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ゲーム補正を求めて奮闘しよう!  作者: わんわんこ
【高校2年生編・1学期~夏休み】
163/258

常識は一昔どころか二昔前。(茶道部合宿編その2)

「全く。大樹は!」

「2年の男子の先輩たちはちゃんとその辺の配慮があっていいですよねー。」

女子部屋に戻った後も、友美ちゃんと真理子ちゃんはぷりぷりと怒っている。

去年は遊くんがデリカシーないということで明美に殴られまくっていたが彼は大したことなかったということか。ごめんね遊くん。

「そ・れ・で?」

そんな感じで女子全員で布団を敷いて寝る準備を整えたところ(葉月が「お姉様と葉月は同じ布団でもよろしいのですのに」というのを説得するのに10分かかった。)で未羽が明美を突っついた。

「なによ?」

「第三回茶道部女子ガールズトーク大会開催宣言は?それとも自分が突っ込まれること分かってると出来ない?」

にやと未羽が笑い、京子もにこにこしている。

「そ、そんなことないわよ!…こ、ここに茶道部一年二年主催のガールズトーク大会の開催を宣言します!」

「「「「わーパチパチパチパチー!」」」」

「え、ガールズトークですかっ!」

「やったぁ!参加します!」

友美ちゃん、真理子ちゃんがノリノリだ。葉月も満更ではなさそうで私の隣に引っ付いたまま目を輝かせている。

「例のごとく明美からですわね!雨くんとはどうですの?」

「え、う。」

明美が珍しく言葉を詰まらせる。

「どこまで?どこまで??」

「それはその、それなりに…。」

「それなりに、と言いますと?」

「き、キスとか…。」

「おぉー!やっぱ雨くん早いね〜!付き合ったのが5月頭だから〜2ヶ月だよねぇ?」

「そのキスって、普通のだよね?」

「…ああああああああううううう。」

「おやおやおや~?どうしたのかなぁ明美ちゃん?」

「ふ、普通のってその、普通の、よね?」

「質問の意味が全く伝わらないですわよ?明美。」

「う、そのえろっぽいやつじゃないやつよね!ってことよ!」

「何が普通かは人によるけど多分そっちじゃない方が普通ってやつだよ~?」

「うう、そ、その。…ふ、普通ってやつ、すっ飛ばした、あの男。」

「はぁぁぁぁ!?どういうことよ!?」



明美の話によるとこうだ。

二人が付き合ってから2回目のデートに出かけているときだったという。

雨くんからお菓子の何か甘い匂いがしたそうだ。

「雨、なんか食べてる?」

「ええ。キャンディーを舐めてます。」

「雨は甘いの平気なんだ。好きなの?」

「それなりには。でもこれは単なるうっぷん晴らしですよ。」

「うっぷん晴らし?だったら普通は噛むもんじゃないの?バリバリってさ。」

「あぁ。まぁ噛んでもいいんですけど、俺は舐めた方が好きですね。」

「ふぅん?不思議なうっぷん晴らしね。」

「だってこれは舐められない代わりですから。その甘さなんかきっとキャンディーなんかじゃ遠く及ばないんですけど…。」

「何の代わりよ?」

「分かってるくせに言わせたいんですか?そんなに期待されたら言うしかないですよね。明美さんのはだ」

「ばかっ!!!!!み、み、道中でなんということを!!!!警察呼ばれるわよっ!?」

「大丈夫です、バカップルの会話としか思われませんよ。道中で言われるのが嫌なら今から家に来ますか?」

「今の話聞いた後に行くと言うと思うかっ!!襲ってくれって言ってるようなもんじゃないの!」

「その辺、鈍そうな雪さんとは違ってやりにくいですねぇ明美さんは。」

「雪でもさすがに…いや、食われてたわね。」

「まぁ俺は雪さんにはそういう意味で全く興味はありませんのでご安心を。明美さん以外には既にそういう欲すら感じません。」

「…ちょっと。私には、か、感じるわけ?」

「当たり前じゃないですか。彼女を襲いたくない男なんているわけないでしょう?24時間365日常にそう思ってますよ。」

「ぎゃあ!あんた全然前と変わってないじゃないのよ!!」

「明美さんだけってとこがここではポイントなのに…。やっぱり許してくれてないんですか?」

「そ、そんなことはないってば。ああ、もう、この話は終わり!そ、そうだ。キャンディーの話だった。あー…と、何味なの?」

「匂いからだと何味だと思いますか?」

「んー?この感じだと…いち…ふうううむっ!!!………………な、何すんのよっ!!」

「何ってキスですよ。匂いよりも分かりやすいでしょう?直接舌で感じられるんですから。」

「ああああああっ!!あんたはちょっと言葉選びなさいっ!」

「選んでますってば。それで、何味だったか分かりましたか?」

「あ、味なんて分かるわけないじゃないっ!!キスされたら!初キスだったのよ!?し、舌までいれやがって…!手加減ってもんをしなさいよ!手加減ってもんを!」

「初…。」

「なにすごい嬉しそうな顔してんのよ。顔溶けてるわよ。」

「…味、分からなかったんですよね?」

「…は?それはその」

「それじゃあこうしましょう。分かるまでして、最後に答え合わせにもう一回。最終的に明美さんが分かる前にキャンディーが溶けたら明美さんの負けで俺のお願い1個聞いてもらうっていう。」

「ちょっ!!!!!…雨、あんた、それいつから舐めてるわけ?」

「あぁ、もう溶けそうですね。早くした方がいいですよ?」

「!!!!」

……こうして明美たちの付き合いは最初から濃厚かつ数えられたのは2回までという強烈な初キスから始まったそうだ。



「結局何味だったの?」

「…青りんご。」

「初恋の味だねぇ!それ明美ちゃん自身で分かったの?」

「…。」

勝負に負けたのか。

「それで何お願いされたの?」

「………言えないいいいいい。」

明美が手で顔を覆って布団の上をごろごろし始めた。

さすがにこれ以上追及しては可哀想かと思って放置してあげようと思ったのに、こめちゃん京子未羽は諦めずに食らいついている。

「ほら、教えなさいよぅ。」

「楽しみは共有しませんと~!」

「そうだよう、死なばもろともだよう。」

「こめちゃん使い方違うよ!?」

私が弁護に回ったけれど明美は三人に脇腹をくすぐられてとうとう白旗を上げた。

「……いつかその、け、結婚してほしいと。」

アメ1個の罰ゲーム重っ!?

「ありゃー雨くんだったらカラダ(そっち)を求めるかと思ったのに、意外だわ。」

「未羽の思うことは私も思ったわ。でも、そ、それは…『そんなことはお願いしなくともいずれ明美さんが求めて来るくらいどろどろにしますから俺が。』とか意味の分かんないこと言われたああああ!」

未羽がうひひひひと不気味に笑い、雨くんらしいねぇ!とこめちゃんがにこにこする。

「あ、明美。それでそのお願いになんて答えたの?」

「…そんなもん罰ゲームにすんな、そうして欲しかったら将来ちゃんと言えって。」

「先輩かっこいいー!!」

「そのあと『惚れ直しました!』とか言って家に連れ込まれそうになってどれだけ抵抗したか。」

「「「「…………。」」」」

2年女子全員の頭に浮かんだ。

うきうきして発情した雨くんに明美が強烈な右ストレートをかます姿が。

そんな過去を知らない1年女子、真理子ちゃんが尋ねている。

「あ、天夢高校の方というのは4月に先輩たちのところに3日だけ編入してた人たちですか?」

「そう。そのうちの一人と明美が付き合ってんの。」

「明美先輩すごい――――!めっちゃイケメンでしたよね?!」

ちなみに、名前に先輩付けするのが友美ちゃん、苗字に先輩付けするのが真理子ちゃんだ。

「それは間違いないね。」

「明美、嫌じゃないの?その…接触過多だったんじゃないの?その…キスは。」

「…雪、意味はわかるけど、婉曲的すぎて伝わりにくいよ。…うーん。昔は嫌って思ってたんだけどね…。一度好きって思うとそう嫌なものでもないし。むしろ…その。」

「してほしいんですのね?」

「京子ぉっ!!!」

明美が真っ赤になった。

「その感覚分かりますー!私も彼氏いますから!」

同意した真理子ちゃんにも友美ちゃんにも彼氏がいるんだそうだ。



「こめちゃんはっ?!こめちゃんはどーなの?私より断然長いでしょっ?」

「私ぃ〜えええええと。」

「…こめちゃんこないだ、何してたの?生徒会室で。」

私の質問にこめちゃんが固まった。

「え?こめちゃん、何かしてたんですの?」

「予定より1時間早くに来て生徒会室で二人でこそこそとね。…ソファの上に横になってたよね。」

「ゆゆゆゆゆ雪ちゃんっ!」

あの時衝撃を受け過ぎた俊くんは新たなステージ(兄のお説教役)にステップアップしたっぽいもんな。

「ええええええ。それはっ!どういうことなの?!こめちゃん!?」

「〜〜〜〜ええっと、そのぉ。」

言い澱むこめちゃんに私は更に追撃する。

「慣れるって何の話?」

「雪ちゃん〜〜〜っ!!」

ふっ。こめちゃん、会長様だけじゃなくてあれをしたことについてはあなたにも怒っているのだよ私は。カップル連帯責任です。

「そのぉ。夏に旅行するから、その慣れって…。」

「「おおおおぉ?!それは?」」

「私の口からはもう言えません!」

言えないようなことを生徒会室でするな、こら。

京子が少し嗜める口調で代弁してくれた。

「こめちゃん、そういうことは学校ではやめときませんと?」

「ううううぅ。分かってるんだけどねっ。うちはお母さんとかいるし、春先輩の家には俊くんがいるでしょう?だから嫌だって私が言ったら、春先輩が『誰もいなければいいんですか?』って。」

かいちょおおおおお!

「前ね、春先輩のお家で…その……慣らしてた、ときに、俊くんがちょうど戻ってきたときあって…その。は、鉢合わせちゃって。俊くん、しばらく放心しちゃって。ほら、春先輩は俊くんと二人暮らししてるから。」

「俊先輩…。」

「海月先輩…。」

俊くん。哀れすぎて拝みたい。俊くんはその後きっと会長にねちねち嫌味を言われたんだろうなぁ邪魔をするなとかなんとか。

「それからね、俊くん、学校でギリギリまで勉強してくれてたり、『今日は帰りたい用事あるんだけど、大丈夫かな?』って私に訊いてくれたりするの。あそこは俊くんのお家なのに申し訳なくて。だから嫌だって春先輩に言ったの。それで…。」

「うううううーん。家族の存在ねー。雨も同じようなこと言ってたなー。『雹が邪魔』とかなんとか。」

「え!?明美、行きたいって言ったの?」

「ままままさかっ!!そもそも行かないわよって言ってるわよ!!そ、それよりも!なんだかんだ、やっぱりこめちゃんが一番早く進んでるよね。そ、そ、そそーゆーこと!」

「でも、増井先輩って、もう付き合って9カ月くらいなんですよね、確か?それ、そんなに早くないですよね?むしろ遅め?」

「え?」

「私なんて付き合って半年でしたよー?」

「真理子ちゃんって…他の学校の子と付き合ってて、中学の時からだよ、ね?」

「はい。」

真理子ちゃんはけろりと頷くが、それはつまり中3のときに、ということだろう。

「そ、それは…いろいろまずいんでは?」

「うーん。でも結構周りでは普通ですよ?うちは君恋入ってから付き合って4ヶ月ですけど、こないだ、でしたもん。」

「友美ちゃんまで!け、健全な…健全な高校生の付き合いって…?」

私の様子に友美ちゃん真理子ちゃんの一年女子がきょとんとしている。

「雪、あんたの頭の中は昭和か?」

「ちちちちち違うっ!!でもこ、高校生だよっ?!ちゅ、中学生なんてもっと!!」

葉月が「お姉様は純粋ですわ…!」と抱きついてくる。

いや、むしろ葉月も動揺しないの?!

「まぁ。雪なら、そういう反応になるだろうね…。」

「雪のとこは鈍足青春日記だからねぇ。」

「これが普通だと!」

「雪ちゃんの感覚は多分ひと昔どころかふた昔前だよ?」

「そんなことないよっ!」

前世だって高校で付き合ってた子なんかほとんどいなくてそういうこと、を話題にする人は数える方が早かった。

私の頭の中を読んだのか、未羽がぼそっと耳元で言ってくる。

「それはあんた、多分前世でもそれなりにエリートなお嬢様学校だったんでしょ?」

「んー。まぁ。」

「そういうとこの子は、高校は勉強。って考えてる子多いからね。総じてそういうのは遅くなるさ。」

「ていうか、私、前世高校時代、恋愛に興味すらなかったよ…違う世界の話だと…。」

「何をこそこそと話してるんですの?」

「いやいや!えっと、その!そ、そーゆーの怖くないの?嫌じゃないのかなーって!」

「…なかなかエグい質問したわね、あんた。」

「だって、咄嗟だったんだもん!他にいい話考え付かなくて!」

私の咄嗟の何気ない質問に後輩たち、そしてこめちゃんがうーん。という顔をする。

「好きな人ですからねー。」

「さっきの大樹のはどうかと思いますけど、私たちにも、好きな人に直接触りたいっていう気持ちはありますから。」

「私はその、まだ全然わかんないけど、それでも無理強いじゃないよー?」

「無理に、だとは思ってないけど…。」

あの会長がこめちゃんの嫌がることをするはずがない。

「むしろ…満たされる感覚もあるっていうか~。」

「肌を触れ合わせるってちょっと違いますよね。ザ大人の恋愛みたいな。」

「もちろん、好きな人以外には嫌ですけど、逆に好きな人にはあげたいっていうか。」

なんと…!

私が半分ぐらい魂を遊ばせている間に三人は次々と答えてくれた。

高校生っ!!高校生ですよ!?15ないし16。または17ですよ?!

私、中身はこの中で一番年上のはずなのに!!



「そう言うってことは、雪先輩たちって…?」

友美ちゃんが恐る恐る聞いてくる。

「お姉様は2月1日に付き合い始められたのですよね?」

「なんで葉月が知ってるの?」

「葉月がお姉様のそんな当たり前の情報を知らないとでも?」

なぜそれが悪くないことのように堂々と言ってくるんだろうこの子は。末恐ろしい子…!

「そ、そうだよ。それからえっと。名前で呼ぶようになった!」

後輩女子が目を点にする。

「…それだけ、ですか?」

「いや、もちろんそれだけじゃないよ!その、手も繋ぐようになったし、抱きしめてくれるようになったし、その、あの、き、キスも…。」

「雪先輩、それは。」

「普通の!!そんなこめちゃんや明美たちみたいなのじゃない!」

「…まさかお姉様、回数が数えられるほど、とか…じゃないですわよね…?」

「2回、かな…。」

「「「「「「「2回?!」」」」」」」

これには未羽たち二年も一斉に反応する。なぜだ。

「……それは。ええっと。」

「大分、冬馬くん、頑張ってるねぇ。」

「付き合って半年で、普通のキスだけで、それも2回だけ…って。え、上林先輩ってそういうの興味ない方ですか?」

「ど、うだろう…。ないのかも…。」

「んなわけないでしょ!あんた修学旅行の時の醜態を忘れたの?」

「!!!」

「醜態?何の話ですの?」

京子たちは知らなかったのに!自分の馬鹿!

身もだえ始めた私の代わりに未羽が話し始める。

「えー去年の一年合宿でさ、雪がびしょ濡れになった時あったじゃん?」

「鹿遊びの後だよねぇ?」

「そ。それで風呂入れさせたんだけど、風呂でクラスの女の子に1時間以上捕まったらしくて」

「え?!お姉様、虐めを?!」

「いや、どっちかっていうと和解だよ。」

「それでさ、完全にのぼせて、間違えて上林くんたちの男子部屋に行って布団で寝てたのよ、雪。湯上りで上気した顔で寝乱れた浴衣姿を無防備に色っぽく晒してたわけ。」

「それは…。」

「それを見つけて私に連絡してくれた時の上林くんの動揺っぷりは今のところあれが最初で最後だったかなぁ。目が半分死んでたもんなぁ。理性をギリギリまで使った感じで。」

「未羽お願い…もうやめて…!」

「雪…上林くんに同情する。」

「雪ちゃん…それはもう…。」

「雪先輩っ!上林先輩は全然興味ないんじゃないです!」

「逆に今のお話聞いて葉月は上林先輩を尊敬しましたわ。」

「相田先輩って、清純派に見せかけて実は小悪魔ですか?」

「わ、分かったから!男子心理は分かった!私が一般感覚とずれていることも十分認識しましたっ!」

「よろしい。」

「でも雪、人それぞれですわよ。上林くんには彼なりの考えがあって動いてますでしょうし。」

「そうだね、早けりゃいいってもんじゃないしね。」

「今回のはいい機会だったでしょ?」

「そうですね!反省しました!」

結局、ガールズトークで虐められるのはいつも私な気がする。

「でも雪先輩、自信あるんですね~。」

「?友美ちゃん、どういう意味?」

「上林先輩のことですよ。普通このくらいの年の男の子って、あの大樹のバカじゃないですけど、そーゆーのしたくて仕方ないじゃないですか。だから彼女作るってやつもいるくらい!なのに彼女がそれを許してくれないってなったら、その欲望って解消できませんよね?そのせいで浮気するとか別れるとかって結構聞きますよ?」

え…?

「確かに!大体1、2か月くらいで我慢の限界、って聞きますー。相田先輩たちって付き合ってもう半年なんですよね?それでもそういうの一切なしでも浮気されないって自信あるって、よっぽど愛されてるんだなぁって羨ましいですー!」

「え、いや」

「そりゃーそーよ!上林くん、雪にべた惚れだもん。片想い期間入れたら1年半我慢してるんだから!」

「きゃあああ!!さすがお姉様の恋人ですわっ!」

「だよねぇ!」

「あら、そろそろ12時ですわよ。」

「そうねーじゃあ、盛り上がったとこでそろそろお開きにして寝ますか!」




明美がガールズトーク大会を終わらせ、みんなにやにやしながらこっちを見て来る中、私は苦笑しつつもずっと考えていた。

そして布団に入ってからも少し思いにふける。


正直に言うと、冬馬と『そういうこと』というのを考えたことが今まで一度もなかった。

ただ、彼が気持ちを返してくれること、想いが通じあうそれだけの幸せでいっぱいだった。

別に私はプラトニックな恋愛がしたいと思っているわけじゃない。抱きしめられたいし、触れたいと思う。

でもそれとこれとは違う。

何も知らない本当に純粋な子ならともかく、一応知識も、そして前世であれば経験もあるのに、今日聞いた話は私には生々しく感じられた。それは現世の自分の身で考えたことが一度もなかったからで、いざ考えると冬馬が相手というのは想像すらできないし、一般で考えればもやもやしてなんとなく気分が悪くなる。

そんな私は、このことに関して明美以上に潔癖なのかもしれない。もしかしたら今まで無意識にそういうことを考えることすら避けていたのかもしれない。

でも、それが冬馬には負担?

冬馬だって男の子だ。そんなの私が一番よく知ってる。

冬馬は、それに対して欲求不満になってそのうち私を見捨ててしまう?

体も許してくれなくて、おまけに弟もうるさい可愛げのない変わった女なんかどっかに捨てて、言い寄ってくれる可愛い女の子に気持ちが変わることはあるのかもしれない。例えばゲームの主人公とか。



不安だけがうずたかく積もって、何も解決の光が見えなかった。


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