★しわしわケモミミ婆登場
銀髪ケモミミの女の子に連れられて入ったのは、何百畳あろうかという広い部屋だった。
部屋の真ん中にござのようなものがしいてあり、ふたりでそこを歩く。
両サイドはまたもむくつけき男たちだが、今回はウインクはしない、絶対だぞ!とスルーを決め込む。
部屋の反対側にすすむと、なにやらしわがれ声でムニャムニャ呪文のようなものがきこえてくる。
「ばっちゃ…あるじさま…つれてきた…」
女の子が言うと、びたりと呪文が終わり、しゃがれ声の主こちらを振り返った。
ばっちゃ…と言われるの納得の婆だった。
ケモミミは垂れ下がり髪と同化し、注意してみないとわからない
顔も皮膚が垂れ下がりしわくちゃ、口をもごもごしてるからさっきの呪文唱えている間に入れ歯がはずれでもしたのかもしれない。あと、やたらと猫背。
こんなに細かく観察できるのは、婆も俺をかなりの時間見つめ続けているからだ。
この世界に来てから、一番見つめ合ったのが婆か、と若干へこむが、なんか目線を切るのもしゃくだなぁ。ウムム
ただただ虚しい時間をすごしていると、唐突に、婆が奇声をあげてオーンオーンと泣き出した。え?
待て待て。つらを眺めて一方的に泣くとか意味分からんし、つき合いきれんわ!カオス過ぎる展開についていけず、眠気がまだ残る俺は、さきまで寝てた部屋に返してもらおうと顔を女の子の方に向けた
『何も持たない幸いなもの(但しイケメンは除く)、緑の大地に立つ。類い希なる加護でひとびとを清浄で豊かな大地へと導くだろう』
と書かれたプラカードをこっちに向けて掲げた女の子と目が合う。
え、何これ?さらにカオス?しかも女の子なんとなくどや顔っぽい感じ出してるし、リアクションとりづらい。
BGMは婆の地の底に引っ張りこまれそうな泣き声、どや顔で出されたプラカード、かかれた文章は意味わかんないし、第一なんでプラカードなの?神秘的な雰囲気が一転してドッキリ大成功~みたいな感じになるのは俺だけ?なに、文化の違いなの?
いや、そんなプラカードぐいぐい押しつけてこないで。文字小さくて読めないんでないとかじゃなくて、ほんと状況に混乱してるだけだからさ。いや、すいませんちょっと勘弁してください。痛いです。
状況確認はしばらくかかりそうだ。
って、イケメンは除くのかい!!これ、読みようによってはイケメンだったらだれでも良くない…?