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ゲーム補正を求めて奮闘しよう!  作者: わんわんこ
【高校1年生編・前半】
33/258

夏休みの宿題を片付けよう

予約投稿で失礼します。

二人の機嫌が収まったところで私たちはお昼を適当に取り、それからみんなと待ち合わせている図書室のグループ学習室に向かった。

約束の時間より早いのでまだ誰も来ていない。

「相田、どのくらい終わった?」

「8割。上林くんは?」

「俺も同じくらい。新田は?」

「7割くらいかな。まだ英語と古典が残ってる。」

「訊いても無駄だと思うんだけど、未羽は?」

「宿題?なにそれおいしいの?」

やっぱりな!

「未羽、それ今後の学習生活の面でまずいんじゃないの?」

「いやー?だってクラス替えなんて新年度しかないし。というわけで、雪、見せて♡」

知らんぞ。

未羽が私の生物と現代文の宿題を猛然と書き写し始める。

もう諦めたけど、現代文の記述問題をそのまま書き写すのはやめときなさいな。

「秋斗、ここの英文記述見せて?ちょっと自信ない。」

「いいよ、…ふーん、文法は間違ってないし、いいんじゃない?それよりこっちの問題、文末にinがあるから、whereじゃなくて…。」

「which!ミスしたー。」

今のところテストでは勝ってるけど、秋斗は私より英語が出来る。外国で生まれて小学3年生まで向こうにいた、という帰国子女だからだ。そのまま向こうの血が入っててもおかしくない外見なのに、そこはなぜハーフって設定にしなかったんだろう?

「秋斗、ここは多分『けり』、じゃなくて推定の『めり』が正解だと思うよ?」

「本当?ありがと!」

そして帰国子女だったせいなのか、秋斗は国語全般が苦手。一番得意な科目と苦手な科目を残していたらしい。

「あ、相田。この問題計算ミスじゃないか?」

上林くんが見ていたのは数学A。

「本当だ。やってしまった。上林くん、ここは現在進行形の訳が抜けてる。」

「うわ、凡ミスしてたか。」

「…」

何も言わずひたすらペンを動かす未羽。


「あーもうやってる!」

「あれ?冬王子もいるの?」

やってきたのは他の面々。

冬王子、だと?なんだその薄ら寒い少女漫画的あだ名は。

「何それ?」

ちょっと嫌そうに上林くんが遊くんに訊く。

「あ、ごめんごめん。上林って有名でさ、他のクラスの関わりない女子とかには裏で冬王子(ふゆおうじ)って呼ばれてんだよ。ちなみに秋斗は秋王子(あきおうじ)な。あ、俺、B組の野口遊。」

「私は辻岡京子と申しますわ。」

「私は武富士明美!よろしくね!」

「俺は上林冬馬。野口と辻岡と武富士な。よろしく。」

自己紹介タイム中に未羽がこそっと私に、「さっきのあだ名、ゲーム設定と同じ!」と話してくる。

「え、じゃあ会長が春王子で東堂先輩が夏王子なの?」

「いや、あの二人は春王(しゅんおう)夏王(かおう)。威厳ある会長と兄貴な東堂先輩には王子は合わないでしょ?」

確かに。王子なんていう可愛らしさはない、特に会長は。

「ん?じゃあ四季先生は四季王?」

「いや、四季ちゃん。」

先生!こんなとこでもあなたは威厳を感じさせないんですね!



「ところで未羽ちゃん何してんの?」

「雪のを丸写し中。」

「あ、俺も入れて。」

【遊くんが未羽の仲間になった!】

冒険ゲームのテロップにはこう出そうだ。

「あれだね〜学年主席と次席がいれば安心だねぇ。」

こめちゃんがほわほわと笑いながら日本史の宿題を取り出す。

「そうだね、僕も不安なとこ、結構あったし。ここの宿題って多いから終わらなかったよ。」

「それは私もだから大丈夫だよ。お互い得意なとこで合わせていこ?」

「全科目しっかり出さなくてもいいのにねー。」

「本当だよな!でも雪ちゃんのおかげで俺の今年の夏は天国だぜ!」

…全部書き写してカンニングを疑われるのは間違いなく二人だと思うけど、それでもいいんですか?

そんなことをしている間にグループ学習室の外には夏休みだと言うのに何人かの女子生徒が集まり、こっちを指差してきゃっきゃっ言っている。

そりゃあ、まぁ王子×2がいるなら仕方ないのかなー。

「二人とも大変だよねーああいうのに囲まれてさ!」

明美と京子とこめちゃんは耐性が強いのかきゃあきゃあ騒ぐことはない。こういうとこまで愛ちゃん先生は見抜いてたんじゃないかって気もする。

よく考えてみれば最初の入部試験だって、第3部を除けば全部、部活動をしていく上での常識というか、基礎になることだった。愛ちゃん先生って底知れない。

「別に女の子たちが来るのは構わないけど、ゆきとの時間を邪魔されるのは困る。」

秋斗、発言に問題ありです。未羽がノートに覆いかぶさったまま耳ダンボになってるのでやめて。

「俺も邪魔されるのは困る。」

「え、上林くん、何をですの?」

「何をだと思う?」

にっこり笑う上林くん。それに対して秋斗が、がるるるるると唸る。

その様子を見ていた京子と明美は、はっはーんという顔をして、私をじぃっと見る。

「な、何?」

「雪、どんな気分?王子に取り合いされるのって。」

されてませんから!そういうフラグ立てないでください!!縁起でもない!



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