妖怪達の夏……の反省会
ここ魅裏海岸には、海岸十七怪魔と呼ばれる十七匹の妖怪達が、ひしめきあって暮らしている。
どの妖怪も、妖怪大図鑑に載ることもないし、漫画にもゲームにも取り扱われない、地元だけで伝わるマイナーな妖怪であり、ごくごく限定された都市伝説レベルの者達だ。
人々の空想や噂によって生まれる先天的妖怪もいれば、ふとした出来事によって人や動物や無機物が後天的に妖怪へと変化することもあるが、彼等のやることは一つ、人間を驚かせて、恐怖のドン底に叩き落すことである。それが彼等のレゾンテートルだ。
夏の終わり頃のある夜、魅裏海岸海水浴場に海岸十七怪魔達が集結し、物々しい雰囲気で会議を行っていた。
「えーと……では、今年の夏の反省会を行います。今年はちょっと……いや、ちょっとどころでなくいろいろありましたし、会議も長引くと思いますが、御了承ください」
不機嫌そうな顔で向かい合う妖怪達を前にして、今年の進行役に選ばれた妖怪である壁女が、事務的な口調で前置きをする。
壁女は普段は海の家の壁の中に埋まっている妖怪である。助けを求め、親切な人が近寄った所で、自分の代わりに壁の中に埋めてしまい、「代わりの人を呼んで誘い込まないと出られない」と言って、しばらく埋めたままにして怖がらせる。
代わりの人が全く来そうにない時や、代わりの人を犠牲にするのは嫌だという人に遭遇した時には、壁から出してまた自分が埋まるという、適度に優しい妖怪であった。見た目や服装は、普通の人間と変わりない。
「また、皆さん思う所があるでしょうが、できるだけ穏便にお願いします。喧嘩をするために集まったのではないのですから」
壁女が言うものの、穏便に済まないことはもう目に見えている。今年の夏の魅裏海岸では、非常に多くの問題が発生した。その原因は、主に海岸十七怪魔達にある。
「とりあえず今年一番やらかしたのは、こいつだよな」
全身ヌメヌメした真っ赤の肌を持ち、目も口も鼻も無い妖怪――赤潮野郎が険悪な声を発し、隣にいる妖怪を指した。
「だよねー。私がいくら注意しても聞き入れないし」
壁女同様、見た目は普通の人間と全く変わりない、綺麗な顔立ちの女性が言った。彼女は元々人間であったが、最近妖怪化して海岸十七怪魔の一人に加わった、鰤子という名の妖怪だ。
「お、俺は自分の妖怪コンセプトに従って行動しただけだからっ」
腹立たしげに言い、興奮して立ち上がったのは、これまた見た目は人間そのものだった。しかし上半身裸で、筋肉ムキムキかつ強面で、その右手には血の痕がべったりとくっついた金属バットが握られている。
彼こそは海岸十七怪魔一の問題児、金属バット男であった。目につく者を片っ端から金属バットで殴りかかるという、凶暴極まりない妖怪である。
「そのおかげで海水浴場が何回も混乱しちゃってさ、夜の海岸にほとんど人が寄り付かなくなっちゃったじゃんよ」
赤潮野郎がなおも責める。
「花火大会にまで現れて、観光客を片っ端から殴りかかるとか、とんでもない騒動起こしてくれやがって。花火大会が途中で中止するわ、パトカーまで来るわ……。越えちゃいけないライン考えろよ。俺達妖怪はもっと、こっそりひっそりと恐怖を与える存在であるべきだ。それをあんなに堂々と人前に現れて騒ぎ起こすとか……」
「ですよねえ。しかも金属バット男さん、妖怪だと認識されてすら無かったですよ。ただの頭のイカレた通り魔と思われていましたし」
ネチネチと責める赤潮野郎に同調したのは、巨大なアメフラシのような妖怪だ。赤潮野郎と仲の良い妖怪で、生活排水垂れ流し降らしと言う。
魅裏市や夜蠱巣渦市では、わりと生活排水がドブ川に垂れ流しにされていて、それがそのまま海に流れている。その近くに海水浴場があるのだが、夏に泳ぎに来る客は全く知らない。生活排水垂れ流し降らしは、住民に黙認された公害への訓戒として生じた妖怪である。
「そもそも妖怪が警官に捕まってパトカーに連行されるとか、前代未聞ですよね。マクーマンさんに助けてもらわなきゃ、今もブタ箱でしょ」
「ブタ箱じゃなく精神病院の方じゃないの? いずれにしても少し節度を持つべきよ」
「ぐぬぬ……」
生活排水垂れ流し降らしと鰤子に指摘され、金属バット男は悔しそうに呻く。
「鰤子さんだって人のことは言えないよっ」
声をあげたのは、一見子供に見える背の低さだが、髭と角が生えてギョロ目の、いかにも妖怪といった容姿の妖怪であった。服装も子供服で、帽子を被っているので、後ろからは子供にしか見えない。
彼は魔空空間を作ってその中に人を引きずりこむという、海岸十七怪魔の中でも卓越した能力を持つ妖怪、マクーマンである。
「昼間に堂々と水着で海水浴場に現れて、ナンパしてきた男に、人前で鰤ビームしてたじゃないか!」
「あれはナンパしてきたチャラ男があまりにもしつこかったからよ。自己防衛して文句言われたんじゃかなわないわ」
「妖怪のくせに、人間の振りして水着で海水浴ってのもおかしいだろっ」
「私元々人間だからそんなこと言われてもね」
マクーマンの物言いに、鰤子は済まし顔で反論する。
かつて鰤子は潜水艦の乗組員であった父親を海難事故で失い、父親を想って毎日海岸を訪れていたら、子供達から「あの人妖怪なんじゃないか?」と変な噂を立てられて、それが本人に耳にも入って「もうこの際妖怪でもいいか」と思ったら、本物の妖怪になってしまった。
「それに金属バット男さんを責めてる赤潮野郎さんと生活排水垂れ流し降らしさんは、ある意味もっとひどかったろ! 海水浴客があふれる中、海に赤潮発生させまくったりゴミを浮かべまくったり」
「ゴミを捨てたり垂れ流したりするなという警告です! それが僕の役目ですよ!」
「ごめん……俺はそんなつもりなかったけど、うっかりしてた」
マクーマンの非難に、生活排水垂れ流し降らしはムキになって反論したが、赤潮野郎はしゅんとなってうなだれ、謝罪する。
「それを言うなら、俺は金属バットで無差別に人の頭をカチ割るのが役目なんだが?」
腕組みし、傲然と言い張る金属バット男。
「問題はですね、私達が暴れすぎてしまったせいで、人間社会そのものに深刻な影響を与えてしまったことです」
仲間達の争いをいささかうんざりした様子で見つめ、壁女が言う。
「この海岸が危険な場所として認知され、夜に人が近づかなくなってしまって、人を驚かすという本来の役目が困難になってしまっています。かといって昼間に現れるなど論外ですし、そもそも私達は妖怪として認知されなければいけないのに、人間と間違われているのでは、妖怪の本懐を果たしたことになりません」
「ほら、やっぱり鰤子さんが悪いんだ」
「何を言うか。そもそも金属バット男が――」
「そうだよ、大体金属バットで頭割るっていう設定自体がイカれてる」
「ふざけんなっ! それは俺を一生懸命考えて生み出してくれた、魅裏市のちびっ子達に対する冒涜だぞ! 取り消せ!」
「ちびっ子達とか、複数形にしてるけど、そんなもん考え付くの変わり者の一人くらいじゃない?」
「噂として広めた子供達も含めての複数形だ!」
「そもそも一つの海岸に十七匹も妖怪がいるのが、すげー無理がある」
「じゃあ誰か出て行けってのかよ」
会議を進行させようとする壁女であったが、また妖怪達が騒ぎ出し、互いにけなしあう。
「いい加減にしなさいっ! それ以上勝手な発言を行うと、全員壁に埋めますよ!」
とうとう壁女もキレて怒鳴り、押し黙る妖怪達。
「私達が自覚しないといけないのは、第一に、妖怪らしく振舞い、妖怪だと認知されなくてはならないということ。第二に、やりすぎはよくないということ。第三に、夜の海岸に人を呼び戻すということです」
「また口を挟んで申し訳ないけどさ、俺は夜の妖怪ではなく、昼の妖怪だから……。夜だと赤潮が見られないでしょ? 俺は赤潮の中から現れて人を驚かす妖怪だからね」
赤潮野郎が主張する。
「赤潮野郎さんはコンセプト的に例外として認めるとして、他の多くの妖怪達は活動時期が夕方から夜です。しかし魅裏海岸は現在危険な海岸として認知されてしまい、夕方から夜にかけて、海岸を訪れる方がめっきり減りました。で、十数人の妖怪達でこぞって訪問者を奪い合いするという、不毛な状況になっています。これに私達がどう対処したらいいか」
厳粛な口調で語る壁女。
「海岸を訪れる人間を奪い合いするのではなく、連携した方がいいと思います。僕と金属バット男さんは、日頃から連携していましたし」
マクーマンが提案する。彼は海岸の鼻つまみ者である金属バット男の、数少ない理解者であった。
「連携っつっても、マクーマンが魔空空間に引きずり込んで逃げられないようにして、そこで金属バット男がボコるだけじゃろ?」
指摘したのは、頭部を除く全身余すところなく海月をくっつけた老人、海月爺だ。海の中で若い女性を狙って抱きつき、海月の感触を味合わせて、女性の反応を楽しむという、海岸十七怪魔の女性陣には嫌われまくっているセクハラ妖怪である。
「それが重要でしょう? 金属バット男さんもあの騒ぎ以降は、僕と連携する以外に単独で人前で暴れないよう心がけていますし、複数の妖怪が連携して一人を驚かせば、妖怪同士で驚かす人の取り合いをせずに済みますし、スムーズに運びます」
「なるほど。それはいいかもな」
マクーマンの言葉に、海月爺も納得して引き下がった。
「じゃあ私が海岸に人を誘き寄せる役を果たすわ」
「私もその役を担いましょう。私は鰤子さんほど美人ではないですが、元々人を誘う妖怪ですし。でもたまには私も、壁の中に閉じ込めて怖がらせる役目もさせてくださいね」
鰤子と壁女が名乗り上げる。
「誘い、捕らえ、脅かす役で別れていて不平等感がなければいいけどな」
そう言ったのは、2メートル程もある巨大な割れたガラス瓶に、逞しい足のみが生えた妖怪、ガラス瓶破片魔神である。砂の中に潜み、上を人間が通ると砂の中から勢いよく飛び出て、割れて尖った部分を勢いよく突き刺すという、金属バット男以上に危険かつ高い攻撃力を誇る妖怪だ。
しかし彼が襲うのは、海岸でゴミを捨てた者に限定し、金属バット男のように無差別に人に襲いかかることはない、正義の妖怪であった。
「でも驚かす役目の候補は多いですから、自然と持ち回りになりますし、捕らえる人と誘う人は、活躍回数が多いでしょう?」
耳に心地好い涼やかな声で言ったのは、引き締まった鍛えられた肉体に、上はタキシード、下はズボンを履かずに際どいラインのビキニパンツを履いた、頭がスイカでシルクハットを被った男――怪人スイカ紳士その人であった。
派手な風貌のわりには控えめな妖怪で、かなりの古参妖怪であるということ以外、その実態は謎に包まれており、海岸の妖怪達も彼のことはよく知らない。生活排水垂れ流し降らしの話では、ある日の夕方、一人黙々と海岸のゴミを拾っている姿を目撃したが、警察がやってきて即座に姿を消したとか。
「その理屈だと、あたしだけ皆とは時間帯が違うから、今まで通り人を驚かせるのは独占できるけど、協力しあえないのが残念だねえ。時間帯の都合がつく人は、朝に回してくれてもいいんだよ」
穏やかな口調で申し出たのは、ジャージ姿に爆発ヘアーの、やや肥満気味な初老の女性であった。
彼女の名は海岸ダッシュ婆。毎朝健康のために海岸をひたすらマラソンしていたら、霊感体質が故に海岸の妖気に強くあてられ、猛ダッシュで走れるようになったが、その姿を子供達に目撃されて、妖怪だと噂をたてられ、噂の力にもあてられて実際に妖怪になってしまった女性だ。
「では時間の融通が利く人には朝に回って頂きましょう。特に驚かせる係の人は分散してくださいね」
その後、壁女がそれぞれの意見を聞き、配役やローテーションや時間割などをてきぱきと割り振っていった。
***
それから三十分の間、会議はスムーズに進行し、各自ローテーションと配役も決定した。
「では異議も無いようなので、このローテーションでいきますね」
「いやあ、壁女さん、幹事おつかれじゃ~」
壁女が最後に確認した直後、いつの間にか壁女の背後に回った海月爺が、壁女の肩を揉む。
「ぶぼぶっ!」
そんな海月爺の顔面に、容赦なく裏拳を見舞う壁女。
「では解散しま――」
壁女が解散を宣言しようとした際、強烈な妖気と共に殺気が辺りに立ちこめ、妖怪達の間に緊張が走る。
「まさか、奴が来たのか?」
「間違いないわ」
金属バット男が金属バットを構えて戦闘態勢に入り、鰤子も金属バット男の横に並ぶ。普段はいがみ合っている者同士であるが、共通の敵――海岸十七怪魔を脅かす存在が出たとあれば、話は別だ。
「お前等! 一箇所に集まっているとは都合がいいじゃねえか!」
現れたのは二人。
一人はグローブをはめてトランクスとシューズを履いた、海岸十七怪魔の一人、溺死ボクサー。またの名をボクサー土左衛門という。妖怪でありながら、人に害を成す妖怪を悪と断じ、人間の味方をして妖怪を討伐する、妖怪ハンターである。
「お兄ちゃん、私達も今夜会議があるって前もって言われて、一応招待されてたのよ。お兄ちゃんは忘れているけど」
その溺死ボクサーと共に現れたのは、十歳前後の可愛らしい少女であった。彼女もまた海岸十七怪魔の一員で、土左衛門の元脳内妹と呼ばれている。溺死ボクサーの脳内妹であったが、溺死ボクサーが溺死して妖怪化した際に、妖気にあてられて実体を持ち、これまた妖怪化し、以後ずっと溺死ボクサーと共に行動をしている。
「それはそうと、お前等の悪行もここまでだ! 今度という今度は絶対に許せん!」
鬼気迫る形相で宣言し、溺死ボクサーが身構える。
「この人数を相手に勝てると思ってるんですか? いくら何でも無謀でしょ」
「何かのっぴきならない事情がありそうな?」
生活排水垂れ流し降らしと壁女が口々に言う。
「問答無用! 行くぞ!」
溺死ボクサーが妖怪達に向かって駆け出したその直後――
「ぐはあッ!」
いつの間に潜んだのか、砂の中からガラス瓶破片魔神が勢いよく飛び出し、その鋭利な尖った割れ口で溺死ボクサーの体を切り裂いた。もんどりうって倒れる溺死ボクサー。
「お、お兄ちゃーんっ!?」
「隙有り! 鰤ビーム!」
溺死ボクサーに向かって悲痛な叫びをあげる土左衛門の元脳内妹に対し、鰤子は高らかに技名を叫ぶと、口を開く。
鰤子の口から大量の何が噴出し、土左衛門の元脳内妹を直撃した。
彼女の口から出ているものの正体は、何千何万匹という鰤の稚魚であった。それはいつまで経ってもおさまることがなく、延々と鰤子の口からシャワーの如く放出され続け、土左衛門の元脳内妹に降り注ぎ続ける。
「痛い痛いっ、降参!」
たまらず土左衛門の元脳内妹が降参し、戦いはあっさりと終わった。
「何かあったの? いくら貴方達でも、こんな無謀な戦いを挑んでくるなんて、尋常じゃないわよ?」
壁の中に吸収した恐怖エネルギーを治癒力に変換し、溺死ボクサーを回復してやりながら、壁女が問う。
「海月爺が、今日の昼にまた痴漢しやがったんだ。しかも相手はうちの妹と同じくらいの女の子だぞ」
忌々しげに海月爺を睨みつけ、溺死ボクサーが言う。
冷ややかな視線が一斉に集中し、たじろぐ海月爺。
「海月爺に海の中で抱きつかれて、被害者の女の子はすっかりトラウマになって、もう海には行きたくないと泣いている。エロ爺の歪んだ欲望が、年端もいかぬ子供の心を傷つけたんだぞ。これを見過ごせるかっての!」
「ひどい……」
「ドン引きだわ、この糞爺……」
「越えちゃいけないライン考えろよ」
「やっちまうか?」
海月爺に向けて、妖怪達から非難の声があがりまくる。
「ひぃぃぃ~っ!」
危険を察知した海月爺は脱兎の如く逃げ出した。
「マクーマン!」
「あいよ」
壁女に呼びかけられたマクーマンが、妖怪達がいる場所を亜空間化する。海月爺は見えない壁に衝突し、尻餅をつく。
「くくくっ、馬鹿めらがっ、こうなったら奥の手を出すしかないわいっ。ふんぬっ!」
海月爺が立ち上がり、嘲笑と共に力をこめると、全身に張り付いている海月が三倍くらいの大きさに膨張した。
「これぞ、あらゆる衝撃と斬撃を防ぎ、毒で攻撃も行う、攻防一体無敵の装甲、海月アーマーよ! その毒性はカツオノエボシをも上回る! さあ、死にたい奴から――」
「れぇえぇぇざあぁぁぁぶれぇぇぇど!」
口上の途中に金属バット男が猛ダッシュで迫り、叫びながら海月爺の剥き出しの頭部に金属バットを振り下ろした。
頭から大量の血を勢いよく噴出し、海月爺は白眼を剥いて崩れ落ちた。
***
一時間後、パトカーのサイレンがけたたましく鳴り響き、連行されていく海月爺の姿があった。
「これでもう海岸十七怪魔じゃなくて海岸十六怪魔になっちゃったね」
パトカーを見送りながら、鰤子が呟く。
「つい最近まで十五怪魔だったけどな。鰤子と海岸ダッシュ婆が来て十七になったし。ま、今年の夏はいろいろあったけど、同じ海岸に住む妖怪同士、これからもよろしくな」
照れくさそうに赤潮野郎が言うと、海岸十六怪魔達は皆爽やかな表情で頷く。
「今回は助けてもらったから見逃してやるが……次はこうはいかねーからな」
「もうお兄ちゃんたら、二重の意味で助けてもらったんだし、礼くらい言いなよ」
決まり悪そうに捨て台詞を残して立ち去る溺死ボクサーと、海岸十六怪魔一同に向かって深くお辞儀をしてから、その後を追う土左衛門の元脳内妹。
二人の後姿を、爽やかな表情のまま見送る九人の妖怪達であった。
「あ、今更だけど、浜辺戦隊カイガンジャーの五人組は?」
海岸ダッシュ婆が壁女に尋ねる。
「あの五人は揃って夏風邪で病欠だから、後で会議の結果も報告してあげないとね。ていうか、爺が抜けた分のローテーションも詰めないと。はーあ、まだやること沢山」
「本当にお疲れ様っ」
溜息をつく壁女に、鰤子が肩を揉んでねぎらう。鰤子に肩を揉まれて、壁女は目を閉じて心地良さそうに微笑んだ。
妖怪達の夏……の反省会 終