生徒会合宿の最後の夜にご奉仕ミニカップケーキどきどき大会をしよう:当たるとラッキー篇
次が私とこめちゃん。
「平和だ…。」
「食べられるからな。美味い、か食べ物か、だからな…。」
男性陣が一様にほっとした様子。
「えー。この一年チームは、普通でつまらない、ということを愛ちゃん先生から言われておりましたので」
「「「「「「「「!!!!!!!!!」」」」」」」」
「あたり、が入っています。」
「あたり?」
「はいー。『あたり』の人には、何か得意なことをしろと言われているので、それが書かれた紙が中に入ってますー。」
「雪さん、ダンスじゃないよね?」
俊くんまで!!!!違うって!!
「違います。マッサージです。」
「マッサージ?ですか?」
先生の疑問の声。
「私、小さいころから母親にマッサージをさせられていたので。ツボの名前とか分からないんですけど、ツボ押し上手いんですよ。全身コース行けます。なのでそれを。」
「なんだって!?ゆき!!!絶対、外さないから!」
秋斗が「ゆきが他の男の体全身マッサージするだって?させるわけないんだよばかやろう!」と叫んでいる。うん、なんか卑猥だからやめなさい。中国式のごく真っ当なマッサージだよ。
「白猫ちゃんがマッサージ!いいね!ぜひ当たりたいね!」
「!!!!!」
秋斗の本気モードが発動した。くじなのに。
「まいこさんは、何なのです?」
「私は…当たってからご説明しますー。」
箱の中からボールを取り出してもらう。私のが白。こめちゃんのが赤だ。美玲先輩は「なんで、私の時は赤じゃなかったんだ…!」と言っている。
結果:白は秋斗、上林くん、俊くん、四季先生。 赤は会長、桜井先輩、東堂先輩だ。
まずは私のを引いた人たちがぱくり、と一口。私のは甘いのが苦手な人でも平気なようにさっぱり風味のレモンカップケーキ。
「美味い。」
「美味しいよ!雪さん!」
「美味しいですね。」
「よっしゃああああああ!」
秋斗の絶叫。秋斗のカップケーキの中には、小さな「マッサージ」と書かれた紙が入っていた。
執念だ。秋斗。
次がこめちゃんのチョコカップケーキだ。
「増井のは、確か、食べられる、場所だったよな…。」
「そうですよ。」
「大丈夫、『食べ物なら』きっと女の子のはどれでも行ける。」
さっき美玲先輩ので屍になっていた桜井先輩が自信を持って言う。
ぱくり。
「うっ」
東堂先輩が詰まる。
「どうされたんですか。先輩?」
俊くんの質問に、東堂先輩がこめちゃんをじっと見る。
「増井、これ何入れてる?」
「えっとですね、私は甘いのが好きなので、甘いものは甘くしようと思いました!だからココアパウダーのところを砂糖入りのココアにして、チョコは2倍、砂糖は3倍使いました。」
そう、こめちゃんのは激甘なのだ。舌がしびれるくらいの。
それを会長は平然と食べている。おそろしきかな、愛の力。
さっきほどではないがスピードが遅かった桜井先輩が「あ!」と声を上げる。
「これだね、あたり!なになに?」
紙を開くと
『いちにちどれい』
と書いてある。
「私、できることは一生懸命尽くすことくらいしかないので…。それで、当たった人の任意で決めてもらおうーと思いましたー。」
「いや、こめちゃん表現間違ってる!!!」
さすがに声に出して突っ込んだ私。
「ボクが選ぶのは、もちろん恋の奴隷…」
「尊」
気温が、いつの間にか、氷点下になっている。
「それを、私に、くださいますね?」
にっこりと、氷の王様が微笑んだ。
最後が泉子先輩だ。
「私が最後なのです!私はみんなに配るのです!ただ、それだとやっぱり面白くないので、5つ当たりが入ってるのです!」
「当たり?って、何ですか?」
上林くんの質問。
「私の得意なことはなんでしょう?なのです!」
「可愛いもの選定でしょうか?」
「ぬいぐるみづくりじゃないか?」
「泉子ならコスプレでしょ?」
先輩、どういう趣味してんですか。
「ああ、分かりました。写真ですね。」
四季先生が微笑む。
「ピンポンなのです!さぁ、問題です。今日あった行事で、みんなが是非欲しい写真は何だと思いますです?」
「「「「「「「「「!!!!!!!!!!」」」」」」」」」
さすがに、あたり景品までは私たちも知らなかった。まさか先輩、そんな!
泉子先輩はにやーと笑って、写真を5枚出す。
「先輩!そんな写真、何に使えるんですか!?」
私の制止に、泉子先輩はにこにこ笑う。
「いろいろなのですよ?売るでもいいですし」
「だめです!」
「それを見て妄想するでもいいですし」
「もっとだめです!」
「何かいいことに使うでもいいですし」
「何にですか!?」
「とにかく、さぁ、召し上がれなのです!」
みんなが一斉にカップケーキを取る。
「…なんといっていいか。」
「そうだね。なんかアメリカのグミみたいな、摩訶不思議な味だ…。」
そして、四季先生からピンク、東堂先輩から朱色、俊くんから白色、上林くんからオレンジ色、そして桜井先輩から黒色の紙がでてきた。
「ピンクは、私なのです!」
そう言って四季先生に浮き輪に入ってピースをしている自分の水着写真を渡す先輩。
「あ、ありがとうございます…。」
多分、先生がそれ持っていたら、子供の写真を持つお父さんか犯罪者になる。
「それから、朱色は美玲なのです!」
東堂先輩に、ないはずの胸を張ってポーズを決める美玲先輩の写真を渡す泉子先輩。
「夏樹、それを…どうするつもりだ。まさか、いかがわしいことに使おうとか…」
「美玲のファンに売り飛ばす。」
即答だ!
「それから、しゅんぴょんが白なのでゆきぴょんで、とうまきゅんがオレンジなのでこめぴょんなのです!」
私のやつは、例のきわどい水着姿のやつで、後ろから振り返ったところを撮影されている。
椅子に乗った先輩に後ろから呼び止められたときにいきなり撮られたのだ。
こめちゃんのはちょっともじもじした上目遣いのやつだ。グラビアの写真としても売れそうな感じがする。
俊くんがそれを直視して、ばっと裏返した。
「「俊 (くん)それをちょうだい!!!」」
私と秋斗の絶叫を押さえ、上林くんがにっこりした。
「俊、それ、俺にくれない?」
「なんでそんなっ!ダメです俊くん!」
「断るなんてできないよ?だって、ほら。会長、俊からもらって相田のやつ交換してもらえませんか?」
「もちろんですよ。俊、いいよね?」
会長、「いいよね?」が任意ではありません。強制です。笑顔なのに、氷山が後ろに見えます!
俊くんがこくこくとうなずいてそれを渡す。
そして会長と上林くんがそれらを交換した。
「おいっ上林!ゆきの写真をどう使うんだよ!?」
「んー秘密?ま、相田の弱みになるし?」
「うぎゃああああああ!!!」
こうして、ご奉仕ミニカップケーキどきどき大会は終わったのだった。
ちなみに、黒い紙は…
「ボクのは何なんだい?」
「これなのです!たけるきゅん!」
「こ、これは…!」
愛ちゃん先生が水着にエプロン姿(だけどエプロンのせいで男性物の水着が隠れてしまっている。)でにこにこしている写真だ。
蒼ざめる桜井先輩に、後ろから愛ちゃん先生が「大事にしてねん♡」と言い、桜井先輩は本日二度目になる意識喪失をした。
こうして、濃くて濃くて濃すぎる生徒会合宿は終わったのだった。
編集ができたのであげます。これにて生徒会合宿編はおしまいです。




