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美少女戦士のマスコット  作者: テン
11/16

○○1-10 美少女戦士と技○○

「取りあえず、変身しろ」


い・やです」


場所は変わって、協会の訓練場。

正規のパートナーとして登録し終わった後、ここへ『技』の確認へとやって来たのだが。

氷上は、満面の笑みで俺に向かって全力の拒否。


「お前なぁ……」


「だって、他の人いますし!」


氷上はチラチラと、訓練場にいる他のヒーローやヒールの人達を見ながら言う。

ざっと見た限り、学校の体育館程の大きさのここには8人程のご同輩がいる。

3人組(戦隊ヒーロー?)や、1人魔女の格好で黙々とステッキを振っている人等々。

それぞれに現実とは思えないような閃光を目標に向かって打ち込んでいた。


「いや、そんな事言ってもなぁ……今後、人前でやるんだぞ? 『美少女戦士』」


「ぐぅっ……。で、でもっ!」


「いい加減、諦めろ」


技を確認しない事には、舞台での見栄えを想像できないのだ。

ヒーローショーは、色々な人との仕事である。

見える仕事から、見えない部分まで。

特に俺達は表から見える仕事なので、こう言う事前確認は大事なのだ。


今回は特に、アクションがどこまで出来るか、どんな技ができるのかと言うのを映像に収める必要があるのだ。


その映像を元に、脚本家や演出家への仕事を依頼する。

スポンサーへの売り込み時にも使う。

様々な場面で、この仕事を行うためには必要な事なのだ。


「他の連中だって似たようなもんだから。気にスンナ」


「ぐ、ぐぅぅぅぅぅ……」


大層に葛藤した後、「やればいいんでしょう!?」ヤケクソに叫んで氷上は変身する。

俺はすかさず、カメラを録画。


『世界の奇跡よ、私に力を貸してっ! 愛と正義の執行者、美少女戦士レイ ここに参上っ!』


例の恥ずかしいポーズを数秒。

氷上は体が動くようになると、顔をうつむけた。

でも、見えている耳が真っ赤で、見えていない現在の表情を容易に想像できた。


「じゃぁ、技の確認行くぞー。──あ、言葉の前に偽語フェイク忘れんなよ」


偽語フェイクとは、その技・呪文の途中に入れることで効果だけを残し、威力を出さないようにできる不思議な言葉である。

もちろん、この言葉を入れなければ大小はあるが、殺傷する能力がでる。

まさか、ヒーローショー等で流血事態(警察騒ぎ)を起こすわけにもいかないので、通常はこれを使う。


「うぅぅぅ……。本当にやるんですかー? 恥ずかしい……」


「もう諦めろ。ほかの連中も別にこっち見てるわけじゃねぇから」


当たりを見渡しても、本当に清々しぐらいこちらに視線を向けてくる奴はいない。

ただ黙々と、自分のできる技の練習に取り組んでいる。

変身した直後はさすがに少しは注目されたが、その程度だった。


「ほれ。集中しろ」


「わかりましたっ! わかりましたよっ! パラライズ・リューゲっ!」


キッと俺に向かって鋭い視線を向けた後、氷上は呪文を唱えるための振り付けを行う。

これは呪文を唱えようとすると、自動で体がそう動くらしい。

……本人の意思は関係なく。


短いステッキを胸の前に。

指パッチンに似た動作で回転を与えながら、顔の高さまで飛ばすともう一度キャッチ。

最後に自身の前に水平に掲げる。

するとステッキの先からゴルフボール程の大きさの、光の玉が飛び出した。


光の玉はキャッチボール程のスピードで壁に直進し、当たる。

壁一面にスパークのような効果を発揮し、消える。


「おおぉ……。なんか出たー……。ちょっと感動しちゃいますねー……」


氷上はステッキを構えたままの格好で、言った。

初めての経験に驚いているのだろう。


「だなぁ。かなり非現実的な光景だから、頭ン中が少し追いつかない。少し待て」


ヒーローショーは度々目にする機会はあったが、それを知り合いが行うと変な感じがする。

夢を見ているようで、現実感が全然わかない。


「先輩。もう1回やってもいいですかー?」


やはり氷上も現実感が沸かないのか、何度もステッキを様々な角度で覗き込んではそんな提案をしてくる。

「かまわないぞ」と伝えると、再び光の玉を打ち出す。

うん。やっぱり何か変な感じがする。


氷上の技……とりあえず、『パラライズ』としておこう。『リューゲ』は偽語だとのこと。

パラライズの振り付けや、見た目の経過を紙に書く。

後で正式に書類化してプレゼンする時に使うためだ。


俺が書き込んでいる間、氷上は何度も『パラライズ』を打っていた。

そこで少し思った。

……なんか想像していたより、動きが小さいな、と。

何て言うか……可愛らしいよりもクールな技の出し方だ。


美少女戦士を名乗るうえで、これは良いのだろうか。

数々の美少女~のヒーローショーを映像で確認してきたが、ここまでアクションが小さいのは珍しい。

技というのは大概、締め時に行うモノであったはずだ。


流れとしては肉体戦→決め技。

大体こんな感じ。


「氷上。他に何か技できそうか?」


「んー……。出来なさそうですねー。何かもう少しで、出来そうな気もするんですけどー。何か足りない感じですー」


パラライズの一通りを書き終わり、氷上に聞くとそんな返答が返ってきた。

ああー。あるわ。レベルが上がると技が増えたりする事。

講習で聞きかじった知識が役に立った。


「レベルが足りないんだ、それ。いずれ出来るようなるだろう」


「あ、それちょっと楽しみかもー。ちょっとワクワクしてきました!」


最初はあんなに不満タラタラだったと言うのに、もう気を持ち直したらしい。

現金なものだ。


「よし、あとアクションの確認するぞー」


「わっかりましたー!」


氷上のご機嫌な様子を見つつ、アクションパートの確認。

とりあえずジャンプしてもらったら、身長の倍以上飛び上がり、俺も氷上も驚いた。

様々な確認の結果、身体能力がものすごい事になっている事がわかった。

人間の動きじゃねぇ。


氷上はハシャいでいたが、思ったのは1つ。

スカートがめくれないように、お淑やかな動きを教え込もう。

書き方を変更。他のも1章が書き終えたら変更予定。

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