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ブラバン・B・アンビシャス ~吹奏楽で大志を抱け~   作者: 庭城優静
冬の陣:アンコン・SJ&Pコンテスト編
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学生指揮者殿は今日も考える

個人的に抱えていた課題がやっと終わりました。これからは更新を元に戻しますよー……のつもりです。

「――あー、やっぱりそうなるのかー」


 1年ベース担当のまっつんこと松本和徳が()()()()を持ってぼやく。

 顔がキツネ顔で襟足が長いこともあり、見た目はかなり強面に見えてしまうがノリが良く、仲間思いな友人だ。


「フルートも凄く上手いよ!カッコいいな~」


 くらやんはお世辞ではなく本心でそう言う。そんな尊敬の眼差しで見られると愚痴も……言いづらそうだな。


「大したものだよ。さ、続きをやろうか」


 フルート2年の武居凛さんは細く鋭い眼をくらやん達に向けて放つ。決して怒っているわけではない。これが凛さんの通常なのだ。


 ――さて、何故まっつんがフルートをやっているのか。「やっぱりそうなるのか」と言ったのかと言うと、それは吹奏楽あるあるの内面が多く含まれている。


 まず、まっつんがフルートをやっている理由は至極簡単。フルートが2名しかいないからである。

 アンサンブルは3名以上が原則となっているので、フルートパートはクラリネットと一緒に木管全体のアンサンブルにしたりする必要がある。

 学校ごと部員の楽器の人数はバランスを考えている。しかし、3年生が引退をすればそのバランスも自然と狂う。足りないところには補充で入ったり、多いパートは今回はお休み――つまりは参加しないといった方法が取られるのが吹奏楽あるあるだ。


 俺達サックスパートは丁度4人いるので、4重奏という形で参加できるし曲も選びやすい。

 そう思うと俺のパートはかなり恵まれていると言える。他のパートは色々と大変そうだからな。


 たとえばユーフォは2名いるが、金管アンサンブルでは1名が基本になっている曲が多い。1年の恭輔は参加出来ない可能性が高い。2年にユーフォがいるからだ。

 アンサンブルは3名以上8名以下がルールだ。凱旋は10名の金管楽器がいるので、2名溢れることになる。


 ここでまっつんの先程の言葉が結びつく。


 この話はまっつんから聞いた話なのだが、入部初めの楽器の選択が決まって数週間が立った時だったという。

 玲哉さんがまっつんや恭輔を呼んで、違う楽器の練習をさせたのだ。


『――不測の事態が発生して急遽他の楽器をやることがある。これは吹奏楽にいる以上起こってしまうことだ。いつかは分からないが、然るべき時に踏まえて練習をしておけ』


 そう言われたそうだ。そしてまっつんは一通りやった時に手ごたえがあったフルートを今吹いている――といった経緯がある。

 

 流石は玲哉さん。しっかりと先のことを考えているな、とその話を聞いたときは思ったが、今思うと玲哉さんもまっつんと同じベース。同じ様な経験があったから、早めに行動に移したのかもしれないな。

 

 恭輔とトランペットの三浦香澄の2人も今回は打楽器での参加となる。

 部員がいれば編成を増やせるが……こればっかりはしょうがない。

 部員が多い高校だって、楽器の編成は偏ることだってあるだろうし、オーディションも激しさを増す。どちらがいいと聞かれたら、俺はこの高校のスタイルがいいと即答するだろうな。


 そのようなことを経て今回のアンコンはやっていくことになる。

 編成はサックス4重奏・クラリネット3重奏・フルート3重奏・金管8重奏・打楽器4重奏の5編成で練習をしていく。その中で2編成が大会に参加が出来る……か、出来たら参加したいな。勿論、ハンバーグとチーズケーキのためではない。


 アンコンの話ばかりしているが普通の演奏会もある。練習のバランスもそうだが、アンコンのレベルを上げたいな。――よし、基礎練習を変えていこう。


「おい鷹谷、眼が怖いぞ」


「気を付けた方がいいよまっつん、彼はあの眼になっている時は大抵厳しいことをやらせようとしているだろうから」


「分かってるよ、こいつとの付き合いも長くなってきた。あー、練習ガンバローっと」


「…………そんなに目付き悪いのか?俺って」


「そうでもないけどさ、何か千思万考している目付きなんだよね」


「センシバンコウ?なんだそれ」


「だから何で俺の心の中が分かるんだよ新美は!」


 本当に末恐ろしい友人である。


***

「基礎練に連符練習の追加と合奏後にアンコンの曲を順番で演奏か……」


「はい、連符練習といっても何かの曲のソロを抜粋したりしたら面白いかと。ただ連符をするのでは効果が薄いと思うので実際の曲にした方が表現も付けやすいのかなって」


「いいんじゃない?私は好きね。基礎でやる連符練習も十分大事だけど、実際に曲で昇華させないとね」


 弥生さんの発言に亘さんは「そうだね」と頷く。

 部活動終了後、亘さんと弥生さんを読んでの会議だ。1年の俺がこんなことしていいのかと思ったが、「あんたは学指揮なのよ」と言う弥生さんの強い一言で何かあったら必ず報告という決まりを作った。

 こういった話し合いの時の弥生さんは適切な判断が取れるので、文化祭の時の様な暴走がなくて頼りになる。


「合奏後に演奏ってのは……場数を踏ませるってことか。いつもはもっと後にやるんだけどな。でも急すぎないか?まだろくに練習出来ていない」


「なら……小節を決めてここだけを見てもらう――といった方法でどうでしょうか?課題が決まれば練習にも身が入りますし、少しずつ披露できる小節が増えるのはいいことかと」


「そうだね、そのほうがモチベーションも上がるか」


「はい。ただし――1つだけルールを決めたいです」


『ルール?』


 2人は口を揃えて言い俺は静かに頷く。


「どんなレベルだったとしても必ずプラス的なコメントにすることです」


「具体的には?」


 亘さんが尋ねる。


「例えば――「ピッチが悪い」とか「音が走っている」などの感想はNGです。そういったことは演奏している本人が自覚していることですから。先生に指摘されるならともかく、同じ部員に言われるのは空気が悪くなりますからね」


「そうね……、ピッチが悪い奴に「ピッチが悪い」って指摘されたらピキリとくるから」


 それは……どうだろうか?分からなくもないけど。

 俺は話を続ける。


「お互いに高め合うってやり方は良いと思いますが、それで空気が悪くなっては本末転倒です。ただでさえみんなの前で演奏するので緊張やストレスは蓄積されますから」


「だからNGか」


「ええ。せっかく頑張って演奏して拍手もなしじゃあんまりです。演奏後の拍手は必須。そして感想を言う時は良かった点のみを言うんです。褒めて伸ばすって訳ではないんですがやる気を下げずにやるためには大事なことかと」


「良い案だね。悪いところは先生に言ってもらうとするか。そして、悪かったと思う点は演奏者側に言わせようか。学指揮と七瀬はそれをメモして、練習に活かす。で、どうだろうか?」


「良いと思います」


「異議ナーシ」


「よし、先生には俺から言っておく。鷹谷は今週までに基礎練のメニューを考えておくように、七瀬は確認とアドバイスを」


 亘さんが話を纏めてお開きとなった。


 練習場に戻ろうとした時、弥生さんが俺の肩に手を乗せる。


「いやー、やる気満々ですなー学指揮殿は」


「大会まで日があるこの時期が追い込みどころですからね。大会前になって何とかなるほど吹奏楽は甘くないですから」


「言うね。まあ、その通りだわね。――あんたに学指揮の仕事全部押し付けて悪いと思ってるけど、あんたに任せて正解だって気持ちもあるんだよね。私も補佐係として出来る限りはするからさ、好きな様に動きなよ?学指揮殿」


「はは、了解です」


 弥生さんは手をひらひらと振って先に練習場に戻っていく。


 その後、亘さんと軽く雑談をして練習場に戻るとサクパの3人が楽器を構えて俺と眼が合う。


「おっそーい!何チンタラしてんのよ?」


「さあ、やろうか?」


「弥生がやる気満々なんだけど……合わせよっか」


「――はい!」


 俺は急いで自分の席について相棒を構える。ストラップ越しでも分かる重みを噛みしめて音を重ねていく。

全然関係ない話ですが、「俺ガイル」完結しましたね。お疲れ様でした。


いやー面白かったです。最終回も2回見ました。(も?)

ところで雪ノ下さんの私服、「竜王のおしごと」のあいちゃんに似てるって思ったのは僕だけですかね?(お前だけだ)


もっと語りたいところですが、後書きとは関係なさすぎるので止めときます。

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