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美少女戦士のマスコット  作者: テン
12/16

○○1-11 マスコットの技○○

「さ、次は先輩の番です!」


動きを一通り確認後、氷上は厭らしい笑顔で言った。

いや、そんな張り切らなくともやるけども。


先ほどとは変わって、氷上が映像撮影と書類への記入。

俺が撮影される側へと回った。


「って言っても、俺、技とかねぇぞ」


氷上と契約してわかったこと。

俺、変身能力がないどころじゃなく、技まで使えない事が判明した。


先ほどから何か思い浮かばなかと、天啓が降りてこないかと、色々してるのだが何もなかった。

講習での知識では……通常、こういう場合。

パートナーが変身している状態で心に問いかけると、何かしら思いつくらしい。先ほどの氷上のように。


だが、俺には残念ながら無かった。


「えぇ……。先輩、それって……。ポンコツですら姿形は整っているのに、中身まで無いとかー……。なんですか。先輩、もしかしてゴミ? ゴミなんですかー?」


何も言い返せねぇ……。

氷上の目を見返せなくて、左にいた他のヒーローの姿を見ていた。


いいですねー。普通のヒーローさんは。

おーおー。派手な技を使いやがって。……羨ましい。素直に、妬ましい。


「……契約、やっぱ辞めようかなー」


ポソリと呟かれた氷上の言葉。

ともすれば、聞き逃しそうになるほど小さな声だった。

……気が付けば、俺は壁を見ていた。


「……えっ? ええっ?」


頭上で氷上の困惑するような言葉が聞こえた。

……俺は今、どうなっている?

混乱する思考の中で、あたりを見渡せばそこは床の上。

膝を腹の下に曲げ、頭の両脇で手を地面についている。


……。

なるほど。

俺は今、土下座をしているのだ。


なぜ?

それは先ほどの氷上の言葉を聞いたから。

脳で氷上の言葉を理解するより早く、体が動いたのだ。


──一瞬、視線が全て低くなったことで『もしや変身したのではないか』、という淡い期待を返せ。


「せ、先輩……何やってるんですか……」


見上げれば、パンツ──否、違った。突っ立っている氷上。

引きつった表情で、俺を見下げている。


「いや、なに。少々、思うところがあってな」


何事もなかったように立ち上がり、膝を叩き、ネクタイを締め直す。


「意味が分からないです……」


俺もわからないです。


……けれど、まぁ。

俺が本心では氷上に辞めてほしくは無いと思っている、無意識の行動だったのだろう。

それでも、もし氷上が辞めたいと言った時、あまり尾を引かないようにしなければ。


俺のようなポンコツ──否、ゴミマスコットと一緒に底辺を彷徨さまよわせることもない。


「ま、まぁ。いいです。今のを見ると動きは悪くないみたいですー。アクションには期待しますから頑張ってくださいよー?」


「お、おう」


自信はなかったが、それなりに動ける事を確認できた。

具体的には氷上並みには。


何が出来るかは知らないが、とりあえず氷上と2人でホッとした。

短くてすいません。難産です。

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