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ブラバン・B・アンビシャス ~吹奏楽で大志を抱け~   作者: 庭城優静
大会編:これこそが吹奏楽部?
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楽器講習会~中篇~

 部活が終わり家に帰り、俺は自室で吹奏楽関連の動画を見ながら今週の土曜日に行く双蘭高校……に通っている二人のことを思い浮かべる――。  


私立双蘭高校、兄貴と幼なじみ鷲峰茉凛がいる高校である。


 兄貴はサッカーの関係で学校を休むことが多いので、融通の利く私立にしたのだ。双蘭にした理由は所属している浜松レイブンズの独身寮から近いからである。

 一方、茉凛……()()()と言わないと怒られるため()()()()()と呼ぶが、彼女は兄貴についていくために双蘭にしたのだ。

 好きな男性と一緒の高校を選ぶのは中々凄いことだと思うが、俺が言うのも何だが、ベストカップルである。

 どちらも容姿が良く、周りからの評価も高い。というか、兄貴に相応しい女性は彼女しかいないのではないだろうか?


 彼女もそれを理解しているそうだ。それも幼少の頃からだとか――。


「お母さんに言われたの!あなたたち兄弟は将来凄い大人になる。それにふさわしい女の子が必要だって!だから、わたしがあなたたちと並べるくらい努力して立派な花嫁になるんだから!!」


 昔、そんなことを言っていた。子供の頃の甘い思い出……ではなかったのだ。

 有言実行、茉凛ちゃんはいつも俺達兄弟の傍にいて支えてくれていたのだ。

 そして、凄い大人にほぼなっている兄貴と付き合っている。漫画のようなお話ではあるが、事実である。


 そんな2人はいつも俺を気にかけてくれる。似たもの同士だと思う反面、面倒見が良すぎる気がするのだ。

……いまだに会うたびに抱きしめらるし、頭を撫でられる始末だ。だから会いたくはなかったのだが、きっと会うだろう。


 吹奏楽部が他校と接することが多いなんて知らなかったし、双蘭とはよく一緒にイベントをやると聞いた時には耳を疑った。


「……こないだ兄貴といった発言が見事にフラグ回収したような感覚だ、まったく。まあ、来週は1年の行事だから会わないだろう!」


 こうして、今日も俺は自室で綺麗にフラグを立てるのだった――。



***

 土曜日、各自で双蘭高校に向かう。俺はいつものメンバー、くらやんと新美の3人だ。


「き、緊張するね~。他校の1年生が集まるんだよね?ボクのフルート一番下手だったらどうしよう……」


 くらやんはフルートを抱えながらふるふると小鹿のように震える。


「そんな変わらないよくらやん。みんな1年なんだし、中学から楽器やっている人がいると思うけど、中学のレベルなんて大したことないから。実力が眼に見えて離れることなんてないさ」


「そんなものなのか。俺は周りが凄く上手だから勉強させて貰うつもりだったんだけど……」


「いや、君のバリサクのレベルはかなり上だと思うけどね」


 俺は「それはないだろ」と薄く笑い、他の凱旋部員が集まっている所に向かう。


「ありがとうございます、石川先生」


 副顧問の石川先生の車から楽器を受け取りお礼を言う。


「皆さん頑張って下さいね」


 石川先生はトランクを閉めて軽く激励をくれた。


『はい』


 前回のプロムナードコンサートの時もそうだったが、持ち運びが大変な、大きめな楽器は顧問の先生達の車に乗せてもらうのだ。今回は副顧問の石川先生だけだ。ちなみに争覇先生はここには来ないでいつもの練習の指導だ。


「大きい楽器でバスや自転車は厳しいもんね」


 くらやんが楽器の搬入を手伝いながら呟く。そう、くらやんのような小さい楽器を担当している人は自分で持って現場に向かうのだ。


「よし!受付を済まして各自楽器ごとに別れて講習を受けて、終わったらまたこの場所に集まるように!昼はどっかで一緒に食べようぜ、以上!」


 1年パートリーダーの佑都が指示を出す。副部長の玲哉さんが言った通り、適任だな。しっかりと仕事をこなしている。


「――さてと、行くか新美」


「だね」


 楽器を持って『楽器講習会入り口』の看板が置いてある玄関に入ろうとした時だった――、


「――――た・い・しーー!!」


「……!!」


 大声と共に後ろから抱きしめられる……!!


 周りから声にならない声が飛んでくる。あーあ、こうなるよな。


 嫌な予感がズバリ的中した……。俺は()()()()()()()()ゆっくりと背中に抱きついてきた女性の顔を見る。


「……茉凛ちゃん」


「へへ、なによ。こんな美人に抱きついてもらっているのよ?もっと喜びなさいよ、大志」


 茉凛ちゃんはにっこりと綺麗な笑顔を見せて、そう言うのだった。


 今、頭をよぎったことがある。

 俺はよく弥生さんには頭が上がらない。と、発言しているがその理由が今分かった。

 似てるんだ、この二人。性格が……。


 周りの硬直した顔を見て、俺は深く溜息をついた。


「……まだ始まってないのに疲れてきた」 

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