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5 役割分担

本日もよろしくお願いします

役割分担を決めます


「で、では、何かミッションがあるにせよ、ないにせよ、断罪をするにせよ、しないにせよ、兎に角情報収集と、必要に応じてオニール君を助けていくと言うことで皆さん宜しいでしょうか?」


 俺の問いかけに、皆頷いた。意外にも、星野君も真面目な顔をして頷いている。


「では、まずは情報収集をする上で分担を決めましょうか。

 とりあえず、アーカイブを時系列で区切って視聴していくので良いでしょうか?

 えーっと、オニール君は何歳かな?」


「10歳と1ヶ月だよ!5歳位から家庭教師がついて勉強や剣や魔法の鍛錬を始めたんだよ!」


 木下君の発言に、山田君も盛り上がる。


「おお!魔法!もしや、とは思ってましたけど、剣と魔法の世界なんですね!」


「そう!剣と魔法!魔獣狩り!ダンジョン!お宝!」


「ふふ。盛り上がってるところ悪いけど、話を進めるよ。

 では、アーカイブは10年分あると。2年分を1人で観るとして、2人余りますね」


 俺がそう言うと、すかさず木下君が手をビシッと挙げて発言する。


「あ!じゃあ、僕は魔法の部分ばかり抜き出して観て良い?異世界物の小説とか漫画とか読みまくってるし、最近はネトゲでRPGに嵌まってたから、色々予備知識あるし」


「ああ、そっか。そう言う技術的な事は皆が細切れで観るより、1人に集約した方が良いのか。

 じゃあ、魔法は木下君に任せるとして・・「やったぁー!魔法使ってみたかったんだ!リアル魔法世界、僕、わくわくしちゃうなぁ!」


 俺の話を遮って盛り上がる木下君。

 魔法を実体験できる事がよほど嬉しいらしい。目がキラキラしている。

 子供の嬉しそうな表情は好物だ。


「はは・・・。楽しそうで何より。次はっと、山田君は剣道かその他の武道の経験はありますか?」


「はい。小学生の頃から剣道をやっていました。他にも、柔道、空手もやっていました。自衛隊に入ってからは、徒手格闘術、棒術、ライフルも訓練していました」


「かっけぇー!山田の兄ちゃんかっけぇー!」


 木下君が目をキラキラさせながら山田君を見つめる。

 男の子って純粋な戦闘力高めな男に憧れるよね。

 俺も護身術くらいは(たしな)んでるけど、自衛官(プロ)の前では児戯も同じだから、黙っておこう。


「はは、ありがとう。“筋肉バカ”とか“格闘マニア”とか、今までちょっと否定的な評価を受ける事の方が多かったんだけど、そんなに素直に褒めて貰えて嬉しいよ」


「じゃあ、武術関連は山田君に視聴して頂いて、この世界の標準の剣術などを学んでもらいましょう。

 後は、マナーとかですかね?他に技術的なものってありましたっけ?」


「音楽は?楽器やら独唱やらは無いのかしら?私、プロのチェリストでしたけど、ヴァイオリンやピアノ、フルートもそれなりに演奏できますし、絶対音感を持っています」


 彩音(あやね)さんの発言に、木下君が画面を操作して、答える。


「えーっと、あるみたいだよ!“音楽の授業”でアーカイブ検索すると、900時間位データがあるって出るよ!」


 流石、ネット世代。木下君は即座に検索結果を教えてくれる。


「ありがとう、木下君。じゃあ、音楽関連は中野さんでお願いします。

 木下君、マナーの授業があるか検索してみて」


「うん。・・・マナーの授業も、900時間くらい」


「ありがとう。マナーは、九条さんが良いでしょうか?」


「はい。承知いたしました。マナーの授業時間と、家族でのお食事の時間や他の貴族家との交流の時間なども併せて拝見させて頂きます。

 あの、社交ダンスの授業はございますか?あと、乗馬は?」


「ああ!社交ダンスと乗馬!貴族ならありそうですね。どお?木下君」


「社交ダンスはねぇ・・・1300時間位あるよ。

 乗馬は・・・200時間しかない」


「誰か、社交ダンスの経験がお有りのかたは?」


 僕の問いかけに九条さんともう一人、意外な人が手を上げた。

 星野君だ。


「そんな意外そうな顔でみるなし。

 俺、ホストになる前はフィギアスケートのアイスダンス選手だったんっすよね。膝の前十字靭帯を切っちゃってさ。手術してリハビリしたんすけど、丁度その時期に体の成長で重心がどんどん変わってっちゃうし、何か色々上手くいかなくてさ。引退しちゃったんっすよ。まぁんな訳で、アイスダンスの練習の一環として社交ダンスをやってたんっす。幸いこっち来てから膝の痛みも無いし、ちょっと練習すれば行けるんじゃないっすかね?」


「人間の意外な一面を垣間見たね。それじゃあ社交ダンスは、九条さんよりも男性パートに慣れている星野君が適任ですかね。

 あと、乗馬は・・・」


「はい。はい、はい!」

 

 彩音(あやね)さんが手を上げた。


「私、乗馬をやってました。全力で走ったりはちょっと怖いけど、移動で使う程度なら問題ないです」


「良かった。では、乗馬の方をお願いします。でも、乗馬だと、アーカイブを視聴するって言うよりは、オニール君が乗馬する時に代わって貰う方が良さそうですね」


「当然よ!でもそれは、魔術も剣術もマナーも一緒じゃない?知識だけ増やしても実践で身に着けていかないと物にはならないでしょ?アーカイブを視聴しつつ、実践の場が来たらオニール君と交代してあげれば良いのよ」


「まぁ、確かに。木下君、山田君、九条さん、星野君もそれで宜しいでしょうか?」


「うん!」

「了解です」

「承知いたしました」

「いいっすよ~」


「ただし木下君、中野さん、九条さんがオニール君の中に入っている時に虐待されそうになったら、直ぐに他の誰かが交代しましょう」


「分かりました」

「そうですね」


「あと、決まってないのが、俺と斎藤さんですね。じゃあ、担当の決まった技術関連以外の勉学と生活全般を俺と斎藤さんの2人で分担して視聴しましょうか。

 勉学関係を俺で、生活全般を斎藤さんでどうでしょう?」


 俺の提案に斎藤さんは負担に差があるのではと、心配してくれる。


「勉学の方が大変ではないですか?そちらもお手伝いしますよ?」


「いえ、取り合えず私が観ます。見切れなさそうで、斎藤さんの分担が終わっていればお手伝い願えますか?あと、難しすぎて良く分からない時の相談役もして頂けると心強いです。

 斎藤さんも銀行員ですから数字や経済には詳しいでしょうが、私は仕事柄、広く浅く知識を持っています。ですからまずは私が勉強して、理解できない部分を深い知識を持つ方々に補完して頂くのが効率が良いと思うのです。

 経済関連は斎藤さんに、貴族的な物の考え方とかは九条さんに相談する。と言う感じです」


「なるほど。確かにその通りかも知れません。

 それに生活全般を観るとなると、必然私が虐待現場を一番多く見る事になるでしょうが、この歳になりますと、相当心臓に毛が生えておりますので、若い方々が観るよりは病みにくいでしょうしね」


「あ!そっか、そうですよね。胸糞場面を見続けなくてはいけない、一番しんどい部分を押し付けてしまいましたね・・・いまさらですが、大丈夫ですか?」


「ええ、大丈夫ですよ。女性や子供には押し付けられない事ですし、矢崎さんと山田君は子供が大好きですよね?私も子供が嫌いと言う訳ではありませんが、お二人よりは感情移入し難いかと。

 まぁしんどくなったら適宜休憩を入れさせて頂きます。

 コーヒーもお酒も飲み放題、煙草も吸い放題ですし、酒や煙草で病気になる心配もありませんし」


「ああ、そうですね。それで言うと、精神衛生の方も意外と大丈夫だったりするのでしょうかね。

 まあ兎に角始めてみて、それで不具合があったら適宜、遠慮せずに相談して下さい!

 皆さん、よろしくお願いします」




お読みいただき感謝です

週1更新予定です

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