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ゲーム補正を求めて奮闘しよう!  作者: わんわんこ
【高校1年生編・後半】
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生徒会の仕事をこなそう

後半スタートです。

生徒会の仕事が本格的に始まった。

夏休みに仕事内容を聞いたとき、これくらいなら大したことないな、と思った。しょせん乙女ゲームの生徒会。仕事なんて形だけでそれ口実にイケメンに囲まれてウハウハするだけの場所に過ぎないんだろうと。

書類の山に囲まれた今、激しく後悔している。

「なんなの…この仕事量…。」

「ほんとに…きついねぇ…。」

あれは、個別の仕事の一端に過ぎなかった。それ以外に生徒会全体で抱えている仕事がありすぎた。校内での生徒個人間の揉め事の解消、部室関連の取り合い紛争、外部で生徒がやらかした問題の後始末、構内見回り、構内全体の衛生整備エトセトラエトセトラ…。先週は一週目であること、秋斗と揉めていたせいで仕事に没頭していたことから気づいていなかったのだが、明らかにキャパオーバーの仕事量だ。

「先輩方、今までこれ全部五人でやられてたんですよね?無理じゃないですか?なんで今回の選挙で全員とらなかったんですか?他にも希望者があんなにいたのに。」

秋斗の質問に美玲先輩が答える。

「海月がな。少数精鋭が最上、使えないやつらは邪魔なだけ、というモットーでな。」

あぁ…王様、ごもっともです。

「この仕事量で…先輩方、部活とかもやられてるし、成績もいいですよねぇ?すごいなぁ…。」

こめちゃんの言う通り。先輩方はみなさま総じて2年間600人中20番以内をキープされている。会長なんて首位を譲ったことがない。鬼だ。

ちなみに先輩方の部活は、桜井先輩と美玲先輩が演劇部、泉子先輩が写真部、東堂先輩がサッカー部、会長が囲碁研究会だ。

「さすがに部活の方は部長とかやってないけどな。」

「え?東堂先輩ってサッカー部の部長じゃないんですか?」

「いや。この仕事量でそれをやるのは自殺行為だ。だから生徒会と部長は兼任できないことになっている。合宿の試合の時にMFやってたやつが部長だ。」

ということは、茶道部は自動的に四人が外れ、残り三人から部長が選ばれるというわけだ。

「俊たちはみんな茶道部ですね。君たちが部長の代は大変でしょうね。」

「…そうですね。大体部活なんて出られるんですか?」

私のここ一週間の生活は、平日5日間のうち、1日の放課後が部活、それ以外の4日のうち3日は放課後も生徒会室に通っている。あとの昼休みは生徒会の仕事かクラス委員の仕事をこなす方に回っている。忙しすぎる。

「出られるのですよ!仕事に慣れればここに来るのは週2回昼と放課後来るだけでもいけるのです!今は人数も増えたことですし、もしかしたらもっと楽になるかもしれないのです!」

「ただ、あれですね。お二人はクラス委員の方もありますからね。普通はLHRの進行や行事の委員の管理くらいしかないのですが…」

そうなのだ。あのうすらぼんやりした担任のせいで余計な仕事が増えているのだ。

「茶道部はまだ週1の活動だからいいですけど、上林くんなんて稽古週3ですよ?大丈夫?」

「さすがに週2にしてもらってる。平日1、土曜1。」

この一週間で少し疲労の色が見える彼。

「おや心配ですか、他人の心配ができるくらいなら彼の分の仕事を回しても大丈夫ですね?」

どん!と私の前に書類の束が置かれる。

鬼畜上司!!!!

「は、春先輩。個別のお仕事だけ見たら一番少ないのは私ですし〜私の方に回していただいても…」

「何言ってるんですか。あなたにそんなにたくさんの仕事を任せて体を壊されてはいけませんからね。」

ぶぁっと甘い空気が広がる。

あ、また俊くんがフリーズモードになった。

「私はいいんですね?」

「あなたは見かけ以上に強かで丈夫ですからね。女性とは思えないくらい。」

「失礼じゃありませんか?会長。」

「いえいえ、あなたのスペックを買っているだけですよ。」

私を女でカウントしていないということだな!

「諦めろ、雪くん。私も同じだ。」

「美玲先輩…。」

「そんな雪くんの疲れを癒してあげよう!私の胸に飛び込んできたまえ!」

ない胸を広げる美玲先輩。

「ずるいのです!ゆきぴょん、私にもカモンなのです!」

いえ、泉子先輩、そこで手を広げられても屈まないとかなりきついです。

「ゆき、きつかったらちょっと手伝う?」

「おや、新田くんも足りませんか?上林くんのを任せましょうか?」

「冗談!ゆきの手伝いならともかく、そいつのは嫌です。手一杯です。きついです。」

「おやー、秋斗くん、きつかったらボクに甘えてくれていいんだよ?心もカラダも。」

「!!それもご遠慮します!」

みなさま通常運転だ。夏休みの合宿はテンションが上がっててちょっといつもよりぶっ飛んでいたとかそういうあれではなかった。微かな希望は潰えた。



今一年生は、「陳述書」という生徒の要望を書いた紙のチェックをしている。

「なになに…『トイレにコスメルームとドライヤーが欲しい』…そんな予算あるか!却下!」

「こっちは、『テストを減らしてほしい』だね。これ、僕たちじゃなくて先生行きだよね?」

「俺のなんかこれだぞ?『最近、胸が苦しいんです。生徒会のみなさまを見ているとドキドキして…どなたか私の胸の苦しみを取ってくださいませんか?』」

「それはお医者さんを呼んだ方がいいねぇ…!」

「違うこめちゃん。明らかに出張ホストサービスを要求してるだけだから。上林くん、どーですか?生徒のご要望ですが?」

「じょーだん。そういうのは新田に。」

「俺はゆき以外にそんなことしない!」

私でもしなくていいです。

「というわけで。」

紙を不許可の箱に投げ入れる上林くん。

「ま、そんなもんだ。でも中には本当に大事なやつもあるからな。ちゃんと目を通さなきゃいけない。」

「そうなのです!前にいじめがあるという報告があったこともありました!」

「あの時はすぐに調査して証拠を集めて学校カウンセラーと教員に伝えて、被害生徒が自殺せずにすみましたね。なのできっちり見てください。」

「「「「「はい。」」」」」」

先輩方のありがたい経験談に私たちも書類を見る目を少しだけ真面目にする。

「そういえば。」

桜井先輩が書類を眺めながら言う。

「生徒会紹介のポスターはどうなってるんだい?ボクは早く白猫ちゃんたちのコメントをみんなに見てもらいたいな。」

「あ、今日この後印刷して貼りにいきます。」

俊くんが代表して答える。

本当は先週中に完成して貼る予定だったのに、精神どん底の秋斗が「書けません…」と拒絶したのだ。「私情を挟むな!」と東堂先輩に怒られて書いたのが、『今の俺に触ると怪我します。』

「いいねぇ〜!!いいよ秋斗くん!ボクはこれ、大好きだ!」

「「却下!」」

俊くんと東堂先輩の一声で延期が決まったらしい。私は今週になって聞いたが。

「じゃ、先に貼りに行こうか。」

「「分かりました。」」

私と俊くんが立ち上がった。



更新はお知らせしたとおりにして行くつもりなのですが、明日更新分から更新時間を朝6時に変更いたします。よろしくお願いいたします。

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