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ブラバン・B・アンビシャス ~吹奏楽で大志を抱け~   作者: 庭城優静
大会編:これこそが吹奏楽部?
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中日吹編⑥本番!そして結果!!

 空気が重い。


 1人ではないのに、1人で吹いている感覚だった――。


***

 舞台が暗転し入場となる。

 声を極力出さないように、アイコンタクトで準部をしていく。

 会場からの微かな声と咳払い、舞台上の音だけが響く。


 準備が出来ると、舞台が暗転し、アナウンスが入る。

 学校名、曲紹介と続き、指揮者の名前が呼ばれ争覇先生は綺麗にお辞儀をする。観客席から拍手が起こる。

 いよいよだ――。


 先生は俺達を見て微かに頷く。手元でトントントンと指揮棒を左手にあてる。曲のテンポを俺達に伝える。


 先生が構えると同時に俺達も構える。

 舞台から息を吐き出す音と吸う音が聞こえる――。

 凱旋工業の演奏が始まる――。


***

 演奏はあっという間に終わった。演奏時間12分は聞いている方からすれば長く感じるかもしれないが、演奏している側からすればあっという間だ。

 長い時間をかけて、何回も練習して、本番は12分一発勝負。

 自分の音がやたら浮いているような感覚。

 周りの音がやけに遠くに感じる。

 ホールと普段の演奏場所の違いを身をもって感じた。


 観客からの視線が身体を重くさせ、ホールの響きが自分の音をどこかに吸収してくる。


 しっかり吹けた。練習通り。そんな感想は出なかった。


 もう一回やりたい――。それだけだった。


 楽しかったからではない。

 大会の雰囲気、進行、演奏、音の出し方を忘れたくなかったからだ。


 舞台からはけた時の表情は硬く、まだ緊張の糸が舞台から伸びてきていて、身体を固定されているようだった。


「どうだった?」


「――――!」


 彩矢さんの優しい声で我に返る。俺は何かから解き放されたように顔を崩し……


「よく覚えていないです」


 と情けない声を漏らす。


「……私もだよ。慣れないものだよね」


 彩矢さんは俺の情けない顔を見て、クスリと微笑む。


「あんたら、無駄話は後後。早く移動するわよ」


 弥生さんから激が飛ぶ。そうだった、急いで楽器を片付けて搬入しないと……


「撮影がまってるんだから」


 ……はい?


***

「――はーい!では取りますよー!はいチーズ!!……オッケーです。ありがとうございました」


「……演奏後に撮影するんですね、知らなかった」


「言ってなかったからね。オレは知ってたけれど」


「言えよ新美ー」


 今回のような大会では、演奏後に写真を取るそうだ。ということは、夏の大会でもやるってことだよな、覚えておこう。


「次はパートに分れて写真よ!気合入れていくわよ!」


「そこに気合入れてどうするのよ……」


 彩矢さんは弥生さんの言葉に軽くツッコミながら撮影場所に移動していく。

 周りの部員の様子を見ると、緊張からは解放されているようだ。


 その後、パートで何枚か取り、楽器の搬入に取り掛かる。

 会場のロータリーには大き目のテレビが設置されていて俺達の演奏が流れていた。

 見たいけれど、今は片づけが優先だ。

 後ろ髪を引かれる思いで、その場を後にする。

 あの映像は後で見れるのだろうか?


***

「いよいよ発表か……」


 楽器搬入も終わり、俺達のやることは他校の演奏を聞いて、その後は表彰式で自分達が何色の賞を言い渡されるかの時間だ。そして、その時間となった――。


『演奏番号8番、静岡県立浜松凱旋工業高等学校――』


 司会者が学校名を言う。舞台には部長と副部長が賞状を貰うために登壇しているのだ。

 ちなみに、賞は金、銀、銅の3種類。金賞の場合は銀賞と聞き間違えの内容に『ゴールド金賞』と言われる。


『――ゴールド金賞!』


 そうそう、こういう風に……って、はぁ!?


 



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