文化祭にむけて②ロメオとジュリエット
気が付いたら部員の名前を確認しやすいのが出来ました。
いままで『第33部分 係決め!』で確認していたので……。
グループを決める時の諸注意が何点かある。
同学年だけとか、気の合う人を入れるとかはなし。
大事なのはバランス。同じチームに同じ楽器がかたまり過ぎてしまうとかが悪い例だ。例えば、弥生さんチームに玲哉さんとまっつんを入れるようなのは、あってはならないということだ。
俺はサッカーゲームのようにフォーメーションを頭の中で構築させる。
ゴールキーパーがドラムとして、低音がディフェンス、中低音がボランチ……といったように誰を配置させるか悩みどころだ。――さて、どうしようか。
「あ、ちなみに3年はあまり戦力にするなよー、最後の文化祭。普通に楽しみたいからな」
「部長がいうかね……。あまり頼られるのも良くないからな、そこらへん考えて選んでくれ」
「よーし!鷹谷、レディーファーストって知ってる?」
弥生さんは満面の笑みで言う。わかってますよ。
「どうぞ、そちらから」
「どうもー!じゃあ……沙耶さん!」
「あらあら」
沙耶さんはご婦人のように優雅に微笑む。
「俺は……修仁」
「……了解」
「じゃあ天馬部長!」
「よっし!2位指名」
「七瀬……、3年ばっかりにするなよ」
玲哉さんが溜息をつく。
「わかってますって!」
「次はまっつん」
「おうよ!」
「――鷹谷、お前もだ……」
「大丈夫です、考えてますから」
この2人だけは押さえておきたかった。天馬さんと玲哉さんにしたら何の心配もないけれど、それじゃあつまらない。
それに、このリズム隊の実力は即戦力だ。問題なし。
玲哉さんは終始「大丈夫か?」と心配そうに俺達を睨む。……素なのは知っているけれど、睨まないでほしいな。
***
こうしてサクサクとドラフト会議が進んでいき、メンバーの選出が終了した。
部員は計34名。つまり1グループ17名編成のバンド形態となる。
そして、グループ名は何故か航空関係で使われる『フォネティックコード』から選ぶ。
理由は聞かなかった。間違いなく「え?かっこいいだろ」みたいな理由だろうから……。
俺のグループ『ロメオ』は以下のメンバーとなった。
リーダー 1年 鷹谷大志
ドラム 1年 小野修仁
ベース 1年 松本和徳
パーカス 1年 本庄万美
チューバ 3年 大取義実
ユーフォ 2年 松井哲也
ホルン 1年 土屋保志
ホルン 2年 渡部友希
ペット 2年 鹿島 亘
ペット 1年 三浦香澄
ボーン 3年 飯塚琢磨
ボーン 2年 水谷新一
サックス 3年 岸 徹
サックス 1年 新美浩太郎
フルート 3年 石川壮太
フルート 2年 武居 凛
オーボエ 3年 関 保仁
そして、弥生さんのグループ『ジュリエット』はこうだ。……というか、何だこのグループ名は。『ロミオとジュリエット』みたいじゃないか……。
リーダー 2年 七瀬弥生
ドラム 3年 天道天馬
ベース 3年 須藤玲哉
パーカス 2年 永谷まどか
チューバ 1年 佐藤翔亮
ユーフォ 1年 後藤恭輔
ホルン 3年 水瓶沙耶
ペット 3年 大山幸喜
ペット 2年 鈴木純一
ペット 1年 安田健一
ボーン 1年 手島佑都
サックス 2年 修善寺彩矢
フルート 1年 鞍馬鹿之助
クラ 3年 山路 司
クラ 2年 相田正久
クラ 2年 鈴木純一
クラ 1年 清田正道
「……結構かたまっているが大丈夫か?『ロメオ』にはクラリネットが1人もいないぞ?」
玲哉さんの仰る通りだ。しかし、ここでメンバーを変えたりすると士気が下がる。このままでいこう。俺は大丈夫と伝える。
「鷹谷くーん!!どうして選んでくれなかったの?」
くらやんが眼をうるうるさせて俺を覗き込む。
「いや、弥生さんに先に取られたろ?俺の所為にするなよ……悪かったって」
「あんな奴よりも私の方がいいよねー」
「そうよ、お姉さん達と楽しみましょ~」
「わーーん!!」
学指揮コンビに連れていかれるくらやん……。くらやんならやれるさ――頑張れ!
「やっぱり俺を入れるのかい、相棒?」
新美は腹が立つほどのしたり顔で俺に手で合図を送ってきやがる。
「中低音を固めたからな。メロディー担当で暴れてくれる奴が欲しかっただけだ。……頼むぞ、相棒」
嫌々――ではないが、拳を突き合わせる。それくらい、新美浩太郎には一目置いている自分がいる。
「――さあ、グループ決めも終わった。グループごとにセトリをいじってもかまわないが、あまり無理をしないようにな。あくまでも全体合奏が1番だからな。――じゃあ、練習を始めようか!!」
『応!!』
合奏練習、グループ練習に定期演奏会用の曲の練習と……本当に休みがない部活である、吹奏楽ってやつは。
大会にフォーカスが当てられて気が付かない人が多いだろうが、こういった大会以外の活動が1番大変で楽しかったりするのかもしれないな。




