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ゲーム補正を求めて奮闘しよう!  作者: わんわんこ
【高校1年生編・前半】
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生徒会合宿でお仕事を教わろう


そのあと、会長に独占されていたこめちゃんが解放されたので、私がこめちゃんを先輩方の方へ連れて行く。

「こめちゃん、先輩方と挨拶したら?」

「そ、そうだったぁ!すみません!」

「広報担当の東堂夏樹だ。よろしくな。」

「はい、増井米子です。よろしくお願いしますー。」

「私も広報担当で副会長の小西美玲だ。こめちゃん、というのはあだ名なんだね?ものすごく可愛いな!抱きしめていいかい?」

「は、はいぃ…どうぞ。」

「ずるいです!美玲!こめぴょんは私の直下なのです!私は馬場泉子。これからずーっとよろしくなのです!」

泉子先輩にも抱きつかれるこめちゃん。

「は、はい!あわわわわ。」

それから桜井先輩。キラン!と流し目を決めつつ自己紹介。

「こんにちは、ハニーちゃん。」

こめちゃんはハニーなのか。

「ボクは会計担当の桜井尊。たける先輩♡って呼んでくれると嬉しいな!」

「たける、先輩…?」

素直なこめちゃんはそのままそれを口に出す。こめちゃんの身長的に上目遣いで首を傾げる形になる。

途端に。

ピシッと音がするくらい、空気が凍った。ギギギギと油のさされていないブリキ人形のように元凶を見る。

まずい!会長が夏なのにブリザードを発生させている!

「桜井!今すぐ謝れ!春彦に!」

「尊、お前海月に殺されるぞ?」

「たけるきゅん、危ないですよー?」

先輩方は直ぐさま仲間の救出に向かった!

一年生?

全員ブリザードに凍りつかされていましたとも。ええ。



てんやわんやで自己紹介を終え、コテージに入る。中は想像よりも広くて開放的な空間になっていた。

「広いですねぇ!」

「本当に。綺麗なとこですね。あそこだけ天窓になっているんだぁ!」

こめちゃんと俊くんが褒める。

私が天井を見上げて

「ここで5日間過ごすんですね。」

と言うと、美玲先輩が私の肩を抱きながら言う。

「そうだよ。夜はね、星が綺麗なんだ。雪くん、是非一緒に見ようじゃないか。」

そ、そうですね!出来れば一年全員で見学させていただきたいです!

「小西先輩、ゆきは俺のなんで、勝手に盗ったらだめです。」

「おや、二人は付き合っているのかい?」

「秋斗、違うでしょ。私と彼は幼馴染なだけです。」

「そうですよ、先輩。相田は俺も狙っているんで、口説かないでください。」

上林く――――ん!この人は面白がって言っているに違いない。

「そうか…。ライバルが多いということだな。これは燃えてきたぞ!」

え、この方まさか女性が好きな方、とかじゃないよね?!

私の表情を読んだ泉子先輩がすす…と寄ってきて教えてくれる。

「ゆきぴょん、美玲はちゃんと恋愛相手は男性を選ぶ子なんですよ?ただ、可愛いものや綺麗なものが好きで好きで、独占したいだけなのです。その点、私は違いますよ?独占しなくても愛でられますからね!」

それあんまり違いないですよ?!

生徒会の先輩に女性が二人いる、ということは未羽から聞いて知っていた。そして、男性オンリーで完全逆ハー(最悪の事態)にならない、という事実にとても安心したのだ。

しかしどういうことだろう、それよりも女性二人がいた方が危険な気がする。



それから軽いランチを食べ、四季先生はお仕事があるとかで出ていき、愛ちゃん先生はハンモックの上でお昼寝を始めた。曰く、「お昼寝は美容にいいのよん」。

私たちはそれぞれ分かれて同じ役職の先輩に個別に仕事を教わることになった。

私はざっと様子を観察する。

まず、こめちゃんと泉子先輩ペア。

「こめぴょん、やりましょうなのです!」

「はい!」

ちっちゃな二人が寄り添って話し合っている姿を見ると、実際は書記の仕事の説明をしているのに、まるでお人形遊びをしているように見える。

そういえば、泉子先輩は面白い呼び方をしている。例外は呼び捨ての美玲先輩だけ。

東堂先輩はなつききゅん、桜井先輩はたけるきゅん、会長ははるきゅん、秋斗はあきときゅん、上林くんはとうまきゅん、私はゆきぴょん、こめちゃんはこめぴょん。男性はきゅんで女性はぴょんなのか、と思っていたら、さっきそれが裏切られた。俊くんが「しゅんぴょん!」と呼ばれていたからだ。泉子先輩の中で、俊くんは男性じゃないのかもしれない…。


次が、会長と上林くんペア。

会長はこめちゃんが関わらなければ真面目で眉目秀麗な人。

つくづく、こめちゃんの直上が桜井先輩じゃなくて、泉子先輩でよかったと思う。そんなことがあった日には常に周りに氷塊ができている。そして遠くない未来に桜井先輩はどこかで見るも無残な様子で発見されるんだろう。

「会長の仕事は全般的な雑務ですよ。庶務を兼ねていますからね。」

「はい。」

「学校全体を見通し、乱れがないか、不満がないか、生徒たちの要望をいかにして叶えられるか絶えず目を配ることが大切です。」

「はい。」

会長を尊敬している上林くんがすごく真面目に聞いている。

「そして一番重要なことは、見てお分かりの通り、このアクの強いメンバーをまとめ上げることです。このメンバーが暴走したら、大変なことになりますからね。それは会長の最も重要な役割と言っても過言ではないですよ。」

「………。」

ええ、上林くん、君の言いたいことはよく分かる。

これまで見ていて一番暴走していらっしゃるのは、会長、あなたであるという事実についてご自覚ないんですね。


次が、桜井先輩と秋斗ペア。

ここは最初が最初なだけに、大丈夫か不安なところだ。

「どうしたんだい?新田くん、いや、秋斗くん。これから同じ役職じゃないか。仲良くやろう。」

「遠慮させていただきます。」

「そんなに照れなくていいんだよ。ボクが、手取り足取り、丁寧に教えてあげるからね。」

「!結構です!」

「まずはこの物理的な距離を埋めようじゃないか。なんで1メートル近くボクから離れているのかな?」

…がんばれ、秋斗!


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