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ブラバン・B・アンビシャス ~吹奏楽で大志を抱け~   作者: 庭城優静
大会編:これこそが吹奏楽部?
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中日吹編①まずは基礎練から

 合同演奏会が終わり、これからは本格的に中日吹に向けての練習となる。


 曲は先週先生の口から発表された。


***

「……今年の中日吹で演奏する曲は、課題曲は『アドヴァンス・マーチ』、自由曲は『アルカディア』に決定した。早速、練習に取り掛かりたいが今週は合同演奏会がある。私は同時進行は好きではない。クオリティを下げる可能性があるからだ。中日吹の曲練習は合同演奏会後にするので、まずは眼の前の課題をきっちりと行う様に……」


***

 争覇先生の指示により、大会の曲は1回通したくらいだ。

 だが、先生の判断は間違いではないだろう。あれこれ詰め込んでも良い演奏は出来ないし、完成度が下がるだろう。

 大会まで1か月くらい、厳しい練習が考えられる。身を引き締めないとな。


「彩矢に呼び出し喰らって説教されるくらい怠けてたんでしょ?引き締めて当然じゃない」


「そ、そうですね」


「ううう……」


 そう言えばそういう話だった。こないだの公園での出来事は彩矢さんに説教をされていた、という設定にしていたっけ。

 周りからは「サクパって厳しいんだな、鷹谷で練習不足って怒られるなんて」といった感じで、彩矢さんが厳格な先輩というイメージが付いてしまった。

 彩矢さんは(うつむ)きながら「そんなつもりじゃ……」とうな垂れていた。こればっかりはしょうがない、あんな目立つ行動をした時のリスクを考えておかないと……。俺は相当恥ずかしかったのだから。


 それよりもだ。大会に向けてやりたいことがあった。正直、1年の俺が口出ししていい内容かは分からないけれど、上手くなるための判断だ。彩矢さんの件でやる気を出した、と思って貰えればいいのだが……。

 そうすれば、彩矢さんの行動の信憑性も高まってあまり嫌な思いをしなくて済むだろうからな。

 起こった出来事を悔やむよりも、それを上手く活かせるように千思万考するべきだ――。


***

『基礎練を変える?』


 沙耶さんと弥生さんは声を揃えて聞き返す。

 俺は黙って頷く。


 吹奏楽をやり始めて1か月。俺が思ったことは基礎練習の内容だ。

 ブレスコントロール、半音階、アルペジオ、タンギング、ロングトーンと合奏に大事な基礎をやってはいるがこれでは駄目だと思ったのだ。


「何が駄目なのよ?」


「ブレスコントロールですかね」


「腹式呼吸が上手く出来ていないとかー?」


「それもあるんですけれど、ブレスコントロールで腹式呼吸を意識したのに、その後の練習で腹式呼吸で吹けている人が何人いるのかなと思ったんです。正直、自分自身も出来ていない自信があるので……」


 今やっているブレスコントロール練習は、メトロノームに合わせて8拍かけて吸って8拍吐き切るという内容。しかし、この練習が演奏に反映されているかといえば、少し疑ってしまう。なぜなら、演奏でそんなたっぷりと息を吸って吹くフレーズがあまりないからだ。もちろん、必要な要素ではあるが、今やっている練習と、息を2拍で吸って2拍で吹く方がよっぽど多い。


「――つまり、ブレスコントロールのレパートリーを増やすってこと?」


「ええ、僕なりに色々調べてみたんですけれど腹式呼吸が大事ってことは知っていますけど、それよりもリラックスして肺にたくさん空気を入れる練習の方が効果があると思いまして」


「うーん、わかった!基礎練のメニューは鷹谷くんに一任しよう。最近任せっぱなしだしね」


「それもそうですね。鷹谷ー、彩矢に絞られてやっと本気出し始めたの?」


 弥生さんはニヒヒと笑う。揶揄う気満々の態勢だ……。


「私も気になるかもー」


 あ、もう1人ドSがいたっけ。眼が怖いよ。


「と、とにかく!基礎練のメニューを少しずつ変更していこうと思います、意見があったらすぐに教えてください」


『了解ー』


 よし……、成り行きではあるが周りに指示を出す役職に()()ついてしまったわけだが、今回はこれでいい。筋肉をつけるのと同じで、3か月はかかると思っている。それまでに俺を含め、全員のレベルを1段階上げてみせる。

 

 いまから3か月後、夏の大会を見越して……。





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