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美少女戦士のマスコット  作者: テン
7/16

○○1-6 新田&田畑コンビ2○○


俺が3人分のコーヒー(無料)を持ってくると、新田さんは再び俺の腕の中に納まり言う。

テーブルの上を見ると、田畑さんが映っている数枚の写真があった。

すべてデザインが違う。


「これ、どうしたんですか?」


どれも黒や紫を基調としたデザインで、どれも微妙に淫靡なものだった。

目の前の田畑さんは顔を真っ赤にして俯いていた。


「新しくコスチュームが増えたニャー。男の人の意見を聞きたくてニャー」


ああ、なるほど。

新田さんの能力が上がって、いろいろなコスチュームを選べるようになったのだ。

講習でマスコットの能力が上がると、そんな事ができると聞いていた。

それで俺に、と。


「次の役はどんな感じなんですか?」

「普通のヒーローショーなんですけどニャー。スポンサーが父母の受けを最大限に考えてほしいとニャー。お父さんの来る商店街を目指しているらしいのニャー」


なるほど、なるほど。

スポンサーは商店街。普段は来ないであろうお父さんがターゲット。

その為にはお色気たっぷりな配役、という訳か。


田畑さんなら、人気も出るだろう。

なにせ、下手な男より背の高いモデル体型。だというのに胸も大きい。

今は野暮ったい格好をしているがこのコスチュームに着替えれば、全然違う人のように感じるほどになる。

それに長い前髪で隠しているものの、その素顔は柔らかい感じのする美人さんなのだ。


「……豪拿さん、ウチの娘恥ずかしがいるのであんまりジロジロと見ないでほしいニャー」


と、新田さんの言葉でハッとする。

いつの間にか田畑さんを凝視していたのだ。

田畑さんはソワソワと、居にくそうにしていた。


「失礼しました」


照れるのも何か違う気がして、なるべく誠実に聞こえるように言う。

そして、話を切り替えるために1枚の写真を選んだ。


「これ、……これなんてどうなんですかね」


数枚ある中でも、一番肌の面積が狭いものを選んだ。

一見、ウェデイングドレスに近いデザイン。黒と赤の毒々しい彩色。


「……どうしてこれかニャー」

「ああ、いえ。家族連れだというのに露出過多な衣装というのは……。男としては確かに嬉しいですがこれがお父さんという立場になったときを考えると、少し不味いですよね。お2人もツレの男性が他の女性に見とれるのは、面白くないでしょう?」


新田さんと田畑さんにそう告げる。


「──ですですっ。新田さん、だからこれがいいですよねっ!?」

「待って。ヒナはただ露出の多い服装が嫌いなだけでしょう? でも、なるほど豪拿さんの意見も一理あります……ニャー」


食い気味で田畑さんは言うが、冷静に新田さんに返されていた。

そして、『ニャー』という新田さんの語尾はキャラクターを作っているらしかった。


「それに、田畑さんは過激な衣装を着なくても整った顔立ちですし、十分すぎるほどかと」

「……ああぅ」


俺がそう続けると、田畑さんは俯いてしまった。耳を真っ赤にして。


「ウチの娘、ナンパしないでもらえますかニャー?」


別に、そんなつもりはなかったのだが。


「まぁ、商店街の悪役ヒール……としては十分な服装かと」


そう。こんなに引っ込み思案なのに、田畑さんは悪役ヒールなのだ。

一度、舞台に上がるとスイッチが変わったように声を張り上げ、大きな身振りをするのだ。

普段のか細い声はハスキーボイスに。

怠惰に、それでいて艶めかしく、セクシーな悪役として。

何度か、その仕事姿を見たことがあるが、とても輝いていた。

……本人へそれを伝えると、恥ずかしがってしきりに恐縮していたが。


もちろん、新田さんはヒールのマスコット。

変身した田畑さんに気だるげに抱かれ、撫でられる役だ。

必要か、と思うこともあるが、とても大切らしい。

子供と動物。

これは、簡単に人気を出すための必須要素だとのこと。


「私としてはもっと露出してほしいですけどニャー。そういう事であれば、この衣装でいくニャー」

「ええ。それがいいと思います」


普段はここまで断言するような言葉遣いはしないのだけれど。

せっかく商店街に訪れたお父さんを、修羅場に追い込みたくはない。

そんな気持ちが強く出た。

田畑さんを見れば、何度も頭を縦に振っていた。

皆の希望に合ってなによりだった。

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