楽器講習会~前篇~
翌日の部活終了後、副部長からの連絡事項で嫌なことを聞いてしまった。
「今週の土曜日、1年は楽器講習会に参加してもらう。これは他校の1年が集まり、楽器ごとに別れて講師の先生に指導してもらう。という内容だ」
ああ、スケジュールに載っていたやつか。有難い、教えてもらえるのか。で、どこでやるのだろうか?
そんな、悠長な考えは玲哉さんの発言で吹き飛ぶのだった……。
「場所は浜松双蘭高校だ」
ドクン――。と、強く心臓が跳ねる。……嘘だろ?
「……どうしたの?固まって」
彩矢さんが心配そうに俺の顔を覗く。
「い、いえ……なにも」
歯切れの悪い言い方が気になったのか、彩矢さんはぐいっと俺の顔に近づく……!
俺は心の中で「近い!近い!!」と叫んでいるが、当然のごとく聞こえるわけもなく彩矢さんは俺の顔を凝視する。
「あのーーーー、彩矢さん?」
「……わかった、中学の時に付き合っていた女の子が双蘭にいるんでしょ?」
少しムスッとしたような言い方をする彩矢さん。先輩だけどすいません、可愛いです。その表情で言われると嫉妬しているように感じてしまうから止めて頂きたい。彩矢さんほどの美人が嫉妬するなんて考えるのは、男の淡い期待というやつだ。
「違いますよ。知り合いがいるんですよ、それと僕の兄貴が……」
「ああー、でも会う事はないでしょ?そんな落ち込まなくても」
会う事がない……なんてことがないんだよなー、これが。
だって、兄貴の彼女で俺達兄弟の幼なじみである、鷲峰茉凛は吹奏楽部なのだから……。




