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ブラバン・B・アンビシャス ~吹奏楽で大志を抱け~   作者: 庭城優静
大会編:これこそが吹奏楽部?
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中日吹編⑤本番直前!

 あっという間に本番となった。

 会場はアクトシティの大ホール。こないだ演奏会を聞いたのが中ホールだったから……相当大きいのは言うまでもないな。


 本番の時間になるまで、体育館で最終チェックだ。


「――うん。よし、いいでしょう。そろそろ会場に向かう。急いで楽器の搬入をするように。前日のリハーサルを思い出して動くように。いいわね?」


『はい!!』


「部長、何か言う事はあるか?」


 ええ、何という無茶振り……と思ったが、天馬さんは淀みなく「はい!」と力強く返事をする。流石だ。


 天馬さんは指揮台に立ち、俺達の顔を見渡して口を開く。


「――いよいよ本番です。ホールで吹ける貴重な時間です。夏に向けて課題をしっかりと見つける様に。でも、この大会を夏の予行練習だと思わない様に!たしかに本大会に行ける切符は一握りだが、やる以上は取りに行く!――行くぞ!!」


『応!!』


「頼もしいですね~」


 先生は通常モードに戻っていた。本当に落差が凄いな……。


***

 パーカッションの指示に従ってトラックに打楽器を乗せていく。

 大会では、打楽器も自分達の学校のものを使うので荷物が多くなる。その為、準備も一苦労である。

 間違って変な所を触って壊してしまったら、洒落にならない。


「会場について降ろして、演奏後にすぐに楽器をトラックに積み込む。チューニング時間も決まっている!急げ、そして絶対にあてるなよ?」


 いつもよりも語気の強い口調で指示が飛び交う。懐かしい大会の空気だ。


「鷹谷、何をしてる!準備手伝え」


「はい!今すぐ」


 懐かしんでいる余裕なんてない、身体を動かせ――。


***

「凱旋工業のみなさんのチューニング室はこちらです」


 楽器の搬出が終わったと思えばすぐに楽器の準備をして、スタッフのワッペンを腕に着けている高校生に案内をされる。

 チューニング室は殺風景な1室だった。

 教室2つ分くらいの大きさの部屋にはパイプ椅子と、金管の水抜きに使うバケツ、壁に付けられている鏡くらいだ。


「よし!チューニングの前に身だしなみの確認!参加資格でもあるワッペンがしっかりとついているな」


 全員で確認をしあう。貴重なチューニングの時間だが、これが終わったら舞台裏で待機となる。確認は必須だ。


「クラリネットチューニング!それに合わせて各パートで音を合わせろ!」


 天馬さんと玲哉さんが交互に指示を飛ばしていく。3年生だからか、時間の大切さが分かっているのだろう。流れるような指示だ。


「――みんな、準備はいい?」


 チューニング室に争覇先生が綺麗なスーツ姿で入ってくる。着替えの関係で遅れてきたのか。

 中性的な顔立ちで足の長い争覇先生の、黒のスーツはさまになっている。燕尾服ではないが、黒を基調とした落ち着いたジャケットパンツ姿に、女性部員から溜息が零れる。憧れる女性像というやつだろうか。


「さあ、時間がない。最後の調整をする」


「はい!!」


***

「凱旋工業さん――そろそろ時間です」


 あっという間に時間が経った。冒頭を少し吹いたくらいで時間切れか、本当に早い……!


「よし、行こう」


 先生の言葉に返事をして、ゆっくりと舞台裏に向かって行く――。


「いよいよだな」


「そだね」


「そだねって、新美。緊張してないのかよ?」


「何を今更……中学の時から大会に出てるんだよ」


「そっか、そうだよな。流石……」


「緊張しまくりだね」


「おおい!」


「ふっ、みんなそうさ。緊張して吹けなかった、なんて言うなよ」


 新美は薄く笑みを作り、拳を突き付けた。


 俺は「お互いさまだ」と小さく呟いて拳を合わせた。


 さあ、切符をもらいにいきますか――。

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