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棄てられ姫は誰にも愛されない  作者: 鷺森薫
アインホルン王国編
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2.異端の王女


リーゼロッテはアインホルン王国の一粒種の王女であった。

光魔法を属性とするアインホルン王家に於いて、光魔法を操るアルベアト王と、この世界でただひとり聖魔法を操るヒーリーヌ王妃はその魔力と魔法適性で突出していた。


この世界に於いて魔法書は持って生まれた物であり、使える魔法は死ぬまで魔法書に書かれた魔法のみとなる。

魔法書を持って生まれる者は、必ず先祖に使い手が居た一族であり、当然の事ながら、魔法という大いなる権力を持った一族が国の中枢に集まった。

その為、貴族階級の殆どが「魔法書持ち」の一族であり、魔法書の有無が一族の中でも上下関係に直結している。

一部の武芸の達人や賢者に近い知識人の例外はあるが。


魔法書は特殊な魔力を持った一部の鑑識者にしか認識出来ず、魔法力は政治とも深く関わる為、国の中枢幹部のみが把握しており、機密扱いとされている。

しかしながら、長い年月で王家や貴族の属性は公然の秘密となり、アルベアトは光の王、ヒーリーヌは聖妃などという二つ名がまかり通っていた。


この二つ名の夫婦の一粒種として誕生した

王女への期待は大きく、光と聖の結合などと

国を挙げてのお祭り騒ぎとなった。

生まれてすぐには魔法書の鑑定ができない為

満1歳の誕生日に行われる神殿での命名儀式(名前は神殿長が神の啓示により与える)、

魔法鑑定、及びその後の公式の誕生御披露目を国内外で固唾を飲んで待っていた。

もちろん鑑定結果が公になることは無いが、多少なりとも何か雰囲気でわかるのではないかと、期待は膨らむばかりであった。


国内外の騒ぎをよそに、国王夫妻及び側近達の不安は増すばかりだった。

光の王アルベアトは金髪碧眼の美丈夫で、

聖妃ヒーリーヌは銀髪碧眼の美女だったが、誕生した王女は、どちらの家系にも無い黒髪黒目だった。

王女の造形は美しかったが、光属性の王家にしてみれば異端であった。


外見以上に問題だったのは魔法書だった。

アルベアトは魔法鑑定能力があったため、

毎日王女のいる北の塔の子供部屋へ赴き、魔法書の確認を行ったが、ついぞ確認出来ないまま、来週には神殿での命名儀式が迫っていた。

「微かではあるが魔力は感じる。しかし魔法書は認識出来ない」

魔力があろうと魔法書が無ければ魔法は使えない。

「神殿はどんな判定を下すのか」

アルベアトは頭を抱え呟いた。

ヒーリーヌは涙を流した。産後の肥立ちが悪く神官にはこれ以上の子は望めないと言われている。

「本無しに国は統治出来ないと言われるだろう」

アルベアトは小さく呟いた。



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