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『はじめまして、ナレーターと申します。この物語の進行役を務めさせて頂きます。では、始めましょう』
Rは四畳一間の小さな部屋の刑務所に収監されていました。
四方はコンクリートの壁で囲われており、一面のみが鉄柵で塞がれています。
Rはこの狭くつまらない部屋が嫌いでした。
だから、脱獄して逃亡しようと考えました。
Rはどうにかならないかと思案しました。
すると、Rに素晴らしい名案が浮かぶことになります。
この刑務所に勤めいている看守はいい加減な奴で、鍵の扱いが杜撰でした。
この看守から鍵を盗んで、外に出て行ってやろうと。
看守は不用心にも、ポケットに鍵をジャラジャラとひっかけていました。
油断させてからちょっと隙をつけば、簡単に盗めてしまうでしょう。
しかも看守はいつも一人で同じ時間にくるのです。その看守をどうにかしてしまえば、簡単に脱獄できるように感じました。
後はどのようにして盗むか。
その問題も、Rはすぐに解決できるように思いました。
秘策がすぐにでも思い浮かびそうでした。
『んん? 導入がイマイチだな……。物語の先を見てきます』
『ピラピラピラ(何かの用紙をめくる音)』