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ブラバン・B・アンビシャス ~吹奏楽で大志を抱け~   作者: 庭城優静
大会編:これこそが吹奏楽部?
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閑話:動画部部長から見た二人

 プロムナードコンサートが終わり、月曜日のことだ。

 彼はアルバム係が撮った映像や写真が入ったSDカードを持って、『動画部』の部室に入ってきた。


新房(しんぼう)ー、データ持ってきたぞ」


「おお、玲哉君。お疲れさま」


 動画部部長である僕、新房は手を差し出してSDカードを受け取る。


「確かに、預かった」


「天馬部長から良い動画にしてくれ、だそうだ。天ちゃんの無茶ぶりに毎度突き合わせて悪いな」


 玲哉君はそう言い放ち、苦笑いを浮かべる。


「とんでもない、天馬君のお蔭で動画部(うち)の編集技術が上がってきている。僕も部員も吹奏楽部の編集作業は楽しいからね」


 そう、この部活の動画を編集するのはとても楽しい。部活がまるでアニメスタジオの様に変わっていくからだ。


***

 インターネットの動画などが脚光を浴びてきている中、凱旋工業の動画部の活動はとても役に立っている。


 動画編集のイロハを学び、どのように面白い動画にするかを話し合って決める。

 作業環境も整っているし、部活だから経費が落ちる。そして、自分達の作った動画が評価される。

 これほどまでに充実した部活はあるだろうかと、常に思ってしまう。


 そして、吹奏楽部との繋がりだ。


「MVを作りたい。そのおまけで撮影時のオフショットとか撮影したい。それをアルバムにするって面白くないか?」


 僕が一年生の頃、同じ機械科の天道天馬君がそう話しかけてきたのだ。

 

 いままでの動画部は学校紹介の撮影や部活紹介映像などの、ビデオカメラで回した映像を簡単にまとめるくらいだった。

 だが、天馬君のアイディアはまるでプロのバンドのライブDVDの様な構成だった。


 自分達が演奏した曲をBGMに部員達のインタビューや練習風景を動画にしたいと言った。


「面白そうだね」と僕が返すと、やってもらう以上は最低限の協力はするから心配するな、と天馬君は胸を叩いた。

 その言葉通り、部でアルバム係を作り、こまめに写真や動画を撮って素材を自分達で集めてくれたのだ。


 こちらの負担は軽くなり、動画編集もしやすい。それに、実現したい内容が分かりやすくて、動画部のモチベーションもおのずと上がっていったのだ。



 そして、今日もこうして集めた素材を持ってきてくれたのだ。


「動画部も演奏会の度に出向いて貰っているけど大丈夫なのか?」


「大丈夫というか……本来は動画部の仕事だからね。大会の映像を撮影するのとかは。吹部くらいだよ、能動的に動いてくれるのは」


「他の部活に俺達の活動を教えたら動画部はパンクするよな。完成度の高いモノを作ってくれると言ったら――」


 玲哉君は僕のパソコンを覗きこむ。画面には編集ソフトが開かれていて、音声波形に沿ってテロップを入れているところだ。


「確かに。でも、他の部活は僕達のことを眼中にしていないから気は楽だけどね。オタク集団と思われているくらいだからさ」


「目立ち過ぎても、活動がやりづらくなるだけだ、それでいいと思うけどな。言わせておけばいい、俺達自身が楽しめれば周りの眼なんてほどほどに気にするくらいで丁度いい」


「……そうだね」


「監督ー、ここどうすればいいですー?」


 部員が手を上げて僕を手招きする。

 部内では部長を監督と呼ぶしきたりになっている。結構気に入っている。


「作業の邪魔したな、俺はここで。今度、天馬と一緒に差し入れ持ってくるよ」


 玲哉君はさっと部屋を出て行った。



 傍から見れば、チャラくてクラスのヤンキーグループに居そうな二人だが、相手のことを気にして行動が出来て、優しい。


 二人の様な部長と副部長がいる吹奏学部は安泰だな、と毎度思ってしまう。


「監督ーー」


「はいはい!」


 こちらも負けてはいられないな――。

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