★再度生きる!
そこは白く、ひどく曖昧な空間だった。明るかったり暗かったりした。広く感じたり、狭く感じたりした。
遠くから潮騒が聞こえた。近くで歯医者さんのドリルの音が聞こえた。
それらが不意に明確になったとき、目の前に大きな影がいた。
心が理解していた。これは大きな存在だって。星とか銀河とか、これに比べたら全然小さいって。
そしたら急に涙が溢れて止まらなくなった。
自分が死ぬ前に大事にしてたもの、檻だと思っていたもの、全てがどうでもいい、ほんとにちっぼなものだと理解したから。
色々なものにとらわれて、捨てられなくて、自分で大事だと思っていた宝物も、自分の人生も、全てが意味をなさないものだと理解したから。
私はただただ泣いた。
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どれぐらい時間がだっただろう。
もう涙も出ない。
不意に声が聞こえた。
ーーー汝絶望真理無意味悲嘆?
なんとなく意味は分かったから頷いた。
ーーー仮再度生授如何生死?
意味のないものに縛られない生き方がしたい。
自由に生きたい。
ーーー再度生希望哉或全忘却行白世界?
生きたい!自由に生きたい!
ーーー仮再度生願望唯一実現汝何望?
金も名誉も地位もいらない!ちっぼけなものだから!どうでもいい!
幸せに時間を過ごせればそれでいい!
影がゆっくり頷いた気がした。
そして光が爆発し、何もかもがどうでもよくなり、どうしようもないぐらい幸せにな気分になったまま、私は消えた。