-aki-第2章
かおるくんの、ちょっと、あれな過去
自分の引っ越しによってその公園へ行く事はできなくなり
数年間、自分に関心のない両親と、転校生を嫌悪するクラスで過ごす日々を送る事になる。
その後、中学の受験で失敗した僕は、そこそこな私立の中学に通うことになり、その中でもまぁまぁ頭の良い位置にいた。整った顔も、運動ができる体も、少し可愛がるにはちょうど良い人間だったのだと思う。始めこそ上手く行っていた中学生活もある先輩に目をつけられてしまった事で終息を迎える。
一緒に帰った女の先輩がその先輩の彼女だったらしいと、噂で聞いた。
される事は無視だけ。
でもその日から、学校全体で僕だけを抜いた毎日が始まってしまった。
誰も挨拶を返さない学校は、灰色で、無機質で、彩がまるでない。
やっとまともに生活ができると思っていたのに、再び同じ世界、心の奥に彼女を思い出す時だけ世界が色づく毎日をただ、過ごす。
そんな時に久々に父親から与えられたのは、彼が開発したというオンラインゲームだった。
始めはただ、仮の姿で遊ぶだけだった。
そこで出会った仲間とチームを組み、その中で意気投合した人とペアを組む頃には僕の1日はゲームを中心に回っていた。
ペアの人物とは、プライベートの話をするようになりついにいじめられている相談をすると、その人は自分の事のように怒り、自分は永遠に味方だと主張した。
そして、寂しくなったらいつでも会いにくるようにと、自分のバイト先を教えてくれたのだった。
もちろん約束をして会いに行った。
頑張って電車を乗り継ぎながら3時間もかけて会いに行った。
だが、その姿を見た瞬間、あまりの衝撃で腰を抜かして、会う事は出来なくなってしまった。
「かおり……さん」
それは自分の心の芯にいる人物が、そこで動いていたからに他ならない。
輝いて見えた。
急に世界に色がついて目まぐるしく動く。
心が震えるというのはこういう事を言うのかと思った。心臓はバクバクと脈を打ち、感動のあまり涙が止まらず、彼女との再会に心から感謝をした。
茶色くなった髪も、耳元に開いたピアスも、キラキラとした目元も、全部初めてみたけれど。
貴方は、僕の運命の人に違いない、と。
心の奥底から感じ取った。
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