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『物語の先を確認してきましたが、まったく面白くありませんでした……。私からは、物語を閉じてしまうことを提案しますよ。実に陳腐な物語でした』
看守からどのように鍵を盗み出すか。
Rは深く考えましたが、いい案が思い浮かびませんでした。
本当に思い浮かばず、うんうんと唸り続けています。
まったく思い浮かびません。
何日も何日も考えました。
『……、……』
Rは何か、超常的な力が働いて、何もいい考えが思い浮かばないのだと思い始めました。
確かに、つい先日は素晴らしい考えを持っていたように思います。
Rは、看守に賄賂を渡すためのタネを持っていたはずなのです!!!
《しかし突然、Rの頭はモヤが解けたように明晰に働きました》
簡単なことです。看守に声をかければ良いのです。Rは鍵を盗めるように、準備をしていました。毎日を模範的に過ごし、看守にはおべっかを使い、更生したように見せかけていました。
看守はいつものように、Rに愚痴を零すことでしょう。Rはそれをうんうんと聞いてあげるだけで、看守はRのことをまるで長年の友のように扱うのです。
至極、簡単な話だったのです。Rは簡単に鍵を盗むことができるのです。
鍵を盗めば脱獄したも同然です。廊下を真っすぐに進めば外に出て、受刑者用の運動場があります。その外壁には小さな凹みがあり、簡単に上ることができるようになっていました。
昼間であれば、監視されているので逃げられませんが、夜であれば簡単に脱獄することができるでしょう。
Rはさらに考えました。
脱獄したら、まずは何をしようか考えました。
Rは女を襲おうと思いました。刑務所に入り、ストレスが溜まっていました。
無為に命を奪い、そして衣服を剥ぎ取って、好きなように楽しめば、どれだけ気持ちいいだろうか。
Rはその瞬間を想像し、邪悪な笑みを浮かべました。あぁ、そうだ。すばらしい快楽に違いない。
Rは直観しました。杜撰な計画な気もしますが、必ずうまくいくだろうと。なんとなくそんな気がしていたのです。
『まったくつまらない話です。このような計画で脱獄ができるわけがありません。Rにとって都合が良すぎます。ここで止めましょう。本当に下らない話で、時間の無駄とすら言えます。貴方にはこの物語を読まない権利があります!』