閑話:僕のあだ名
お待たせです、庭城です。
また投稿が遅れました、すいません。
個人的に色々悩んでいて、こちらに手が回らなかったです。
テンポを上げて、今年中に終わらせたいですね!
僕の名前は鞍馬……鹿之助。
高校生になり、楽しいことや友人が出来て充実出来てはいる。いるんだけど……、困っている事がある。直したいところは山の様にあるんだけど、今一番困っているのは”あだ名”である。
「鹿ちゃーん!」
「ねえねえ、鹿くん?」
どうして!名前で呼ぶのかな?
全国の鹿之助の人と名前を付けてくれた両親には悪いけれど、どうも好きになれない……。
苗字が鞍馬でカッコいいから余計目立つ……。それに、苗字と名前をつなげると、ば……馬鹿になるのだ。凄く嫌だ。
両親曰く、僕が生まれてすぐ危険な状態だったという。
家族が固唾を飲んで僕の容体を心配している時、おじいちゃんが「鹿之助!」と名前を呼んだらしい。
すると、奇跡的にというか偶然にも僕は一命を取りとめたそうだ。それが名前の由来。おじいちゃんに聞いても「そう呼べばお前が助かると思った」だそうだ。
なんてことをしたんだ!とは言えない。でも、もっとカッコいい名前が良かったのが本心。
そこで、良いあだ名が欲しいのだ。ば……揶揄われないような親しみのあるあだ名が欲しい……。
頼れる人はあの人しかいなかった。
***
「……こんな所に呼んで、何をすること思ったら……あだ名って……」
体育館の裏側、人気のない無い所で鷹谷大志くんは目頭を強く揉む。眼でも痛いのかな?
「大丈夫?」
鷹谷くんは「大丈夫」と微笑を零し、いつもの鋭い鷹の様な眼を僕に向ける。
「――それで、あだ名が欲しいって?」
僕はコクリと頷き、最近の悩みを打ち明ける。
「つまり、名前ではなく苗字を使ったあだ名がいいと……」
「うん!何とかならないかな?」
「そうだな……、”くらやん”なんてどうだ?言いやすいし上級生になった時に後輩からも「くらやん先輩」って気軽に言えるだろうからな」
「うん!!凄く良いよ!くらやん」
僕は男らしく荒々しいしく身体に力を籠める。
鷹谷くんは苦笑いを浮かべて「喜んでもらえてなによりだ」と眼光を弱める。
「でも、、みんな呼んでくれるかなぁ?」
「あだ名ってのは、言いやすさと親しみやすさのバランスだからな。俺や新美の1年が呼んでいけば、おのずと呼ばれるだろうさ。さ、練習場に戻ろうか。くらやん」
「うん!!」
***
やっぱり鷹谷くんに相談して正解だった。
初めは疎らな呼び方だったけれど、日に日にくらやんと呼ばれる日が増えていった。
気付けば、クラスメートからもくらやんと呼ばれる様になっていた。
流石鷹谷くんだと思う。
彼の行動力、発言の仕方、気づかいなど、僕の理想とする男性像を彼は持っている。
「……頼むからそんな眼で見ないでくれ」
僕の羨望の眼差しに気付いたのか、鷹谷君は頭を抱える。
「ごめん、気が散るよね?」
「いや、そうじゃなくて……」
鷹谷くんが良い淀んでいると、近くにいた新美くんがぼそりと「……BLコンビ」と呟く。……意味が分からない。
「新美……!まあ、なんだ。誰でも強く視線を感じるってのは気分が良くない。何かついてる?とか思っちゃうからな、ほどほどにしてくれ」
「わ、わかったよ。気を付ける」
僕はフンと男らしく鼻を鳴らす。
僕もいつか鷹谷くんみたいなカッコいい男になって、女性から「カッコいい」と言われる様になるぞ!
***
この時からだろうか、時たま「雰囲気が変わった」と言われる様になったのは……。
でも、「カッコ良くなった」とは言われないので、日々精進だ!!
僕は男らしく鼻を鳴らす――。




