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ゲーム補正を求めて奮闘しよう!  作者: わんわんこ
【高校1年生編・前半】
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お母さんと攻防しよう

「さぁさ、狭いところだけどどうぞ!」

うちは父母私弟の家族4人。一般的な庶民家庭だ。確か設定では上林くんの家は代々続く医者だと未羽が前にこぼしていた。彼はこんな小さい間取りの家なんか見たことないんじゃないか?

「雪の部屋でいいのよね?」

よくないです!

「だめ、私の部屋、お茶とかおける小さなテーブルなんてないし。」

「机の上におけばいいじゃないの。さぁ、お待たせしたわね。どうぞ、雪の部屋はこっちよ。」

私の否やを問わず上林くんを2階の私の部屋に連れて行った。

お母さん、あなたは彼氏でもない高校生の男の子と娘が部屋で二人っきりになることについて何にも思わないんですか!!

いや、期待した私がバカでした。もともと上林くんのような見るからに分かる優等生タイプは親の受けは抜群にいいし、それになにより。

「ね、雪。彼、なんてお名前?」

戻ってきたお母さんが楽しそうに訊いてくる。

「…上林冬馬くん。クラスの隣の席で、クラス委員一緒にやってる。今度生徒会でも一緒になるよ。すごく優秀な人。」

「へええぇ。かっこいいし、頭もいいのねー!」

この人は面食いなのだ!!!

「ふふふふ。秋斗くんとうまくやってるのかと思ったら、あんなかっこいい男の子とまでお友達になってるなんて!雪もやるわね!さすが私の娘!」

その娘は彼といかにしてお友達にならないかで奮闘してました。

「…お母さん、何用意してるの?」

ごそごそと戸棚を探るお母さん。

「チョコとかクッキーないかなぁって。」

「…いい。私がやる。」

「あれ?いけなかった?」

この暑い中歩いてきてクッキーはないよ!お母さん!



部屋に行くと、上林くんは運んでくれた紙袋を床に置いて所在無げに立っていた。

「ごめん、お待たせしました!」

この小さい部屋に入るとやっぱり男の子って体積あるんだなって思う。

体積って言い方は違うだろうけど、存在感がある。

私は盆を学習机に置くと座布団をお父さんの書斎から持ってきてどうぞ!と示す。他に座るところは学習机の椅子とベッドくらいしかないからね。

「なんかかえって悪いな。」

「いや、こちらこそお母さんが騒いで申し訳ないです。」

そう言って持ってきた麦茶とゼリーを勧めると、さんきゅ、と素直に受け取ってくれる。

沈黙。

何話せって言うんだ!!つい2ヶ月くらい前まで逃げ回ってた相手と、学校という場でなくて、プライベートな自室で!

しかもここでの会話は未羽に筒抜けなわけだし。

「なんか、意外というか。」

「へ?」

「部屋。女の子の部屋ってぬいぐるみとかがいっぱい置いてあるもんだと思ってたけど、そんなことないんだな。」

前から多くはないけど、前世の記憶が戻ってから大量処分したのだ。ダニの発生源になるし、なにより狭い部屋の面積を食ってしまう。

「んー。邪魔だったから。部屋、狭いでしょ?」

くくっと笑う上林くん。

「訂正。相田らしいな。」

私はどういうキャラなんですか?

「ごめんねー女子っぽくない部屋で。」

「いや、そこは否定してない。全体的に女の子の部屋っていう様相だし…それに、相田の匂いがする。」

まさか!そんなに汗臭かったっけ?人を案内すると思ってなかったから油断したか!

「え、汗臭い?」

「そうじゃなくて。なんか甘いけどさっぱりした良い匂い。俺、この匂い好き。」

ブーっ。

「ごめん、ラインいい?」

「どーぞ。」

未羽だろうとは思っていたが、やっぱり未羽だった。

『やっばい。聞いてるだけで鼻血出そう(艸д゜*)ィャ→ン♪』

ラインをそっと見て硬直している私に上林くんが謝る。

「ごめん、なんかさっきのは変態っぽかったな。」

ラインの向こう側の人の方が変態ですので今のは全く問題ないですよ。

「臭くないならいいよ。」

「あ、あっちが新田の家?」

窓から見える赤い屋根の家の窓を指差す。

「うん、そこは秋斗の部屋だよ。」

定番の窓で行き来してたってやつだよ。

「へぇ。近いな。そのまま移動できるんじゃないか?」

「ご明察。」

「今でも移動とかしてるの?」

「まさか。流石に。」

「そりゃあそっか。」

立ち入り禁止令を出したからね。出してなかったら秋斗は入ってきてた。

断言できる。



もう1話はいつもの夜時間になります。

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