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ゲーム補正を求めて奮闘しよう!  作者: わんわんこ
【高校2年生編・1学期~夏休み】
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暴走度合いもランクアップ。(生徒会合宿編その3-2日目)

1日目の仕事説明を終え、それぞれが男子女子部屋に分かれて寝に行った。もちろん男子部屋の方では新たに加わった一年生男子に桜井先輩が懲りずに両腕を広げた。ちなみに二年以上の男性諸君(慣れている人たち)は桜井先輩の存在をあるものは宇宙語を話す異星人だとして会話に取り合わず、ある者は幽霊だとして存在を消していた。

「さぁ、この胸に飛び込んでおいで!遠慮せずに!さぁ!」

「夢城先輩のところに逝ってください。」

と太陽。言葉の選択はミスではない。

「いないからこそ人肌恋しいんだよ、ボクと温め合おうじゃないか!」

「僕は暑いので遠慮しておきます…。」

と神無月くん。

三枝くんは無言で半眼になっており、鵜飼くんは周りのキャラの濃さに怯える花園くんを宥めているようだ。

「その発情して煮だった頭を冷やした方がいいと思うので近くの川で一旦沈んできてもらっていいですか?」

「ああ太陽くん。その冷たい視線がイイね!余計にコウフンすフガァ!」

その瞬間に太陽に蹴られ、三枝くんに無言で殴られていた。


女子部屋の方では久しぶりの再会を喜んだ美玲先輩と泉子先輩が一年女子を抱き人形にしており、その様子を眺めながらこめちゃんと一緒に明日の話をする。

「明日は川遊びだねぇ!」

「そうだねー。」

「今年はちゃんと水着買った~?雪ちゃん。」

「うっ。か、買った!買いました!」

「おおおお!どうしたんだい!?去年の生徒会合宿では何度言っても競泳用水着を着るといって譲らなかった雪くんがかい?」

「し、師匠なんで競泳用水着だったんですか?スタイルいいのに…。」

答えようとしたらなぜか葉月がち、ち、ちと人さし指を振った。

「甘いですわ、祥子。べた甘ですわ!世の中スク水というのはもっとも難易度の高いものですわ!でもスク水は小中学生にしか許されませんわ…そこで!」

「!」

「それを進化させたものが競泳用水着なのですわ!」

「はっ!?ということは…!」

「そう!お姉様は最高難易度に挑戦しようとなさったのですわ!」

「さ、さすが師匠!」

うん、違うから。スク水がハイレベルなのは小中学生しか着られないからであって、競泳用水着はレベル0でも着られるから。進化も何もないから。

勝手に納得して盛り上がる二人は実はちょっと頭のねじが緩いんじゃないか、そしてその様子を見て「ああ美少女はいい!夢みたいな光景だな泉子!」「ええ美玲!おバカな子ほどかわいいものなのです!」と目をとろけさせる先輩方は桜井先輩と同類なんじゃないかと思いながらも、突っ込むと面倒そうだったので放っておくことにして、唯一まともな友達(こめちゃん)に返事をする。

「買わずに済まそうと思ったんだけど、未羽に騙されて水着特設会場の試着室に閉じ込められて…。」

「未羽ちゃん、さすがぁ!雪ちゃんの行動パターン読んでるねぇ。でも買わなければよかったんじゃないの~?」

「……水着買うまで下着を返してくれなかったの…!」

「わぁお。」

思い出すに涙が出る。

あれは拷問だったと言っていい。下着をはぎ取るとか、性別違ったら本気で犯罪だと思った。

いや違うか。性別が違わなくても犯罪だった。

「川遊びなんて別に短パンにシャツでできるのになぁ…。」

「そういうことを言ってはならんぞ、雪くん!」

「今年も楽しみにしているのです!写真をいっぱい撮ってそれを枕の下にいれて楽しむのです!」

「枕の下に入れないでください!」

生徒会にいるととても忙しい、主にツッコミのお仕事で!




そして次の日。よく晴れたいいお天気だ。

今日はコテージから少し歩いたところにある清流で遊ぶことになっている。

今年はちゃんと水着を着るように昨夜散々先輩方に念を押されたのでちゃんと着てその上からシャツと短パンを着て準備を済ます。

「お昼はね、先生たちがBBQの用意してくれるんだってー!」

「川魚じゃないんですね、どうしてですか?」

「祥子くんはまだ分かっていないかもしれないが、四季先生はまるで運の女神に見放されたかのように運のない人でね。そうでなくても寄生虫が多い川魚を食べるなんて食あたりになろうと言っているようなもんなんだよ。」

「美玲の胃液くらいじゃないと勝てないのです!」

「待て。どういう意味だ、泉子!?」

女性みんなで着替えると揃って先に向かった男性の後に続いて河原に向かう。

川遊びは当然、イベントだ。このイベントは四季先生が河原でずっこけるとか、足を滑らせて流されそうになるとかその程度のものしかなく、危険はないことが前提にされているらしい。まぁ、水着でいちゃいちゃして遊ぶ会なわけだし。

ちなみに、ここは衛星回線がない限りネットはおろか、ところにより携帯電話の通話すらできない場所にあるので、仕方なく未羽が盗聴機を録音用(フルで3日録音できるように改良された容量特化型タイプ)の物にして渡してきた。



「お、来た来たー!」

斉くんが手を振って水着にシャツを着た女性一同を迎えてくれる。

男性のみなさんはもうみんな水着なんですね。この中で相対的に見て(どのお方も眩しいほどいい体つきをしていらっしゃるから)筋肉質とはっきり言えるのは東堂先輩と鮫島くん、そして三枝くんだ。あとのみんなは一部を除き適度に引き締まっている感じ。三馬鹿たち含めた例外の代表格である花園くんはもやしというかミョウバン。そのミョウバン男子は背の低さも相まって中学1年生くらいに見える。

「俊くん、去年より筋肉ついたね?!」

攻略対象者の方々のような引き締まり方はないにしても、もやしとは呼べない程度になっているのは驚きだ。

「去年一年、こめちゃんのお守で走らされたからね…。体力つけようと思ってちょっと特訓したんだ…。」

もう彼には一番の努力賞を上げてもいいんじゃないかと思う。

俊くんと話していたら冬馬が近づいてきてからかってくる。

「雪、今年は競泳用水着じゃないの?」

「ちーがーいーまーす!冬馬まで!」

未羽がいなければTシャツ短パンだったのは否定しないけどね。

「競泳用水着?」

去年の出来事を知らない一年生と天夢のメンバーが首を傾げたので、ばらされる場に居合わせないよう、ダッシュで美玲先輩方のところに戻る。

その女性一同は岩陰で上に着ていたシャツを脱いでいるのだが、この生徒会に所属する女性の皆様は揃いも揃って美女軍団だ。そして友達と下級生はスタイルもかなりのもの(正直でごめんなさい先輩方)。「今年は可愛さよりも色気を狙ったんだよ~!」の声で顔を上げると一般男性がその場にいたらお金を出したくなっちゃうくらい輝かしい光景が広がっていた。

こめちゃんは紫生地に花柄のセクシーなホルターネック水着。下がTバック風でえろっぽさが高い。誰のご要望かは言わずもがな。そしてどこまで育てる気なのか、お胸は去年より育ったそうな。

美玲先輩はペイズリー柄のこれまたセクシー系。間違いなくパッドで上げて寄せてしまくって通常サイズの何倍に膨れ上がっているんだろうという状態。先輩は凛々しい美人だからあげて寄せる(偽装胸)よりそのままの方が美しいんだけどなぁと呟いたところ、「そこはつつましい胸の女性の夢なんでしょう。突っ込んではいけません。」と会長に去年言われた。前世から考えれば分からなくはないのだけど、男性(会長)に言われるとより虚しさが上がってしまう。

泉子先輩はフリルの付いたロンパースになっており、幼さが去年よりも低くなって、幼稚園児から小学生にランクアップした。ただし当然のように浮き輪は持っている。

葉月は黒地にボーダーのビキニ。こめちゃんよりも低い身長のこの子は、胸は結構ある(多分私より上)のでこの恰好をすると色気が増す。特に普段が制服以外のときは体を隠すワンピースが多いのでなおさらだ。

祥子ちゃんは主人公らしく、髪と同じピンク色に花柄のビキニ。愛らしさ満点で、彼女の胸の大きさ(こめちゃんレベルなので大きい)をいやらしくない程度に引きたてている。

このメンバーで一緒に水着など、一般感覚を持つ女子なら絶対にやりたくない。

だからこその短パンTシャツ希望だったのだ。

しかし恐ろしく悪知恵の働く親友に「この私がセレクトしてあげたのに本番で着ないとか言ったらさっき撮ったあんたの試着写真一覧を上林くんに売りつけるから。さぁ、いくらで売れるか見物ね?結構いい値がつきそうよ?」と外道もいいとこなことを言われたので水着を着ざるを得なかった。

くっ。こんなに身を隠す物がないものを自発的に着るとはね…!

「ゆ、雪くん!」

「なななな、なんでしょうっ!?」

美玲先輩、なんか息荒くないですか?身の危険を感じるんですが。

「素晴らしい!雪くんは今年こそちゃんと自分の魅力を分かってくれたんだね!!」

「雪ちゃん~似合ってるよう!」

「…み、未羽が選んでくれたやつ。わ、私には選べないから。」

無地であることと、下がTバックは絶対に嫌だということを全面に押し出して、人質(私の下着)を取った未羽と2時間の押し問答の末に決定されたのが今回の私の水着だ。無地の黒のホルターネックのタンクトップビキニに、下はレースのついたふんわりとした短いスカートっぽい形になっている。

「お姉様、素敵ですわー!」

「師匠!さぁ行きましょう!!」

「わっ!?ちょっと二人とも!まだ心の準備が…!」



両腕を一年女子に挟まれたまま男性の元に向かわされると、

「白猫ちゃん、いい位置にいるね!!ボクに代わってくれないだろうか?」

さっそく桜井先輩が視線を投げてきた。

「彼女たちが危険なのでやめておきます。」

「それは残念だね!それはそうと、白猫ちゃん、胸成長したんじゃないかい?ちょっとお兄さんにサイズチェックをガフゥッ!!!!」

私の方に手を伸ばした桜井先輩は助走をつけた太陽の跳び膝蹴りを食らって吹っ飛んだ。

文字通り、吹っ飛んだ。

衝撃で砂利の上をごろごろと転がっている彼に太陽が追撃を仕掛けに行っているが大丈夫だろうか。斉くんが面白がってその様子を観察しに行き、泉子先輩が写真に収めているから息の根が止まる前に止めてくれるだろう。

「うっはー!ぱーらだーいす!鮫島先輩っ、すごいですねっ!俺、生徒会に入って…いえ、生きてきてよかった…!産んでくれたおふくろありがとう!」

「…月夜、そんなことで感謝したら親御さんが泣くぞ。」

「明美さんがいてくれればなぁ。俺みなさん見ても大丈夫になったよ、雹!褒めて!」

「あー頑張った頑張った。とりあえず俺の鳥肌が全身から収まるまで待ってくれ。今全身がぶつぶつなんだ。」

「どうだ、夏樹!私の水着は!特注品だぞ!」

「そうだろうな。美玲お前、アリがゾウになったレベルの体積アップをさせたら偽装どころじゃないだろう?」

「春先輩―!どうですかぁ?先輩が色っぽいのがいいって言ったんで、一番いいと思ったものにしました~!自信あるんですよぅ!今回!」

「まいこさんのその姿をみんなの目に焼き付けることになるとは。みんなの目を焦がしたいですね。」

「これこそ『目玉焼き』ッス…!俺ッチは半熟が好きなんでせめてそのレベルにしてほしいッス…!」

「推奨してどうするんすか猿…雉だけにしてほしいんす…。」

「いやいやいやいやっ僕もそこまでは遠慮したいです…!」

「兄さんが言うと冗談にならないからやめて。三人も怯えているし。」

「葉月も湾内も似合ってるよ。綺麗だね。」

「…葉月、あんまり出歩くな。特に桜井先輩(色情魔)には近づかないように。」

「大丈夫ですわ五月!桜井先輩はあっちで昇天されて泉子先輩に石を積まれていますもの!それから弥生はさらっと女の子口説くのやめた方がいいと思いますわよ?」

「…さすが攻略対象者…破壊力あるわ…あのスチルが生で…。」

祥子ちゃんも未羽ほどじゃないとしてもやはり彼らの煌びやかな姿に萌えているらしい。

まぁ、第2弾も第3弾も前世で全クリしちゃうくらい好きなんだったら無理もない。

さて私はどうしているかというと。

「と、冬馬どうでしょうか…?」

冬馬が何も言わずにまじまじと私を見るもんだから恥ずかしくてたまらない。

隠すシャツがないというのはこんなにも心細いものなのか。しゃがみ込んで隠したくなる。

私が辺りのみんなの思い思いのばたばたにひたすら注意を傾けていたのは当然これがいたたまれないからだ!

「…雪、やっぱり競泳用の方がよかったかも。」

「えぇぇ!?ダメだった!?」

「あーもう!似合いすぎるんだよ!目のやり場に困る!」

顔を赤くして冬馬がそっぽを向く。

「俺が隠したくても、そのっ!その格好だと、直接すぎるからちょっと無理、ごめん!」

「~~~っ!!」

どういう意味か分かるから余計こっちも真っ赤になる。こめちゃんたちほどスタイルがいいわけではないのだけど!

「上林先輩?昼日中からねーちゃんを邪な目で見ないでもらえます?ほら、ねーちゃんこっち!」

「た、太陽!」

「あ、ずるいですわ!相田くん!お姉様は葉月のですわ!」

「なんっでお前のなんだよ!わぶっ!」

「二人とも!うわっ!」

太陽を止めに来た神無月くんが卯飼くんに水をかけられてびしょびしょになっている。

「へへっ。隙ありなんだよ!」

「やったな!」

この辺りを中心に水かけ合戦が始まり、これに私たち二年生と泉子先輩、美玲先輩、桜井先輩と三馬鹿が加わってわいわい遊び始める。少しだけ高くなっているところから雹くんが飛び降りたせいで最初は遠慮気味に輪から外れていた花園くんもびしょ濡れになり、結局ほとんど全員が川遊びに興じた。

東堂先輩はここでも四季先生のお守りについているらしく、バーベキューの準備を始めた四季先生に「それだと一酸化炭素中毒になりますから。」とやり方を変えさせたりしていた。会長は愛ちゃん先生と一緒にお昼の材料の準備をしていた。水遊びをする気はないようで、時たまチャッカマンを持っているのを見て三馬鹿が震えていた。


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