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ゲーム補正を求めて奮闘しよう!  作者: わんわんこ
【高校1年生編・前半】
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秋斗の誕生日を祝おう

それから、全員でボーリングをした。ボーリングの方も前世通算で片手で足りる程度しか行ったことなかったのだが、ビギナーズラックというやつか、はたまた身体能力のおかげか、それなりの点数を獲得して余裕そうだった遊くんと競った。

だが、ずば抜けていたのはあの二人。背中に炎を燃やす勢いで二人だけで勝負を続けており、ストライクとスペアを量産し火花を散らしている。

それを見ていた遊くんが言う。

「うっわぁ。上林、大人気(おとなげ)ねー!一応これ、秋斗の誕生日祝いなんだろ?」

「まぁまぁ!きっと、真剣勝負してくれた方が秋斗くんも嬉しいよ〜!」

「なんかさぁ、イメージ変わるよねー。」

「ん?明美、何が?」

「冬王子…上林くんってさ、人当たりいいけどクールなイメージだったのに、意外とブラックだったり、幼いとこあったり。」

「そうだね。冬馬くんは生徒会でも秋斗くんと絡んでるときが一番生き生きしてるよ?」

「もしかしたら、二人は未羽と雪のような関係なのかもしれませんね!」

京子が楽しそうに両手を合わせて言ったのが聞こえたのか

「「ありえない!!」」

と二人が同時に言ってくる。

やっぱり似た者同士でしょ、あなた方。



次がお祝いのケーキ。

のはずなのだが、今日はこの人数だし、暑いのでアイスを食べに行くことになる。それぞれが好みの味のものを選ぶ。もちろんこめちゃんはトリプルをコーンでだ。

京子と明美がそれぞれのアイスをあーん。と交換しているのを見たこめちゃんはキラキラした目で私を見上げる。

私がミントチョコのシングルのカップアイスからスプーンですくった一口をこめちゃんにあげると、

「美味しい〜!!」

と頬に手を当てて飛び跳ねる。

跳ねたらアイスが落ちちゃうよ!?こめちゃん!!

「雪ちゃんも〜!」

そう言って出されたものをぱくり、と口に含む。ストロベリーと練乳の甘さが口に広がる。

「ゆき!ゆき!俺も!!」

「…秋斗、それは『弟』なんじゃないの?」

「誕生日だからね!それにどんな関係になってもゆきに甘えるのは俺の専売特許だし?」

もしかしたら太陽よりよっぽど甘える弟キャラなのでは…!

「新田。今、相田のスプーンからアイスをもらうと間違いなく増井と間接キスになるけどいいのか?それは命が惜しくない、ということを意味しているが大丈夫か?あの人(かいちょう)なら直接手を下すか、もしくは小西先輩の手作りアイスをプレゼントしてくるんじゃないか?」

上林くんが意地悪い笑みを浮かべて言った言葉に秋斗がフリーズする。

こめちゃんが赤くなり、そして俊くんが気の毒そうな顔をする。

「ごめん、秋斗くん…兄さんが…。」

「いや、ゆきからもらう機会はまだあるからいい。俺も命は大事だから。」

夏休みの毒物を思い出した秋斗は完全に食欲を失っていた。



そんなこんなで楽しみ、夕方になった。今日はそんなに遅くなると言ってきていないし、用事もあるので私が抜けるというと、秋斗も抜けると言い、主役が抜けるなら今日は解散にしよう、ということになった。

「用事って何?」

「ん、電話を少々。」

コール二回で繋がった。

「あ、未羽?あんた大丈夫?」

『う、だめ。熱が…。この私が秋斗くんの頰を…攻略対象者様の頰を…!!』

やっぱりな。

「秋斗、なんかね、未羽が昨日秋斗を殴ったことを気にしてやまないらしいんだけど、なんか話すことある?」

電話を代わった秋斗。

「もしもし?未羽ちゃん?昨日のは、気にしないで。ゆきとも今日ちゃんと話せたし。…そう。仲直りした。未羽ちゃんに昨日殴られたおかげで目が覚めたんだよ。むしろお礼が言いたい。本当にありがとう。とりあえず、まずはちゃんと風邪治して?ゆっくり休んでね…あ、ゆき?オッケー。」

「あ、未羽?どう聴けた?」

『み、耳元で囁かれてるみたいだった!!やばい!熱が――!ふぉ―――!』

あ、あかん。かえって熱が上がったらしい。

「未羽落ち着いて。今から見舞いに行こうと思うんだけど…」

『だめー!!今は機材やら何やら散らばっててとても足の踏み場ないから。秋斗くんに言われたからには、明日までに気合で熱下げるから、大丈夫!』

すごい気合だな…。

そして機材って…。また法に引っかかるようなもの作ってるんじゃないでしょうね?

「わ、分かった。じゃあまた明日ね。」

『うぃー!』



「未羽ちゃん、予想より元気そうで良かったよ。」

「そうだね。」

電話を切ってから二人で並んで歩く。こうやって歩くのも一週間以上ぶり。

「戻れて、よかったぁ。」

「戻ったんじゃないよ、進んだの。」

「はいはい。あ、これ。」

秋斗にバッグがから取り出した小さな包みを渡す。

「え、プレゼント?」

「うん。渡せるかわかんなかったけど、買っておいたの。あ、今開けないで!たいしたもんじゃないし。」

秋斗は受け取った包みを大事そうに抱える。

「ありがとう。…絶対、大事にする。」

あぁなんでかな。秋斗の言葉に、こっちに向けて来る優しい笑顔にドキッとするようになったのは。

この言葉は前世で嫌な思いをした言葉でもあるはずなのに、なんで少しも嫌だと感じないんだろう。

秋斗の言った通り、私と秋斗の関係はほんの少しだけ今までと変わったようだった。



このお話で前半部は終了となります。こんなに長く読んでくださりありがとうございました。今後、後半部分の更新予定などについては2月28日の活動報告をご覧くださいませ。

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