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美少女戦士のマスコット  作者: テン
16/16

○○2-2 準備○○


さて、マスコットをやるにあったって1つ問題がある。

俺は変身できない。

さらに悪い知らせがあった。

どうやら俺のマスコットとしての能力は、スーツを着ている事で発揮されるらしい。

これは、着グルミを着てマスコットをしようとしていた皆の期待を裏切った。


俺は着グルミの姿で、氷上が何度、変身言葉を唱えても変身できなかった。

オカシイぞと、ハローワークの祈祷師にお告げを聞いてもらった。

そうしたら、俺の正式な服装はスーツだと。

それ以外では氷上は変身できないと。

但し、ワンポイントぐらいは付け足す事はできるとの事。


これには助かった。

さもなければ、俺は舞台に上がったスーツ姿の変な男の誹りを免れなかった。

早速、俺たちコンビと遠野さんによる俺のワンポイント装備を考えることになった。


色々試してみるのだが、どれもこれもダメ。

そうして「せっかくだから」との謎な氷上の発言のお陰で、サングラス&右耳にイヤホンを付けることになった。

これにより、俺はどこぞのシークレットサービスみたいな見た目になった。

氷上は大爆笑。

遠野さんは「妙に似合いますね」と、苦笑い。


「いや、ワンポイントじゃないんだから駄目だろう」


「1回、1回だけー」


氷上がどうしてもと、せがむので挑戦する。

……変身できた。できちゃった……。

これで、舞台の上に上がるシークレットサービスができた訳である。

こんなので大丈夫かと、遠野さんを見るとその顔には諦観の表情が浮かんでいる。


「……ま、まぁ。それを何とかするのが僕の仕事ですから」


と、心強い言葉。なんてカッコいい。

けれど、それを聞きたいのは今じゃない。

というか、サングラスとイヤホンは外しても大丈夫ですよ?


「いえ、あえてそのままで行きましょう」


あえて、なぜこんなマスコットにするのかは1ミリたりとも理解できないのだが。

というか、俺はマスコットなんだろうか?

果たして俺は何なんだろうか?


まぁ、遠野さんがいうのだから別にいいんだけれど。


「さて、氷上さん。あなたにもお願いがあります」


「──はい?」


「氷上さんには服装のどこかに、スポンサーの看板を背負っていだたきます。……豪拿さんは無理みたいなので」


「はい?」


言っている意味を理解できていない氷上を放置して、遠野さんは傍らにあった大きな箱のふたを開けた。

中には様々な布。

それを次々と会議室の机の上に広げてゆく。

それは、服をはじめとした衣装一式だった。


「いやぁ、美少女戦士じゃないと気が付いたときはどうしようかと思いましたよ。今回は運がよかった。なんとか合う衣装がありそうですから……」


テキパキと準備された、帽子、リボン、服、スカート、タイツに靴。

様々な種類のものが数点。

俺が名前を知らないものもいくつもある。


「氷上さん、この中の衣装のうち、着たまま変身できるものを見つけましょうか」


 ◇◆◇


「……いえ、これはちょっと」


「でも、これしかないですよ」


引きつった表情の氷上。

さわやかな笑顔で、よかったよかったと胸をなでおろす遠野さん。

何があったのかといえば、氷上のスポンサーを表示する場所がパンツだった、というだけだ。


「違いますよ、豪拿さん。これはアンスコですよ。決して下着と間違えてはいけません」


そうですか、と別に興味がないので適当に返答をしながら、まで脱ぎ散らかした服を綺麗に畳んで片づけて行く。

俺の性格上、こういう光景は許せないのだ。


「ちょ……先輩、やめてください! 恥ずかしいです!」


と、俺がせっかく片づけ並べていた服を氷上は引ったくり抱き寄せた。

もちろんぐちゃぐちゃになった。


「ああー」


俺が落胆しているのも気にせず、氷上はグチャっと服を置く。

その上で、氷上は遠野さんにキリッとした表情で話しかける。

顔を真っ赤にしながら。


「兎に角……。アンスコにスポンサーの広告はどうかと思うんですよねー。問題あると思うんですよー? やめましょうよー」


「特に問題があるとは思っていませんよ。子供たちはヒーローショーに夢中でしょうし。……家族サービス中のお父さんや、男子中高生へのアピールですよ。アピール。大事ですよファンの獲得」


もう既に、氷上はこの衣装に対して何度も明確に言いはしないが、やんわりと拒絶の言葉を発していた。

が、遠野さんは引き下がらない。


「良いと思うんですよね。サブリミナル効果っていうんですか。ちらちらと。スカートがはためいているのを見てしまうのは男としてのさがでしてね。良いアピールになると思うんですよ」


「え? えぇー」


ちらりと氷上は俺を見た。なぜだ。

表情はシラーっと冷めたものだった。


「豪拿さんも。そう思いますよね? というか、見てしまいますよね。はためいているスカート」


それは別に否定はしないが、ここでは肯定しにくい。

再び氷上に凝視され、俺はその通りだといえる度胸を持っていない。


「先輩」


「うん。まぁ……何といっていいか」


「豪拿さん……大事ですよ。スポンサー。コレがちがいますよ」


氷上は俺を見つめてくる。

遠野さんは親指と人差し指をくっつけたポーズのまま笑顔を向けてくる。

いや、俺にどうしろと?


その後、遠野さんの巧みな(?)トークにより氷上はスコートにスポンサーを背負うことになった。

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