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ゲーム補正を求めて奮闘しよう!  作者: わんわんこ
【高校2年生編・1学期~夏休み】
190/258

親友と彼氏は永遠のライバル同士。(遊園地デート編その3)

お盆最終日なので、連日投稿してみました。今週はまた遅れるかもしれませんが、のんびりお待ちくださいませ。

ジェットコースターを終えて近くの自販機やトイレに寄ってからコーヒーカップの場所まで戻ると、

俊くんが砂になっていた。

「俊!」

「風化してる!!風化してるよ、俊くん!何があったの?!」

「こ…うぷ。」

ベンチに座ってこっちを見上げた俊くんは顔が真っ青だ。

「いい、俊!無理に話そうとするな!ゆっくり呼吸しろ。ダメそうだったら俺がトイレに連れていくから。水飲めそうなら飲んだ方がいいんだけど…。」

「あ、これあげて!」

ちょうど買ったばかりのお茶を冬馬に渡していると、若干ふらついた未羽が近寄ってきて何があったか教えてくれた。

「こめちゃんがコーヒーカップを気に入って、3回も乗ったのよ…。それも、遊くんが全力で回転させたから、かなり回されてね…。しゃ、写真は死守したけど。」

気合だな、未羽!

「その遊くんは?」

「自分で回しておいて気持ち悪くなってトイレに行った。」

遊くんはアホの子です。

こめちゃん(元凶)は向こうで京子と祥子と太陽と話しているみたい。酔い耐性が高いらしい。

「よく考えたらさ、乗らないで外で待ってればよかったんじゃないの?」

「間違いなく正論なんだけどね?こめちゃん一人で乗せるのも可哀想だし、遊くんと二人きりにしたら今後の彼の未来が誰とは言えない誰かによって黒く塗りつぶされるのが見えるし、それに責任を感じた俊くんが一緒に乗って…そうしたら私も付き合わざるをえないでしょう?」

「未羽が…!?珍しい…!」

「俊くんがこの状態で3回目にトライするのを横目に見捨てられるほど鬼じゃないわよ。」

確かに、それはただの人でなしだ。

「3回目終わってようやく俊くんの状態に気付いたこめちゃんがさっきまでは付きっきりで様子見てたんだけど、張り切ってお水を買いに行ったところでナンパされて連れていかれそうになっちゃったのよ。それを東堂先輩が追って取り戻したりっていう一悶着があったりしてさ…。んで今はあそこで太陽くんが見張り役になってるわけ。」

顔が抜群に可愛く、色っぽさも見事に備え、かつ道を尋ねたらわざわざ先導して教えてくれそうなくらい見るからに純粋そうで、おまけに体が小さくて抵抗できなさそうなこめちゃんは、ナンパ野郎軍団から見ればアリの前のお砂糖のようなものだ。1人で出歩こうものなら、10分に1回は声をかけられる、という脅威の数字を叩き出す彼女は、主人公のナンパ系イベントを全て引き受けているのかも(実際のところ引き受けている気がする)と未羽に疑われるくらいだから、学校(会長様のテリトリー)外に出るときに目を離せないのは大げさではないのだ、確かに。

「大体状況は理解したよ。それで、東堂先輩と明美と雨くんは?」

「お昼買いに行ってくれた。」

「う…お昼…食べ物なんて…今見たくも…ない…。」

過去一番の苦労人度を発揮している俊くんに未羽と一緒に合掌しておく。



と、こめちゃんたちがいる反対側、ちょうど園内売店のある向こうの方で数人の女子の塊が見えた。なんだかもめているようなのでよくよく見れば。

「あれ、明美じゃない?」

手にトレーを2つ持って運んでいる明美が若いおねーさんたちに囲まれている。

「あんた、さっきあのイケメンの子とずっと二人でいたわよね?!」

「あの美少年独占とか!あたしたちが声かけてもスルーされたんだけど?」

「そこどいてもらえませんか?」

「ちょっと、無視とかいい度胸してんじゃない!」

「今、手がいっぱいなんです。おねーさんたちの相手してあげる余裕ないんですよ。」

「なにその上から目線…!」

「いきなりやってきて上から目線で話してきた方々に同じように返しただけです。」

「口が減らない生意気な女ね。どうしてあのイケメンくん、こんなちんちくりんと一緒にいたのかしら?」

「えー。そんなの本人に訊いてください。私に言われても。」

「あんた何様のつもり!?」

「彼女様ですけど?」

明美は気が強いからああいうタイプにも負けないけど、それが事態を悪化させることもある。あのおねーさんたちはそこそこ男の人たちをひっかけることに自信をお持ちの方々らしい。そんなことに自信をもってどうするんだと問いたいが、会話一連と雰囲気を総合して考えればそんな感じ。そしてその無駄なプライドでもって雨くんを逆ナンしようとして見事失敗したと見える。

となれば、雨くんと一緒にいた明美の存在に今絡んでいる理由なんて決まってる。

「未羽、嫌な予感がする。」

「そうね。でも下手な手出ししても火に油を注ぎそうよ。」

「うん、そうなんだよね。今のところ明美、全然負ける気ないっぽいけど、多勢に無勢だからな…。」

私たちがどうするか迷っている間にも、明美とおねーさんたちの合戦は続く。

「はぁ?あんたが彼女?」

「釣り合わないの分かんないの?」

派手で露出は多いが美人めな一人の言葉に明美が初めて唇を噛んで黙った。

その様子を見ておねーさんたちはこれならいけると思ったらしく急に畳みかけるように複数人でまくしたてる。

「あんたなんか並みの並みじゃない。どこでもいるような顔!」

「釣り合わないのよ。」

「どーせ遊ばれてるだけでしょ。」

「あ、なるほど。それに気づいてないのかー。痛いねぇ。あんた。」

「身の程弁えたらぁ?」

「全く何がいいのやら、変な趣味。」

「目が悪いんじゃない?」

「まー結局あの子もその程度ってこと?なんだ、がっかりぃ。」

その言葉には黙っていた明美がきっと言い返した。

「あ、雨のこと、悪く言うのはやめてよ!!」

「悪く言われてるのはあんたのせいでしょーよ。」

「!」

「分かってないの?彼女がしょぼいと相手の男だってその程度だって思われるのよ?」

言われた明美は下を向いて震えている。言い返したいのに、言い返せないようだ。

「…未羽、そろそろいいよね?私、我慢したよね?」

私の言葉に未羽も頷いて無言でついてくる。

明美は確かに容姿が特別整っているわけじゃない。一方の雨くん(彼氏)は攻略対象者で否応無しに注目されるイケメンだ。デートに行く時も、一緒にいるときも、きっと周りから見られていたはずだ。

そして彼女はそれを密に気にしていた。雨くんと付き合う前から、彼女は「イケメンを彼氏にしたいとは思わない。劣等感を覚えるから」と、そう言っていた。

明美はそれを分かってそれでもなお雨くんと付き合ったんだろう。

だったら、きっと明美はいつもその劣等感と戦っている。

でも明美、思い出して?あの時、それを聞いた秋斗がなんて言っていたか。

心の中で祈りながら私たちが足早にそこに向かう間もお姉さんたちの嫌みったらしい攻撃は止まっていない。

「分かった?」

「分かったらさっさと別れなよ、あんたなんか。」

「そこまでにしていただけます?」

私たちが着く前に現れた凛とした背中が俯いた明美の前に立ちふさがり、おねーさんたちから明美を隠した。

「…未羽、私たちの出番はなさそうだよ。」

「そうね。京子は怒ると誰よりも怖い子だからね。今、まさに阿修羅モードよ、彼女。そうでなくともあんた絡むと余計な揉め事まで引き起こしそうだし、戦況変わったら入るでいいんじゃない?」

「あんたが失礼なのは毎度のことだとは思うけど、一理あるので一時撤退します。」

「今は京子お姉様の攻撃ターンを見守るわよ。」

「あいあいさ。」



「なぁに、あんた?」

「私が誰かなんて、どうでもいいことですわ。それより、謝っていただけませんか?」

「はぁ?何を?」

「私の大切な友人を侮辱したことですわ。」

「侮辱?事実じゃない。」

「事実?そうおっしゃいますの。」

にこりと微笑んだ京子に、おねーさんずは少し引いた。

その笑顔の後ろに確かに阿修羅像が見えた。

「私は彼女と付き合って5年になりますが、今そこで見かけたばかりのあなた方に私以上に彼女のことが分かるというのなら、どうぞおっしゃってくださいまし。えぇ、納得できる理由をお示しくださいな。」

「か、顔が劣ってるって、見りゃ明らかじゃない!」

「あなた方は、美しさというものをなんだと考えていらっしゃるのですか?」

「そりゃ顔とか…スタイルとか…。」

「なに当ったり前のこと訊いてきてるわけ!?うざいんだけど!」

それを聞いて京子はすっと目を細めた。

「では、あなた方は目が見えなくなった時に何も美しいと感じることはない、とそういうことですわね?それは大変人生損していらっしゃいますわ。」

にこり、と笑ういつも通りの笑顔はおねーさんずを凍らせた。

「確かに外見は人が美しいと感じるものの一つですわ。でもそれだけではありません。立ち居振る舞い、話し方、人との接し方、ひいては生き方においても、人は美しさを感じるものです。自分の目が見えないときに、一言『お手伝いしましょうか?』と声をかけてくれる、それでどれだけ相手のことを『美しい』と感じるか、あなた方はご存じないんですね。きっとこれまでその外見を磨くためにすべての力を注いでこられたのでしょう。それはそれで素晴らしいことではありますが、そのせいで心が醜くなっていることに気づかれていないんだな、と心底残念に思います。あなた方のお話が果たして正しいか、よくお考えになった方がよろしいと思いますわ。」

「…ふっは…は。あんたさ、そこの5年来の友達とやらにも『容姿はダメ』って言われているんじゃないの。」

「いつそんなことを私が申し上げまして?」

どう見ても勝てそうもない京子ではなく、明美に直接話しかけたおねーさんに京子が穏やかに声をかけた。

「頭に血が上っているあなた方に、『明美の見ためがいかに可愛らしいか』を私が語って差し上げてもてんで耳にも入れようとされないでしょう?だから論じ方を変えただけですわ。それに、それについては私ではなくてもっと適役がおりますもの。そうですわね。雨さん。」

「えぇ。ありがとうございます、京子さん。さすが明美さんの親友だと思います。」

京子がすっと横にそれたことでおねーさんずの視界に入ったそこには、泣きそうな明美を抱き抱えるようにして立っている雨くんの姿があった。

その目から放たれるのは、まぎれもない怒りだ。

京子にすっかり毒気を抜かれていたお姉さんたちは更なる追撃におびえていたが、怒り心頭の雨くんに、彼女たちを逃してやるつもりは毛頭ないようだった。

「遠くから聞こえるほどの声で何を言っているかと思えば。釣り合わない?何が釣り合わないんです?あなたたちはなんの権利があって彼女にそんなことを言っているんです?」

「そ、それは。」

「あぁ。質問の意味が分かりませんか。あなたたちは、『自分たちには』そんなことを言う資格があると思って言ってるんですか?そうだとしたら自惚れも甚だしいですね。あなたたち程度が俺と容姿で比べられるとでも?」

どこまでも傲慢で、それでもそれは彼が発するから許される言葉。

それを落ち着いた声音で叩き付けながら続ける。

「どんな相手が釣り合うかは俺が決めることです。確かに明美さんは俺には釣り合わない。明美さんの強くて、真っ直ぐで、素直な心に、俺は全然釣り合えないんです。俺が彼女に惚れ込んでるんですよ。憧れているんです。半年かけて頑張ってやっと彼女になってくれたんです。それを、あなた方は、釣り合わないだ?何がいいのか分からないだ?それはあなた方が理解できる脳みそすら持っていないからでしょう?そんなあなた方に俺たちのことをとやかく言われる筋あいはないですよね。これ以上俺の前にその汚い面晒すのやめてもらえませんか?とっとと立ち去ってください。謝罪なんてしないでください。彼女にこれ以上言葉をかけられるだけで、俺が怒りであなた方を殴ってしまいそうなので。」

澱みなく、丁寧な口調で言い切った。

彼レベルの顔面偏差値に汚い面と言われて誰も反論できず、おねーさんずは泣きながらまろぶように逃げていった。

自分から滲み出る怒りで相手を逃しさえしなかったのに、去れと命令する雨くんは、皇帝と呼ばれていたに相応しい威圧感があった。



彼女たちがいなくなった後、雨くんは漏れ出る殺気をようやくこらえてそれから明美を起こそうとしゃがみこんだ。

「明美さん、立てますか?大丈夫ですか?」

「…ごめん、雨。」

「明美さん?」

「言い返せなくて…私、あの人たちに言われたことずっと思ってたし…」

ぽた…と地面に水滴の跡がついている。

明美はわぁっと泣きながら顔を上げた。

「…悔しいよ、悔しいよ、悔しいよぉ!私、何も言い返せなかった!!私、自覚してるもん!雨よりずうっと地味で釣り合わないって!出かけてる時もいっつも周りの人に振り返って、見られて、確認されて!笑われたことも、信じられないって顔で見られたことも何度もあるもん!何度、雪やこめちゃんが羨ましいと思ったか…!少しでも2人みたいに美人だったらって!私っ!私っ!」

「明美…。」

自分の役目は終わったと判断して一歩下がって明美を見守る京子は酷く心配そうな顔をしている。

「ごめんね雨っ。雨だってそういう目で見られたはず!こないだ出かけた時、カップル取材で私が相手だって気づいて取材の人たちガッカリしてたもん!雨、ごめん、私、美人じゃなくてごめ」

雨くんが明美の肩を掴んで口を塞いだ。それも、ディープなやつだ。

「んんんーっ!んんーっ!……あ、雨!こんなとこで何する」

「馬鹿ですか貴女はっ!」

唇を離した雨くんは今度は明美に怒っていた。

「なんであんな人たちの言葉の方を大事にするんです?俺がどれだけ明美さんのことを綺麗だと言ってもそれは聞いてもらえないんですか?」

「だってだって、客観的に見て…。」

「客観的ってなんですか?美の基準なんて人の主観で決まるんですよ?」

確かに。平安時代はおかめが最高美人だ。源氏物語をリアルで考えると軽いカルチャーショックを受けてしまうというあれだ。

現実というのはおそろしいものなのだ。

「俺、明美さんに話しましたよね?!俺の過去のこと。自分の母親には見向きもされなかったこと!雹と同じはずなのに嫌われるこの顔のこと…!俺にとって客観的だなんだなんてどうだっていいんですよ!!なのにどうして貴女は!」

「雨…。」

雨くんは酷く切なそうに顔を歪めて、明美をじっと見た。

「俺のこと、もっと信用してください…。貴女にさえ俺の言葉を信じてもらえなかったら、俺は何を拠り所にすればいいんですか…?ごめん?謝ったことを謝ってください。俺は貴女の容姿もその中身も全部含めた武富士明美という女性が好きなんです!美しいと思っているんです!明美さんのこの意地悪っぽい目で上目遣いなんてされたら可愛くて一日悶えられます!何度自分を慰めなきゃいけないか…!」

雨くん、すごく素敵なことを言っていたのにそこらへんで全部台無しにするのはやめた方がいい。

「あ、あ、雨は…気にならないの?前はあれだけ綺麗な子たちに囲まれていたのに、今は、その、平凡な容姿の私だけで。」

「その生活には、大金を積まれても戻りたいとは思いません。…貴女がそれほど周りの目で傷ついていたことに気づけなくてすみません。俺の手落ちです。そんなに嫌な思いをさせていたとは…。これからは俺の家でデートしましょうね。」

「………待って?なんか流れおかしい。何するのそれ?」

「おかしくないですよ。明美さんが他の人の目が気になるというのなら見えないところにいるまでです。見られて嫌だとあくまで言い張るのなら。何する?そうですね、映画とか観ます?…でも、二人だけの部屋での俺の忍耐は試さないでくださいね?俺は冬馬くんみたいな強靭な理性は持ち合わせてませんから。」

「待て。そこで俺を引き合いに出すな。というかなんで知ってんだよ?」

「ごめん、冬馬。明美たちに話した。」

「〜〜〜っ。筒抜けなんだな、そう思っとく今度から。」

「ねーちゃん?なんで上林先輩の部屋に行ってんの?…まさか、二人きりだったとか…。」

「そのまさかだねぇ。」

「こめちゃん!」

「ねーちゃん!!!」

「だーかーら!!何もないって!清く健全なお付き合いをしましょうという話をしただけで!」

「おー。上林、お前よく頑張るな。紳士の鑑だな。」

「…東堂先輩、そういう言い方されるとなんだか気持ちが折れるので止めてください。」

唐突に始まったいつも通りのみんなの会話に明美が、ようやく、ぷっと噴き出す。

それから明美はぐいっと目元をぬぐってぱっと顔を上げた。

「雨、ごめん!なんかいいや!うん!なんかね、どーでもよくなっちゃった!ははっ、私、あんだけ真剣に考えてたのバカみたいだね!こんなことであんなやつらに負けちゃってごめんね!次は自信満々に雨の彼女だからって言って追い払ってやるから!」

いつも通り爽快に笑ったかと思うと、雨くんのほっぺたにちゅっと口をつけた。

「おわび!」

「明美さん…!」

感極まったのか、脳の血管が切れそうになったのか、とにかく発情間際の雨くんががばっと明美を抱き締めようとしたのを、するりと猫のように避けると、明美は京子の元に行って抱きついた。

「京子ぉ――!!ありがとう!!かっこよかったぁ!!あーもう、京子にはほんと、何度でも惚れるわ!大好き!」

「明美のためなら私、何度でも言いますから、いつでも頼ってくださいましね。」

「うん!私も京子のこと、誰にでも胸張って自慢するから!こんなに素敵な親友ですよって!!」

そんな美しき友情のすぐ近くでは、

「雨、今邪魔するな!お前、今邪魔したら男が廃る!その株は地の底まで落ちるからな!」

「放してください冬馬くん!俺、今、京子さんに負けそうなんです!!」

「雨先輩、辻岡先輩と武富士先輩は横田先輩とねーちゃんみたいなもんですから、次元が違いますって!!」

わが彼氏と弟の初の共同作業(雨くん羽交い絞め)が行われていた。



さきほど買っていた分は落としてしまったので、ひと悶着が過ぎてからもう一度お昼を買いに行くことになった。

今度はらぶらぶな二人(「ようやく俺の番です!」と言って雨くんが明美を放さない。)は居残りで、帰ってきた遊くんと、冬馬、東堂先輩、京子が行った。

「雪さん。」

「俊くん、もういいの?お茶で潤った?」

「多少ね。きつかったけど。……あのこと、話せたんだね、冬馬くんと。」

いつもより弱弱しいが口元に笑みを浮かべて優しく言ってくれる。

「うん。俊くんのおかげ。俊くんが冬馬なら受け入れてくれるって言ったとおりだったよ。」

「僕は大したことしてないよ。」

「ううん、俊くんはいつも道しるべになってくれるの。本当に感謝してる。この恩はちゃんと返すね。」

「え、いいよ。見返りとか求めてやったんじゃないから。」

「いや、これは気持ちの問題。大したことできないけど…そうだ。今日のこめちゃんのお守りを手伝うよ。」

「是非お願いします。」

即答だった。



彼ら流ざまぁ。雨くんはどこか必ず残念。

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