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水面下で動く=吹奏楽部

「――持ってきたぞ……ったく面倒な」


 眠そうな眼を向けながら大きな段ボールを持ってきたのは、GWOの専属衣装係であるオーダーメイド洋服店『king of heart』の1人息子の佐波寛太さんだ。……今更紹介する必要なないけどな。


「おお、ありがとな寛ちゃん」


「……まあそれなりに楽しかったからいいけどな。ほれ、領収証だ。――さて、このまま帰りたいところだが作った衣装とのバランスを見たい」


「はいよ。パーリー集合!()()()()配るぞ!」


 天馬さんが言った例のヤツとは……定演用の衣装のことである。といっても新しい服ではない。

 段ボールの中に入っていたのは、カッコいい刺繍がプリントされたパレオなアームカバー、バンダナなんかが入っている。


 要は定演用のアクセサリーだ。部活用ジャージでも衣装のタイプを変えて個々の変化をつけるのが好きな部長だ。定演でもそれを曲げることはないようだ。


「はい、鷹谷君はバンダナだっけ?」


「どうもです」


 俺は徹さんからバンダナを受け取る。バンダナは濃い赤のチェック柄で広げるとGWOのマークのペガサスのエンブレムがプリントされている。クオリティーは言うまでもなく凄い。

 俺は指揮者用に作られたジャケットを着こみ、彩矢さんに右腕にバンダナを結んでもらう。……彩矢さんに結んでもらったのは1人では結びずらいというのと横の席が彩矢さんだったからである。


「何をぶつぶつ言ってるんだい?君は。別に誰もそんな眼で見てないよ。ただベストカップルは今日も好調だと思っているくらいで……」


「その考えを捨てやがれー!」


 新美は口元にバンダナを付けているので口が見えない。バンダナと言うよりマスクだな。


「何か傭兵みたいだな」


「それを狙っていたからね。これ、結構優れもの。マスクみたいに耳にかけれるようにゴムが付いていて、息苦しくならないようにワイヤーで形が出来ているからこの状態で楽器が吹ける。うん、良いセンスだ」


「お気にいったようで何より」


「鷹谷くんはシンプルだねぇ。目立ちたがり屋らしくない」


「おい、勝手に目立ちたがり屋にするな。あんまり目立つのは好きじゃないんだよ。俺は既に目立ってるんだからこれ以上目立ってどうする」


 ドレープシャツにジャケット。下はサルエルパンツになっていて、腰にはベルト式のスカーフが付いている……コスプレでもしているのかと思える格好だが、服の出来が良いためそう言う風に見えないので何とも言えない。


「そのベルト式いいよね」


「ああ、これか。たしかにいいよな」


 お洒落でチェックシャツを腰巻している人がいると思うが、これはシャツではなく、ベルトにシャツのように見える布が付いているだけで、服を傷めないし着脱も楽。俺の他にもこのタイプのシャツを選んでいる部員がいる。


「……うん。これは売れるな。親父と話してみるか」


 寛太さんは周りのリアクションを見て呟く。面倒だと言いながらもしっかりと観察している。高校生ながらすでに社会経験をしている寛太さんは卓越している、兄貴と気が合う理由がよく分かるな。


「天ちゃん、俺はそろそろ行くぞ。次のお客が待っている」


 寛太さんが練習場の入り口を顎でしゃくると、そこには動画部部長の新房さんがパソコンを持って立っていた。


「おお、そうだな。ありがとう寛ちゃん、スポンサーの時にまた連絡する」


「ああ分かった。広告は1番デカくて値段は値切るからな」


「ちっ、考えておくよ……」


 流石にここまでやってくれているお店だ。win‐winの関係と言う奴だな。


「取り込み中悪いね、本番の際の演出について打ち合わせにきたよ。関係者は集まって貰えるかな?」


「おう!3年集合!演出決めるぞー。1・2年はスポンサーをどこを周るか打ち合わせ!鹿島と相田で上手く人員を操作しろ」


『はい』



***

 そして時間は今――文化祭終了後に移る……。


「――さて、文化祭も終わり残すところ定演だ。それぞれ定演に向けて動いてもらったが、それがやっと実を結ぶ時だ。1年間の集大成だ。楽しもう!!」


『応!』


 定演まで残り約3週間か……。イベントをこなしながら水面下で動いてきた結果がポスターやパンフレットという形になって表れている……がまだ肝心の曲が良い形になっていない。

 全部で10曲を超えるんだ。それを全てクオリティーを上げなければいけない。


 まだ実を結べてはいないんだ。……練習しよう。


 他人には見えないところでの水面下での作業。吹奏楽部はそれを1年間ずっと行う部活なのだと感じるな。

 演奏だけではない行動をするから、他の部活とは違う結束が生まれる。

 そこで生まれる友情や信頼関係は根強くなる。


 だから、楽しんだろうな……。吹奏楽って。


「……なあ新美ん、鷹やんが何か遠いところを見て考えごとしてるみたいだけど、どうしたの?」


「ああ、あれ?あの時は大抵キザなことかエロいこと考えているよ」


「しょうがない奴だねぇ……」


「ほんとにねー」


「……せめて前者にしろ……!」

有名な高校とかですと、OB・OGの方達が色々としてくれるのかもしれませんが、それでもやるべきことはとても多いんですよね。


鷹谷の言葉は、僕の単純な考えでもありますがあながち間違っていないのかもしれませんね……。

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