定期演奏会を見に行こう②
このくらいの文量が限界です。
早く見て欲しいですね。(ほんとですね)
「差し入れですか?」
洋菓子店の甘い砂糖の香りが鼻孔をくすぐる。
「そうよ、定演ではOB・OGや知人からの差し入れをするものなのよ。部で行く場合には同じパートに差し入れするのよ」
「そういうしきたりがあるんですね」
「そ、仲がいいから渡す人もいるだろうけど私達の場合はアピールに使うのよ」
二ヒヒといつものように悪い笑みでそう話す。
その笑い方はどうにかならないのか?
「で、アピールって?」
「私達GWOが見に来ましたよ、差し入れも入れましたよ、だから、私達の定演見に来てくださいね!のアピールよ」
なるほどね。差し入れまでしてくれた自分達にお礼と言う名の定演のお誘いか。
「……まあ、差し入れをしたからといって、必ず来てくれるわけではないんだけどね。気持ちが大事ってことじゃないかな?」
彩矢さんは困った顔を浮かべる。……俺達の定演は10月くらいって言っていたからな、忘れられても仕方ない気もする。
「大丈夫よ。メッセージに必ず来い!!って書いておくから」
大丈夫ではないだろう、弥生さんらしいけど……。
「――というわけで、1人500円頂戴な」
弥生さんはニンマリと笑い手のひらを広げ、お金を催促する。
こればっかりは仕方ないな。俺が財布を取り出そうとすると、新美が俺の前に拳を突き出す。
「鷹谷くん……恨みっこなしだぜ」
「まったく……上等だ!!」
***
俺は1000円札を弥生さんに渡し、差し入れを無事購入。
「くそっ!!裏を読み過ぎたか」
俺は右手で顔を覆う。
新美は人差し指と中指を使ってタバコを吹かす真似をする。
「気持ちよく演奏を聞けそうだ」
腹が立つが勝負だ、あまんじて受け入れよう。
***
アクトシティ内に入ると、かなりの人数が列を作っていた。
綺麗なエントランスで係員の人達が忙しなく動いている。
「凄い人ですね」
「開場の時は混んでいるもんよ。実際にホールに入ると満席には中々ならないのよね。中ホールといっても1000人は入れるんだから」
「……中ホールで1000人ですか。大ホールはもっとなんでしょうね」
俺が息を漏らすと、彩矢さんはクスクスと笑い「2000は余裕で入るよ」と答えてくれた。
そんな人数の前で演奏をするのか。……いや、これから俺もしていくのか。
早くホールの中に入りたい。
そして、演奏を聞いてみたい。
「楽しみで眼を光らせるのは構わないけど、周りからしたら睨んでいる様に見えるから気を付けてね」
新美に冷静に注意をされてしまった。
今回ばかりは俺が悪いな……、気を付けます。




