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ブラバン・B・アンビシャス ~吹奏楽で大志を抱け~   作者: 庭城優静
大会編:これこそが吹奏楽部?
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閑話?茉凛ちゃん(双蘭高校)の定期演奏会

 時間は少し戻り、中日吹の前……楽器講習会の翌週の話だ。


 俺は双蘭高校の定期演奏会に来ていた。

 今回は部で見ることはなく、個人の自由。まあ、日曜日だしな。


 俺は新美とくらやんを誘い演奏会に来ている。成り行きでクラリネットの清田ことキヨと、トランペットの手島佑都の5名となった。


「――あれ?彩矢さん」


 会場の受付でサックスパートに菓子折りを渡そうとした時に彩矢さんとばったり会う。


「ああ、鷹谷くん。……まあ、くるよね」


 彩矢さんは俺と茉凛ちゃんの関係を知っているので、ここでばったり会ったのにあまり驚かない。

 俺も彩矢さんは来るだろうなと思っていたから驚きはしなかった。

 彩矢さんはパーカス2年のまどかさんと2人で来たようだ。


「相性ピッタリやね~お2人さん」


 まどかさんはクスクスと上品に笑う。可愛い声質と関西の訛りが少し入っているので、そこはかとない奥ゆかしさがある人だ。彩矢さんと正反対のショートの茶髪とツリ眼が良く目立つ。


「まどかー」


 彩矢さんはジト目でまどかさんを制する。そこまで嫌がらなくても……。


「ごめんごめん~」


 全く悪びれない声でまどかさんは笑う。


「何してるんだ?大志」


 後ろから聞きなれた声が聞こえてくる。ま、まさか……


「――!あ、兄貴?」


「奇遇だな」


「わあー、鷹谷くんのお兄さんなんー?」


 まどかさんは興味深々に聞いてくる。


「え、ええ。まあ……」


「ああ、大志の部活の方達ですか?初めまして、兄の翔です」

 

 兄貴はそう言って綺麗にはにかむ。くそっ……、さまになってやがる!恥ずかしいから止めろよな、そういうの。


「なんで此処に……?」


「愚問だな」


 兄貴は受付で差し入れを渡しながらそう言う。たしかに愚問だな。彼女――茉凛ちゃんの演奏会を聞きに来たのだろう。俺と同じで。


「そっくりですね~特に目元」


 まどかさんは俺達兄弟を見比べて、感想を述べる。


「良く言われます。まあ、兄弟ですからね」


 兄貴はハハハとさわやかに笑う。付き合ってられん。


「――じゃあ、兄貴。俺達はそろそろ行くよ、行こうぜ」


 俺は新美達の背中を無理やり押してその場から離れる。


「ああ、大志……」


「……何だよ?」


「良かったな」


 何がだよ?と言いたかったが、言えなかった。発言の意味が俺は分かってしまったから……。


「何が良かったん?鷹やん」


「勿体ぶらせるなよ、鷹谷」


「……気になるよー」


 俺は沈黙を貫いた――。


「サッカーを辞めて、吹奏楽部に入って良かったな。じゃないとは思うけれどね」


 ……()()()()、新美!



***

『ありがとうございましたー!!』


 素晴らしい演奏と共に双蘭高校の定期演奏会が終わった。


「鷲峰さんだっけ?部長の。やっぱり上手だね」


「ああ……それに良い演奏だった」


「俺達の演奏会はどうなるんだろうねぇー」


「他の高校とは違って、俺達で曲を作って演奏するとか面白そうじゃないか?」


「誰が作るんだよ」


「俺作れるかもー」


「オレも興味あるかな」


「おっ!キヨと新美、これはいけるかもしれないな」


「ぼ、僕も何かしら手伝おうよ!」


「メイド服姿で給仕してくれるんかい?」


「ふぇぇぇ……!」


『ははは』


「…………」


「……どうしたんだい?鷹谷くん。センチメンタルな顔をして」


「どんな顔だよ……!」


「そんな顔」


「……!別に何でもないよ」


 兄貴の言葉が脳裏に焼き付いている。

 周りでこれからについてワイワイと話している仲間を見てふと思う。


 俺は心の中で「ああ、良かった」とポツリと呟いた――。


 何が良かったって?愚問だろ、言わないよ――。


 そんな分かり切っていることなんて。

 

 


 

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