閑話:決闘!!(元ネタ遊〇王)
書きたかった話です!
後悔はない。(あ、そうですか)
ある日曜日のこと、部室で何か賑わっていた。いつものことながら何かと遊んでいるんだよな。今日は自主練習の日だから別に構わないけれど……。
「よっしゃー!俺の勝ちだー!!」
……部長の声が部室の外からでも良く聞こえる。部長が遊びの主犯なのだがらどうしようもない。……しかし、やっている遊び自体は楽しいんだよな、ウノやったり大富豪やったり、ドンジャラやったり……今日は何をしているのやら――。
俺は期待とやれやれといった気持ちで部室のドアを開く――。
「――で、今日は何をしているんですか?」
「おお鷹谷、これを見ろよ!」
天馬さんはそう言って腕に付けているモノを見せてくる・・・・・って、それは!
「……決闘者の紋章――!」
「何それ?」
「知らないの新美くん――!?」
くらやんが信じられない様子で新美を見る。同感だ。
「え、同感って……」
決闘者――子供時代に誰もが通る大人気カードゲームの1つだ。天馬さんが付けているのは、真の決闘者が付けることを許される、決闘者をよりエキサイティングにさせる機械だ。まさか、この部室に置かれていたなんて……!
「え?ただのカードゲームでしょ、それはおもちゃ――」
「新美……それ以上言うのは許されない」
俺の真剣な言葉に新美以外は無言で頷く。
「えぇー……」
「どうだ?俺と決闘するか?」
「しまった!肝心のデッキが……!!」
「何を悔しがっているのさ?持ってきている方がおかし――」
「僕で良かったら……」
くらやんはデッキを手に持ち、不敵な笑みを浮かべる。
「ほう……」
天馬さんと玲哉さんはニヤリと口角を上げる。……トップ2人が何をやっているんだ、とは言うまい。
「くらやん!?どうしてデッキを……?」
「なんか鞄に入ってた、決闘したいって思ったら、鞄から光が……」
「やるな、くらやん!見直したよ」
俺がくらやんの肩を軽く叩くと、「えへへ」と喜ぶ。
「いやいや!怪奇現象だろ、君は何を平然としているんだよ?」
珍しく新美が動揺している。どうしたのだろう、何も可笑しいところはないのに……。
「可笑しいところだらけだと思うけど!?」
「まあ、新美はほっといて決闘しようぜ」
天馬さんがデッキを決闘者の紋章にセットする。――すると、アニメさながらのように決闘者の紋章が動き始める……!
「――思いっきり手動だったけどね……」
くらやんも負けじとデッキを決闘者の紋章にセットする。
ついに決闘が始まる――!
『決闘――!』
お互いのライフポイントが4000と表示される。
「普通に机にカードを置いて、スマホを電卓替わりにしてるんだけどなぁ……」
「俺の先行!ドロー……クイックスペル【翼竜の呼び声】を発動!この効果によりデッキよりワイバーンと名の付くカードを手札に加える」
「ワイバーンデッキ……攻撃力に優れたパワータイプのデッキでありながら、クイックスペルとの組み合わせでフィールドにワイバーンを特殊召喚していく強力なスタイルだ……」
「良く知っているな鷹谷、俺もさっきの決闘でフィールドにワイバーンを大量召喚されて敗北したんだ」
「そういうことだ。まだ俺のターンは終わってはいない……、さらにクイックスペル【翼竜覚醒】を発動!手札からワイバーンと名の付くカードを2枚墓地に送ることで、手札よりワイバーンを1体、召喚条件を無視して特殊召喚することが出来る――!」
『なにっ――!』
「そんな驚くこと?」
「いでよ!ワイバーン・エルドラド!!」
ワイバーン・エルドラド。☆8。攻撃力2800。守備力3000。①このカードが召喚した時、デッキからワイバーンと名の付くカードを3枚まで選択して手札に加える。その後、2枚を墓地に送る。②このカードが戦闘で破壊された場合、デッキ・墓地・手札からワイバーンと名の付くカードを2枚まで選びフィールドに召喚することが出来る。
「しょっぱなから高レベルモンスター……だと?」
俺の驚きに天馬さんはしたり顔で「当然だ」と返す。――カッコいいな。
「え、どこが?」
「俺はワイバーン・エルドラドの効果を発動させて、デッキから3枚カードを手札に加えて、2枚墓地へ送る。そして、墓地にいるワイバーン・ネクロマンサーの効果を発動!ワイバーンカードによって墓地に贈られた場合、墓地から特殊召喚することが出来る!さらに、ワイバーン・ネクロマンサーの効果――墓地に眠るワイバーンカードをデッキに戻すことで手札よりワイバーン・リヴァイアサンを特殊召喚だ!!」
「い、一気にフィールドにモンスターが3体も?」
「……手札を捨てると言うデメリットを掻き消すようにワイバーンの共鳴とも呼べるコンボの連続――これがワイバーンデッキの本髄だ」
「俺はカード1枚伏せ、ターンエンドだ。さあ、くらやん。かかってこい!」
「くっ……!絶対に負けないんだから――!僕のターン、ドロー!――クイックスペル【トイズ・シティ】をフィールドにセットする。このカードの効果によって僕は1ターンに何度でもトイズと名の付いたカードを召喚可能になる!」
「トイズデッキ……攻撃力は低いが相手に直接攻撃することが出来るトリッキーなデッキだ。しかし、攻撃力の高いワイバーンデッキのカウンターを喰らえばあっという間に敗北になる……目が離さないですね、玲哉さん」
「ああ、心が熱くなる……!」
「あー、帰りたーい」
「僕はクイックスペル【バースデイプレゼント】と【クリスマスプレゼント】を発動!それぞれライフを1000払うことでデッキからトイズモンスターを召喚することが出来る!――いでよ、トイズ・マジシャン!トイズ・セイバー!」
トイズ・マジシャン。☆7。攻撃力2000のトイズの中では最高レベルのカード。
トイズ・セイバー。☆7。攻撃力1500だが、相手のワイバーンモンスター1体につき500攻撃力を上げることが出来る。
「おお!トイズ・セイバーの能力によって、攻撃力が1500ポイントアップする――攻撃力3000!トイズ・マジシャンとの合計は5000!一気に勝負をつけられる」
「どうして君そんなテンション高いのさ?」
「いや、トイズは相手フィールドにモンスターがいても、直接攻撃することが出来るがその場合攻撃力は半減する!まだ倒しきれない――!」
「た、たしかに……」
俺の額からジワリと汗が垂れてくる。
もの凄い緊張――頑張れくらやん――!
「なんで汗かくの?というか、無視しないでー」
「まだまだ!まだボクはトイズを召喚出来る――」
「――いや、そこまでだくらやん!俺は伏せていたカード、カウンターマジック【翼竜の反撃】を発動!」
『な、なに――!!』
「このカードの効果によって、相手モンスターは必ず俺の選んだモンスターを攻撃しなければいけない!さらに攻撃力を1000ポイントアップ!」
ワイバーン・エルドラドの攻撃力が3800まで膨れ上がる――!!
「やばい!くらやん、モンスターをこれ以上召喚しちゃ駄目だ!」
くらやんは俺の呼びかけに対し、静かに首を横に振る――。
「……トイズ・マジシャンガールを召喚」
「なっ!……どうして」
「大丈夫、これが勝利への近道なんだ!」
くらやんは手札のカードを1枚、顔に近づけて――笑う。
「な、なんだこの嫌な感じは……!?」
天馬さんの言う通り、どこからか、くらやんの逆転を後押しする様な曲が流れている……!
「……いやいや、須藤先輩がコンポいじってるだけでしょ?」
「☆7のトイズ・マジシャンとトイズ・セイバー。さらに☆6のトイズ・マジシャンガール。自分フィールド上に☆が丁度20になる時だけ召喚出来るボクの切り札がある――!」
「!そんなトイズカード聞いたことが無いぞ?」
「そうでしょう、これはトイズカードではない。このカードは……神と呼べる存在!!」
「盛り上がっているところ申し訳ないんだけど、くらやんのキャラ変わってない?――誰も聞いてねーや、もういいや」
「3体のモンスターをデッキに戻し、このカードを特殊召喚する!いでよ、【幻獣・麒麟】!!」
フィールドに雷が落ち、大地が揺れる。そこに、一頭の美しい毛並みをした馬のようなモンスターが現れた……!
「幻獣・麒麟……だと」
「幻のカード、本当に存在していたのか?鞍馬、そのカードを何処で?」
「夢の中で出会ったんです。力を貸してくれるって。眼が覚めたらこのカードを握っていたんです」
「す、すげーよ!くらやん」
「ふふ……まあね」
「おーーい!余裕で怪奇現象だろうがー。つーか君誰?本当にくらやん?」
「このカードは戦闘を好まない……。しかし、相手のカードの効果によって麒麟は動き出す!――このカードの攻撃力は0ですが、相手モンスターとの戦闘でボクが受けるダメージは0!そして相手にモンスターの攻撃力分のダメージを受けて貰う!」
「なにーー!!」
「それだけではないです!このカードは……1ターンに3回まで攻撃が可能です!――いけ、麒麟――!!」
「う、うそだぁぁーーーー!!」
天馬さんのライフポイントが0になった。つまり――くらやんの勝利だ!
「くらやん、すげーよ!」
「えへへ、ホント~?」
くらやんは嬉しそうにコロコロと笑顔になる。
「完敗だぜ、くらやん。だが!次は負けないぜ」
今、両者の熱い握手が交わされた。
俺達は自然と盛大な拍手を送った……。
「オレは送ってないけどね」
「……さ、勝負も終わったしさっさと帰ろうぜ」
久しぶりに新美が口を開く。今まで黙って決闘を観戦していたのか……、いいとこあるよな、新美って。
「いやゴメン、思いっきりツッコんでたけどね?おそらく今までで1番」
宴もたけなわとなり、帰り支度をしようと思った時だった……、
「――待ちなさい、鞍馬鹿之助!部長に勝ったくらいで頭に乗らないことね、この私に勝ってから勝利の美酒という名の炭酸を飲むことね!」
「弥生……」
部室のドアから現れたのは、もの凄いどや顔をして決闘者の紋章を腕に着けている弥生さんと、何故か呆れている彩矢さんだった!
「え、何故かって……大志くん?」
「あーー、嫌な予感しかしない」
『決闘!!』
熱い1日はまだまだ終わることはなかった……!
「もういいって……」




