第3章
手の込んだ仕掛けの紹介回
監禁されて数日、外に出る方法も調べてみたが私の知識ではどうすれば良いか解明できなかった。
カーテンを開けるとそこには頑丈シャッターの様な物が降りており鍵も見当たらない為外の確認は難しい。玄関はというと、内側からもカードキーが無いと外には出られず、チラリと見えた外も高級マンションの廊下のような物が見えるだけで、ただ出る事は不可能そうだ。
パソコンもあのゲーム以外使用することは出来ず、外との連絡手段は高森と、オンラインゲームの中の人間のみしか行えない。
ただ、オンラインゲームの人間に、自分が監禁されているから助けてくれるなどと言っても信じてもらえるとは思えないし、信じてくれてもここの住所が分からないので手段としては無いと考えていいだろう。
移動できる部屋も指定されており、そこ以外へ行くことは禁止されているうえ、出てしまうと首輪の電気により気絶してしまう。
実は指定の部屋から出てしまったことがあった。
部屋というのがどこまでを指しているのかが分からずある部屋に入ろうとした直後に気がついたらいつもの部屋で眠っていた。
気絶していたのだと分かったのは、高森が心配そうに声をかけてきた時だ。
『先生!!』
『たかもり……?』
『ああ、よかった。もう、部屋から出たら気絶するって言ったじゃないですか!』
『外に出ようとしたんじゃないよ』
『言い訳は聞きません、いつも使う部屋以外はダメなんです、分かりましたか?』
その顔は必死で、本当に私が出ようとした事よりも気絶させてしまった事への心配をしていたように思った。
彼への警戒心が薄れたことは否めない。
本当に、ただ私の結婚できるタイミングまで逃げ切ってほしいだけなのだと、その心配する顔からは伺うことができたからだ。
そして、彼は特段私に手を出してこない事も分かった。
あんな愛しているなどと発言をしたのだから、そう言った行為をしてくるのかと思っていたのだが、全く気配がない。
なんなら、前よりも快適な生活を送らせてもらっているほどだ。
私が作るよりも美味しい料理や、気がつくと片付けられている部屋、服も下着の全てまで彼が用意しており、食事をする間しか彼は干渉してこない。
強いて言えばこの首についている機械だけがこの監禁というシステムを残しているかのようだった。
そして、久々にやったオンラインゲームもなかなかに楽しい。
昔仲が良かったプレーヤーがめちゃくちゃ強くなっていたり、それでも仲間に入れてくれたりと、久々に気持ちの昂りを感じる程度にはやり込んでいる。
最早私は、ただのヒモに成り下がった三十路だ。
「先生」
「なに」
「ゲーム楽しいですか」
「まぁ、それしかやる事がないし」
「へぇ、そうですか……」
「なによ」
「ふふ、何でもないです」
結論、私は彼が飽きるまで大人しくするという手段を選んだという訳である。
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