卒業
お時間のある時にさらっと簡単に読める短編です!
多忙の為、短編を不定期更新!
是非とも宜しくお願いします!
学校からの卒業。
人からの卒業。
想いからの卒業。
これは…そんな話。
「ユウ!一緒に帰ろ!」
後ろから声を掛けてきたのは高橋さんだった。
「高橋さんですか、別にいいですけど」
「なんだかんだ卒業まで、あっという間だったね!」
「そうですね」
歩きながらの何気無い雑談。
「ねぇユウ、ビックリ仰天、驚き、桃の樹!なんか面白い話ない?」
「うーん。面白い話ですか…卒業しましたし会う事もないかと思いますから…」
「なになに?」
「田中がよく階段の下から高橋さんのパンツ見ようとしてましたよ!」
「うわぁ…変態かよ。まぢウケるwww」
「いや全然ウケないでしょ」
「ユウも私のパンツ見たい?ねぇ見たい?」
スカートを捲る高橋さん。
目を反らす僕。
「ほらほら〜恥ずかしがらずに〜ちゃんとブルマ履いてますから!ウケるwww」
「べ、別に恥ずかしいとかではなくて…女性として慎みを持って下さい…あとウケません」
呆れている僕を完全に無視した高橋さんは話を変えた。
「あっ!卒アルにメッセージ書いてよ。」
「いいですけど…書くような事が…」
「私も書いてあげるから卒アル出して!」
自分の卒業アルバムを手渡して高橋さんの卒業アルバムを受け取る。
「なんか…いっぱい書いてありますね」
「クラスみんなに書いてもらったからね。書いてないのはユウだけ!っていうか…ユウのは誰も書いてないじゃんよ。ウケるwww」
「よし!書き終わりました。あとウケない」
『ありがとう 有吉勇気』
「うわぁ…適当過ぎるだろ…ひでぇ」
「高橋さんは何を書いたんですか?」
「ケースにしまっちゃったから家に帰ってから見なよ。ちゃんと見ろよな!」
卒業アルバムを受け取るとランドセルにしまった。
「そうそう、今日は両親が仕事なんだけど家に上がっていく?」
「御両親がいないのにお邪魔したら失礼ですし遠慮しておきます」
高橋さんの家に着いた。
「それは残念。じゃあねユウ!」
「はい。じゃあ」
それだけ言って僕は帰り道を進んだ。
明日から会う事はない。
「ユウ!!」
後ろから声がして振り返る。
「ばぁぁああん!」
「何をしてるんですか?」
高橋さんが二階のベランダから手で形作った銃を撃っている。
「射抜いてんの!」
「意味がわかりません」
「わかんなくていいよ!ばぁぁああか!!」
「違う中学ですし…もう会えないかもしれないのに…最後かもしれない言葉がそれですかって…いねぇし!」
ベランダには高橋さんの姿はなかった。
「湿っぽいのも嫌ですからね。また…いつか!」
帰宅後
「そうだ!卒アル見なきゃ」
パラパラ
卒業アルバムの最後のページ。
友達からのメッセージ。
たった一人からの大切なメッセージ。
『ありがとう 大好きでした』
「字デカ過ぎ。名前書いてないし…これじゃ自分で書いたイタイ奴みたいじゃんよ…」
独り言で文句を言いながら僕は卒業アルバムを閉じる。
「適当過ぎるだろって言ってたけど…自分だって似たようなもんじゃんか」
僕は笑った。
後日のオチ。
「おーい!勇気」
「どうした佐藤?」
「田中の奴が私立落ちたらしくて南中に通ってるらしいぜ!」
(げ…あいつ高橋さんとは違う中学になると思ってたし…)
「なんかアダ名がパンツ田中らしいwww」
(会う事はないだろうからバラしちゃったよ。なんかスマン田中。自業自得だと思うけど…)
「そいつは最高にウケるなwww」
(完)
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