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夏の終わりの集大成

ちょっと裏話

『Traffic Jam』というスクエアの曲があるんですが、それと悩みました。

理由はいつか話すと思います(本当かよ)

「――うん。面白い試みですね、ほとんど形にはなっていますが……私が少し手を加えてもいいですかね?」


「お願いします」


「はい、承りました。申請などの件は鹿島新部長にお願いしましょう」


 争覇先生の許可も下りて、本格的に自作で編曲した曲で演奏することになった。


 楽譜を配ると、ほとんどの部員から称賛が浴びる……かと思いきや「ムズイ!!」と苦い悲鳴を浴びる。……それは選曲した2年生に言ってください。


「俺出来る気がしないぞー」


 ベースのまっつんがぼやく。ドラムの修仁は言葉には出さないが同じように渋面を作る。

 まあ、そうなるよな。


 今回編曲した『Megalith』はベースやドラムはほとんど原曲通りになっている。

 ベースはスラップ奏法が終始凄く、ドラムは手数がとんでもない。シンセサイザーの部分はシロフォンや管楽器で代用している。

 有体に言ってしまえば、全員忙しいのだ……。勿論、バリトンもだ。


「キーボードを使わない理由ってあるの?シロフォンがこんなに活躍する曲始めてかも」


 シロフォン・グロッケンなどの打楽器担当のパーカッション、本庄万美は困った顔をする。


「俺と新美んの考え……いや、作った時にみんなで話したんだけどキーボードやギターを使うと楽になっちゃうんだよね」


「楽?」


 キヨの発言に眉をひそめる。キヨは頷いて続ける。


「俺達は吹奏楽なんだからさ、管楽器や打楽器で補えるならそうした方がみんなが演奏していて楽しいと思ったからさ。俗に言う、【おいしいところ】ってやつ」


「ちょっと納得したかも。キーボードやギターってそれ単体でたくさんの仕事が出来ちゃうもんね。コード進行とか」


「そうそう、ギターとか入れちゃうと軽音みたいになっちゃう気がするんだよね。だから、編曲には入れないようにしたってこと」


「――良い判断だな、キヨ!」


 キヨと万美さんの話を聞いていた天馬さんが笑顔でキヨの頭を軽く叩く。


「俺が1年の時なんだけどな、ギターを持ってきた奴等がいて、自分の担当楽器そっちのけで軽音状態になっちゃってなー。まあ、そいつらは早々に退部しちゃったんだが、ギターやキーボードを編成しないのは英断だと思うぞ!なあ玲ちゃん?」


「だな。編成してはいけないなんてことはないけど、極力入れない方が自分の担当楽器だけを集中して練習することが出来るというものだ。これからも曲を作るのは賛成だが、なるべく部室にある楽器での編成にしてくれよ」


「了解です。――ところで、何で眼が笑ってないんですか?楽譜をずっと睨んで……」


「曲の録音は3年以下でやるけどなー、教えたりするのは俺達なの。こんな楽しい曲作りやがってー」


 キヨは先輩達に優しいリンチ(ほっぺをつねるなど)を受ける。――新美は嫌な予感を察知して逃げ出していた。俺は本能で追いかけて捕獲していた……。



「ぐわーー!ムズイ、ムズイ!」


「私は天才だけど、これは厳しいわねー!!」


「もぉー、キヨくんはっ倒すよ~」


 各パートから悲鳴が上がる……が、みんな楽しそうだった。


 わかっているのだ。難しいが、この曲を演奏するのが楽しいということに。


「作ったオレ達が演奏出来ないって言うのもまた一興だね」


「そだなー新美ん」


 ……何を遠い眼をしている!頑張れよ、編曲者共!俺?俺は手伝いだから無関係だ……って言いたいな、はは。頑張ります。



***

 日が過ぎていき、録音日となった。……のはずなのだが、


「何で動画部の方達がいるんですか?」


「録音をお願いしているだよ。後……MV撮影も兼ねているんだって」


「流石GWOですね、そういったこともするんですね」


 彩矢さんの説明を聞き、改めて他の吹奏楽部とは一線を画していると思ってしまう。

 常識をぶち壊すかのような大胆で面白い部活が凱旋の吹奏楽部なのだ。



「――今回は原曲のMVをリスペクトして手元だけを映す。カッコいい感じになると思うけどどう?」


「オッケー!頼むぜ、新房()()


 動画部部長の新房さん。――あだ名は監督みたいだ。何でも動画部の部長は部員から監督と言われるそうで……吹部だけじゃないな、変わっているのは。


「よーし!じゃあ撮影開始していくぞー。3年生は参加してはいけないから、離れたところで演奏を聞いておこうか。――鹿島」


「はい。それじゃあ、まずはMV撮影から。新房監督の指示に従って動いて下さい」


『応!!』



 撮影に入ると、小型のカメラが譜面台に取り付けられる。プロムナード・コンサートや訪問演奏の時にも付いていたな。こんな小さなカメラで動画が作れるって凄いな、と何だか古臭い考えをしてしまう。


「一回通して演奏して貰って、足りない絵のところは個々で撮影します。いつも通り、演奏してもらえばいいんでお願いします」


『はい!』


 いままでは3年も含んだ演奏だったが、今日は3年抜きでの演奏だ。……今日は3年生お休みでも良かったのでは?と少し思ってしまった。


「――この後は、録音作業もある。3年生が演奏に参加出来ない、気を引き締めて演奏しなさい」


『はい!!』


 いつの間にかハイパーモード化している争覇先生に驚きながらも楽器を構える。


 ……よし、集中しようか。ゆっくりと楽器を構える。



「――はーい、OKです。少し休憩した後、録音作業に入ります。ここでも素材の関係で映像取りますんでよろしくお願いします」


 俺は大きく息を吐く。カメラを構えている動画部の部員に気を取られないように気を付けるのと、演奏自体をしっかりと吹くように神経を張りつめていたせいかドッと疲れる。


「大変だけど楽しいね、カッコいい曲だし」


「そうですね、彩矢さんも頑張って下さい」


「うん。でも、ベースパートの方が大変な気がするけどね……」


 それには苦笑いで返すしかない。ベースとほぼ同じ動きでリズムを刻んでいるかな休みがない。

 まっつんや翔亮も大変だろうな。


「松本、さっきのスラップだが……、翔亮はテンポ遅れ気味だぞ」


「ういっす」


「はい……」


 大変だよな、やっぱり……。



 休憩後、録音作業に入る。

 動画部は放送室と兼ねていることもあり、防音設備が整った環境もあるのだが、楽器を全て運ぶのは大変なのと、打楽器までは入らない。よって、練習場での録音となる。

 録音自体は俺が練習内容の追加したで行ってきた録音方法と同じ、指揮台の近くに録音機械を置くというもの。

 まあ、動画部の持ってきたのは、かなり上等なものだろうけど。


「――さあ、やるわよ。3年、ストップフォッチの準備は?」


「大丈夫です。録音準備もいつでもいけます」


「――よし、満足いくまで通す。気合を入れて吹きなさい」


『はい!!』


 録音開始がそっと押される――。


***

「みなさん、お疲れ様です。2年生もお疲れでした、いい経験が出来たと思います。この経験した内容はまたすぐに活用することになります、しっかりと覚えておいて下さいね」


『はい』


「それじゃあ、天道部長。文化祭・定期演奏会の曲決めをしましょうか」


「はい。――ついに1年間の集大成を見せる時が来た、その大事な曲決めだ。悔いのない曲を決めて楽しもう!!」


『応!!』


 この曲決めが終われば夏も終わりも迎える。そして、新たな舞台が出てくる。



 楽しみだ――。



 部活終了後のことだった。


「……そう言えば、明後日は休みだね。……み、みんなでどこか行く?」


 彩矢さんが耳元で囁く。


 ……楽しみでしょうがないな――。


「弥生が宿題一緒に片付けたいっていうから図書館とか?……どうしたの、弥生を睨んで……」


 腹を抱えて笑っているあの人が憎くてしょうがないな!


今回、上がった『メガリス』という曲、知らない方がたくさんいると思いますので、是非聞いてみて下さい。凄くカッコいいです。


それと、『宝島』。オリジナルだと爽やかなリゾート地のような曲です。


作中でも少し触れましたが、故真島俊夫先生の編曲した『宝島』は吹奏楽をやったことのある人だったら絶対に知っているくらいの有名曲です。

響け!ユーフォニアムでも演奏されてましたね。あの曲です。

「そんくらい知ってるよ!」と言われるかもしれませんが、駅ビルコンサートで小笠原部長がソロを吹いていましたね、バリサクで。


ですが、オリジナルの『宝島』は作中でよく出るEWIと呼ばれる電子サックスのようなもの、またはリリコンと呼ばれる電子楽器での演奏です。


どちらもとてもいい曲ですので、是非聞いてみて下さい。

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