表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブラバン・B・アンビシャス ~吹奏楽で大志を抱け~   作者: 庭城優静
大会編:凱旋工業高校吹奏楽との出会い
2/167

ようこそ、吹奏楽部へ!!① きっかけは適当に

1日ですぐ投稿したのは初めてかもしれません。

まあ、次話の投稿はいつになるのやら(笑)

 静岡県立浜松凱旋工業高等学校。――通称『凱旋』。


 浜松市の姫街道の通りに創立された公立学校。


 工業高校ということもあり、様々な学科が存在しており、就職・専門分野に強い高校である。

 機械・電気・情報・進学・デザインと幅広い分野で学業を学ぶことが出来る。


 工業高校という名で女生徒が少ないイメージがあるが、凱旋高校の男女割合は7:3とかなりの女生徒が入学している。因みに工業高校で3は凄いらしい。


 情報科やデザイン科等の女子が学びたい科があるのも一因だが、部活動、特に弓道・バレーの強豪校であるところが女生徒の多い理由だろう。

『ものづくりで未来を創る』がこの高校のモットーである。


 入学式でのオリエンテーションの内容をまとめるとそんな感じであった。

 凱旋工業に入学して3日が経つ。大分クラスとも慣れてきたところだ。

 工業高校というと、「ヤンキーが多い」というイメージがあったが、ヤンキー4、オタクより4、どっちつかず2といった割り振りで、俺はどっちつかずに分類される。


 

 昼休みになり、俺は隣の席にいる男に話しかける。


新美(にいみ)、飯にしようぜ」


「そうだね」


 新美(にいみ) 浩太郎(こうたろう)

 俺と同じ中学で高校も同じ、凱旋工業では課によってクラス分けされるのだが、やはりここでも俺と同じ電気課だった。そして、席も隣ときた。気付いたらお互い仲良くなっていたのは必然かもしれない。


「この後は部活動紹介だっけか?」


「そうそう、鷹谷君はサッカーやってたんだっけ?高校でも続けるの?」


「いや、やるつもりはないよ。大変だもん、走らされるの。新美は吹奏楽部だったよな?」


 お互い、中学時代はそこまで接点がなかった為、知っている情報が少ない。確か中学に入る前まで柔道をやっていたとか、学生服越しでも分かるガッチリとした鳩胸を見ると頷ける。

 俺は2段弁当のおかずとご飯を順番に口に運ぶ。新美は1段弁当のふりかけご飯をバクバクとすすめる。


「ああ、そうだよ。高校でも吹部に入るつもりかな、他に入りたい部活もないし」


「そっか……なあ、新美」


「ん?」


「俺でも入れるかな?吹部」


「んー、まあ、出来るんじゃない?わかんないけど」


「適当だな、相変わらず。楽譜とか読めないんだけど大丈夫か?」


「大丈夫でしょ、覚えられるよ。多分ね」


 新美はサッパリとした髪を掻きながらそう言う。サッパリとするのは、床屋で整えられたであろう髪だけにして欲しいものだ。


「新美と同じ楽器にして教えて貰えばいいか」


「鷹谷君、吹部に興味あったっけ?」


「運動部は大変そうだからな。文化部で入りたいと思うのは吹部くらいかな、新美がいるなら楽しそうだしな」


「まあ、不純な動機ではあるけど入部するきっかけとしては無難だね。部活動紹介でおそらく演奏するはずだから、それで決めてもいいし」


「だな」


 話が一息ついたので弁当の残りを掻き込む。すると、新美がポツリと呟いた。


「ああ、言い忘れてたけど、吹部も結構大変だからね。まあ、鷹谷君なら大丈夫か」


「え、そうなのか?」


「あくまで思いのほかって話だよ」



***

 部活動紹介の時間になり、体育館に集められた。


 暫くすると生徒会であろう生徒が司会を始め、体育館のひな壇からスクリーンが下ろされると、プロジェクターから部活動紹介の動画が始まる。


 運動部から順番に部活動の様子や部員のインタビューが丁寧に編集されていた。その映像の出来栄えに唖然とする。


 テロップが入っていたり、BGM、効果音といったテレビを見ている様な感覚に陥る。随分とお金を掛けている。

 文化部に順番が周ると、更に驚かされる。


『凱旋工業動画部です、今までご視聴されている動画は全て僕達動画部が撮影、編集しています!』


 これには周りからも一驚(いっきょう)の声が漏れる。

 こんなレベルの高い動画を作れるのか、凄いな工業高校って。

 そんなことを思っていると、動画からツッコミを喰らう。


『あ、こんなことが出来るのは凱旋工業だけですからね!インターネットへの動画投稿が盛んになっている中、部活動として楽しく、そして為になる活動が出来るのが、凱旋工業のいいところです!!』


 成程、大したもんだ。と何故か上から目線の発言が俺の隣に座っている新美の口から洩れる。何様なんだよ、新美井は。


 その後、吹奏楽部の紹介が始まる。

 楽しそうだ、素直にそう思った。入部するつもりだったからか、内容は他の部活と同じ筈なのに。

 正直、演奏のレベルなんて分からないけれど、一生懸命に楽器を演奏している姿は羨ましい。

 

「……いいね」


 新美は小さく呟く。独り言だと思ったが、俺も小さく「ああ」と呟く。


 

 部活動紹介が終わり、スクリーンが上げられると同時に、緞帳(どんちょう)がゆっくりと下がっていく。そして、緞帳で隠れているが、ガチャガチャと人が頻繁に動いている音が聞こえた。

 生徒会から、これからの日程、部活動の見学・体験の説明が始まる。そして、最後にこう言うのだ。


「では最後に、吹奏楽部の演奏をお聞き下さい」


 真面目そうな生徒会役員は感情を込めずに言葉を発する。もう少し「お聞き下さい!!」って感じで言えないのか。

 愚痴を心の中でこぼしていると、緞帳がゆっくりと上がる。

 楽器をかまえた部員達の顔が視認出来るくらいのタイミングで演奏が始まる。

 

 どこかで聞いたことのあるカッコいいメロディー。

 後で知るのだが、曲名は『TRUTH』昔、F1ブームの時に流れていた曲だった。

 


***

 放課後になり、俺と新美は吹奏楽部の部室へと足を運ぶのであった……。

 

部員紹介(仮)

名前:鷹谷 大志 

生年月日:11月9日

血液型:A型

楽器:未定

好きな番号:11

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ