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器用度チート。実は有能なんです。(Dexterity cheat Smith)  作者: イベリア
第三章 この章は色々と荒れ狂うでしょう
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十一日目朝 本日は締まっていた蒸気系のネジが盛大に吹っ飛ぶでしょう。

 先日はほぼ徹夜だった。アエラの提示した設計図はひどく複雑で部品の数も相当数に登りその上それぞれに別々の素材が要求されていた。マロがしっかり公務をやっているおかげで素材の調達はエストリアが全力であたってくれたおかげで問題はクリアできたがどちらにせよ数が数だ、時間がかかるのは仕方がない。フェオもアエラもシルヴィアまでもが全力で手伝いをしてくれたのにも関わらずこの時間だどれほど複雑な工程を踏んだのか思い出したくもない。フェオは非常に不満そうであったが途中から手を貸してくれたリヴにも大いに助けられた。

 つまり現在どう言う状況かというと全員が疲れで鍛冶場でそのままダウンしている。要するに雑魚寝だ。城の使用人が気をきかせて全員分の仮説の寝所を用意してくれなかったら骨の軋む音で目が覚める最悪の朝となっていだろう。しかし、王宮努めで非常に助かった。ほかではありえないほど福利厚生がしっかりとしている。一番に目が覚めたのはどうやら俺のようで、見渡すとよく考えればすごい光景だ。なんといっても鍛冶場に四人も女が居り、ぎゃくに男は俺ただひとり。ものすごいハーレム状態で夜を越してしまったことになる。まぁ、それらしいイベントは何一つ起きなかったのだが。なにせ全員が極限状態の疲労でそのまま寝てしまったのだ。相当無茶な作業をした。その名残がこれにしては、随分と穏やかな光景だ。全員が、安らかに眠っている。特にリヴに抱きついているアエラなんてとても幸せそうな表情だ。

 いや、なにかがおかしい。普通のハーレムだったら俺に起こるべき添い寝イベントが別のところでとても穏やかでない方向に発動している。アエラに抱きつかれているリヴは確かに幸せそうな表情であるが寝言で俺の名前をつぶやいている。そんなリヴを抱きしめてるのはアエラなわけで。ここに三角関係が勃発している。男性二人、女性一人の形で起こるべき三角関係が男性は俺一人、女性二人で起こっていそうな風景なのである。

「ん……んぅ……。」

 うめき声とともに目を覚ましたのはこともあろうかリブだった。

「へ!?何?なんなのこの状況!!??」

 そりゃそうもなるわ。目が覚めたら自分より随分と背の低い中性的な女の子に甘やかされるように抱きしめられていたとあっては混乱して当たり前だ。それだけにリヴが混乱するのは非常によくわかる。

「ふぁ……。あ、ごめんよ。ボク寝相悪くてさ……。」

 混乱するリヴの声にたたき起こされたアエラが頭をかきむしりながらリヴに軽く詫びる。これは寝相が悪いのだろうか。それとも本能なのだろうか。非常に判断に困る寝相である。

「い、いや。いいけど……。なんでアタシなのよ……?」

 最後の方は消え入るような声だった。同性同士とはいえ恥ずかしいものもあるのだろうか。

「ん?それは君が僕にとって魅力的だったからじゃないかな?」

 前言撤回。リヴは今恥じていい。コイツの言動はそこいらのナンパ男よりナンパ師を極めてそうだ。口説くときのセオリー、まずは褒める。

「聞かれたくないから小声で言ったの!なんで答えちゃうの!?」

 まぁ、拾ったセリフによってはこうもなる。加えてほめ方もまずかった。しかし、アエラがやることだ全部計算なのだろう。何を目標にしているのか想像したくないし興味もない。

「ごめんよ、変な意味じゃないんだ。ただ、少し嫉妬してしまったんだよ。ボクは、見ての通りの体格だしさ。男の子に間違われることもあるんだ。それに比べて君はとっても女の子らしいじゃないか?」

 あぁ、目標はリヴを口説き落とすことだ。こいつに特別な感情を抱いてなければドン引きだが今はあいにくと”ウザイ”という特別な感情を抱いている。どうせなら口説き落とせアエラ。そう心の中で叫びながら俺は狸寝入りを続けた。

「え?あ、女の子らしい……?って話をすり替えないで!なんで答えちゃうのか聞いているの!!」

 リヴは怒ってはいるが口調が少し乙女的になっている。なんなのだろうか、アエラはどうやってこの状況を作り出したのだろうか。

「今の君の答え方がボクの答えだよ。せっかくこんなに可愛いのに自信を持ってくれないんだ。だから少し嫉妬しちゃってね。ちょっとした意地悪のつもりだよ。大丈夫、まだ誰も起きてない。誰にも聞かれてないよ。」

 口説きテクその一。相手の心に安心という毒針を忍び込ませるべし。このためにわざと一旦怒らせたのだろうか。

「でもあんまり大きな声を出すと起きちゃうから、静かにね?」

 そう言ってアエラが口の前に人差し指を立ててみせる。口説きテクその二相手より相手を思ってる振りをしろ。まさかここまでしっかりと女心をつかみに行ってるとは思わなかった。

「わかった……。でも、女の子らしいなんて言われたことないんだもん。自信だって持てないよ……。」

 あぁ、これはもう秒読みが始まってる。全てアエラの手のひらの上だ。

「そっか、勿体無い。じゃあ少しの間ボクが君を借り切って君を可愛くしてあげる。ボクが憧れる女の子にしてあげる。それでみんなを驚かせようよ。」

 まずは信頼をしっかりと勝ち取るために同性としてのアプローチから始めるつもりだ。そこからリヴが惚れるような言動を重ね、自分の抱く恋心に気づかせてその後禁断の恋と理性の狭間で揺れる心を鷲掴みにするように肯定する作戦なのだろう。まるで蜘蛛の糸だ。四方八方に張り巡らされ、気がつかないうちに絡め取る。こんなに恐ろしい女もいたものか。

「う、うん……、それなら……。」

 言いかけたリヴを静止するアエラはさらに企みを重ねていた。

「大丈夫、わかってるよ。君はアルゼノ君が好きなんだね?大丈夫、アルゼノ君も急に態度が変わったりまではできないだろうけど、アルゼノ君もきっと帰ってきた君を見て驚くよ。そういうふうにしてあげる。」

 俺までダシに使いやがった。もう、これは略奪愛とジゴロの才能を併せ持っている。

「うん。」

 うなづいたリヴの手を引いてアエラはどこともなく去っていった。

 ちなみにではあるが、俺が気になった点がいくつかある。一つは寝ているときアエラがリヴを抱く手つきだ。非常に男性的だった。そして愛しそうに抱きしめていた。二つ、何度かリヴに隠れてこっちにハンドサインを送ってきた。俺はイビキで上手く返事をしたが内容は以下のものだった。

「君にはフェオという子がいるね。」

 これには肯定の意味のイビキ一回を返した。

「じゃあ、この子はもらっても構わない?」

 これにも肯定だ。

「ありがとう、この子はかなりボクの好みなんだ。」

 この三つをハンドサインで送ってきた。それは魔導爆裂鎚を作るときに使った部品の形を上手く表現したとても巧妙なサインだった。

 最後にもうひとつだけ、気になっていることがある。アエラは今口説いてる相手が鍛冶師の最高神リヴだということを未だ知らない。

アエラはレズキャラです。レズキャラにホモキャラになんでもござれいだな、この小説w

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