺愛(できあい)している。こんな寡黙(かもく)不愛想(ぶあいそう)な子どものどこがいいのか? 謎だ。


 (わき)からは、ソフィアが僕の腕にすがり、泣きじゃくっている。


「兄さま……心配させないで。あたし……絶対に兄さまのお(よめ)さんになるんだから……いなくなったら許さないのよ」


 ソフィアは、幼い頃から異常なまでに僕に(なつ)いている。

 いまだに風呂(ふろ)一緒(いっしょ)に入ったり、眠れないといっては僕のベッドに(もぐ)り込んだりしているほどだ。


 彼女は、もう八歳──あと一、二年もすれば兄離れしてくれるのだろうか?


 僕は、社交性が皆無だ。

 対して、妹のソフィアは、好奇心旺盛(こうきしんおうせい)で社交的。友達が多い。

 

 町での(うわさ)話などは、もっぱら彼女から仕入れている。

 彼女には、(なつ)かれる一方で、コンプレックスも抱いていた。


 茶髪で茶色の(ひとみ)の彼女は、母に似て顔立ちは整っている。

 ふくよかな体形で、美人というよりは、かわいくて愛嬌(あいきょう)がある印象だ。




 騒動が収まり、正餐(せいさん)が終わると、父アレクサンドロスが(おごそ)かに言った。


「今日は従魔を従えたのだろう。どんなやつか見せてみなさい」


 父は、黒髪と青い(ひとみ)を持ち、筋肉質な体格をしている。まさに騎士そのものの風貌(ふうぼう)だ。

 性格も正義感が強く、頑固(がんこ)だ。まさに古き良き騎士(きし)の典型だ。


 剣術や馬術の腕前は、すべて父から(たた)き込まれたものだ。

 墓戸の一族が代々使う武器は「黒鉄の剣」。それは、死霊魔術(ネクロマンシー)で強化された一族の象徴ともいえる剣だ。


 さすがに、室内で見せるにはマグナスは大きすぎたので、家族そろって広い庭へと出た。


「マグナス!」と、僕が呼ぶと、影からマグナスが瞬時に現れた。

 どうやらマグナスは、影に自由に出入りできるようだ。


 その光景を目にした瞬間、祖父以外の家族全員が唖然(あぜん)と立ち尽くしていた。

 僕は、その理由を、にわかには理解できなかった。


 だが、マグナスの存在といい、影に出入りできることといい、どうやら異例ずくめだったようだ。




     ◆




 メルラ家は、古来から墓戸(はかべ)、すなわち墓守(はかもり)に任ぜられた一族だ。帝国古来の支配階級パトリキの有力氏族の一つ・コルネリウス氏族の枝族(しぞく)に当たる。


 コームルス帝国には、その誇りたる聖エレシア山がある。周辺の山々を圧倒する高さで、山頂には宇宙の創成とともに生まれたとされる人竜(じんりゅう)エレシアが住まうと信じられている。


 人竜は、普段は人の姿を保っているが、必要に応じて真の姿である巨大な竜へと変化(へんげ)する。その強大な力は計り知れず、神すらも凌駕(りょうが)するとも言われている。


 山麓(さんろく)には荘厳(そうごん)な聖エレシア大神殿があり、帝国の国教であるエレシア教では、最高位の格付けとされている。

 神殿の背後に「王家の谷」があり、そこに歴代皇帝の陵墓(りょうぼ)がある。


 陵墓(りょうぼ)に納められた豪華(ごうか)副葬品(ふくそうひん)は、盗賊(とうぞく)や、戦乱期においては軍隊にすら狙われる。

 墓戸(はかべ)の一族は、これを死守しなければならない。


 このため、墓戸(はかべ)の一族は、寡兵(かへい)をもって敵を打ち破る武術・魔法(まじゅつ)や戦略を発達させてきた。


 魔法(まじゅつ)には、禁忌(きんき)とされ、他家には許されていない死霊魔術(ネクロマンシー)も含まれている。

 これにより、歴代皇帝(こうてい)とともに殉死(じゅんし)した兵の(れい)などを召喚(しょうかん)し、戦いのために使役(しえき)するのだ。


 メルラ家は、聖エレシア大神殿を抱えるエレシュポロンの町を含むエグラティア地域を統治する司令官(ストラテゴス)の職を中央政府から任されている。

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