あるモブ転校生の見た日常
2月23日掲載…だっけな…。お話の時期としては9月中旬ころ
あたしの学校には、王子と呼ばれる存在がいるらしい。
「あ、あれ冬王子だ~!やばい、かっこいい~~!!」
同じクラスの女の子が夢中になって指さしているのは、ちょうど廊下を通りかかったその一人だ。
名前はえっと…
「「「上林く―――ん!!こっち向いてぇ!!」」」
そう、上林くんだ。上林冬馬くん。
呼ばれた彼はちょっと声の方を見て、にこりと微笑んでそのまま歩いていったが、同じクラスの女の子たちはその姿だけでテンションがだだ上がりなのか、きゃあきゃあ騒いでる。
「え、もう本当にかっこいいー。なんであんな人いるんだろう?」
「上林くんって、勉強も運動もなんでもできるんだっけ。」
「え、ちぃか、うちの学校の王子たち知らない!?信じられない。」
「しょーがないよ、ちぃかは転校してきてここ入って1週間だもん。」
「えーそれすごい損してるって。よし、うちらがうちの5大イケメンを紹介してあげる!!」
「ご、5大いけめん??」
「えーっとね、まずさっきの彼からいくか。1―A組の上林冬馬くん。成績は各科目、総合成績ともに常に上位3位以内で運動もなんでもできる完璧な美少年。こないだしょーへーが怪我したときも病院まですぐに送ってったらしいし、なんにも知らない女子がコクっても彼が忙しすぎるってことがなければちゃんと時間取って聞いてくれるし、見知らぬうちらみたいなのがきゃーきゃーやってもああやって返してくれんだよね!あ、あの人弓道部なんだけどね、袴姿絶対観た方がいい!!超萌え!!」
「完璧って言ったら、春王こと、海月晴彦先輩は外せないでしょ!!2年間うちの高校で学年トップを独占して、生徒会会長も務める超エリート。クールに見えて実は生徒会を立ち上げるために先生と熱いバトルしたとか、株取引でうん百万儲けたとか、そういう逸話が絶えない人なんだよね。眼鏡をクイってやる仕草とか、流し目とかが色っぽすぎて高校2年生には思えない!!あと最近は弟くんの海月俊くんも人気になってるんだー。」
「その海月先輩の親友が、夏王こと、東堂夏樹先輩!東堂先輩、まじかっこよすぎ!筋肉がついた引き締まった体しててさーサッカーやってる時の姿は、もう、観客が大量すぎて観られないくらいの人気でさ?で、先輩だし、大人な香りがするわけ!廊下で倒れそうになった女の子をすっと支えて助けたりとか、階段から転げ落ちた男子も受け止めたとか、で、気を付けろよ?ってニッて笑うスマイルがやばいんだわ、これが!」
「なんか聞いてると完璧な人ばっかりなんだね…。」
「いやいやっ。完璧じゃないけど、四季ちゃんは超かわいい!!」
「四季ちゃんって…確か、Aクラス担任の古典の四季先生?」
「そーそー!!先生、超のつくドジで。プリントを運べば散らばしちゃうし、歩いているとこけるし、マイクを持つとハウリングさせるし。もーできない人って感じ?」
「えー…それ大人としてどうなの?」
「そ・れ・がさぁ?授業はすごく上手くて、超分かりやすいし、あと困ったこととか悩んでることとか相談に行くと親身になって聞いてくれるし、私にできることがあれば。って笑った顔にきゅんとしちゃうんだよねー!!ドジったときの慌てたとことか、照れ隠しでてへって笑うとことか、もう、ほんっとに可愛いー!!うちらみたいな違うクラスの生徒の名前もちゃんと覚えてくれてんだよ?」
「え、600人もいるのに!?」
「そ。10クラス全員分、ちゃんと名前と顔一致させてるとか、神だよねー。」
「残ったのが、出来る男の子なんだけど、かっこかわいい系でもある、秋王子こと新田秋斗くん。彼も1-Aクラス!もーこれぞ王子って感じの甘いマスクでさ、にこって笑った顔とか、何、こっちを殺そうとしてんの?ってくらい萌えるんだよねぇ!勉強とかも10番以内に急上昇してるし、運動もできるし、なによりおしゃれだからたまたま夏休みに私服見た子が鼻血吹いてたー。…あ、ほら、噂をすればあそこにいるよ?」
校庭の真ん中らへんに金髪の長身の男の子がいる。
確かにきゃあきゃあ騒がれるのも分かるイケメン。王子っぽいオーラが出てる。
「でもね。」
「?何か問題があるの?」
「秋王子は愛想いいけど、告白しようとしてもごめんってすぐ断られちゃうんだよね?」
「そうそう、時間も取ってくれたりしないー。ま、あの子がいるからねー。」
「彼女とか?」
「あ、今言った人たち、誰も彼女はいないよ?ファンクラブの厳密な調べによって明らかになってる!」
「ふぁ、ファンクラブ…?ていうか、彼女いないって。他校とかにいるんじゃないの?それだけイケメンでしょ?」
「あーいないいない。大丈夫、ファンクラブの情報は確かだから。あたしらも所属してるよ?」
「うちは冬王子のとこー!」
「あたしは夏王のとこと、春王のとこっ。」
「私は四季ちゃんと、秋王子ー!可愛い系好きだから。」
「そ、そうなんだ…。」
「ちぃかも入ればいいよ。そうだ!今日会合あるから、連れてったげる!」
「会合!?」
「そ、今日のどこがかっこよかったのかーとか、貴重なショットとか、あとはファンクラブ同士で会議したりとか?」
「すごいねー…。」
「一番徹底されてるのが。」
「「「「「彼らの生活を邪魔しないこと!」」」」」
「しつこく付きまとって迷惑かけたりとかしたら、後で制裁が待ってるわけ。」
ひひひひひっと笑うみんなは怖い。話戻さなきゃ。
「さっき言ってたあの子って?」
「あー…。校庭見なよ?」
再び校庭に目を戻す。
「秋王子の隣に女いるでしょ?」
本当だ。こげ茶色のストレートの長い髪の女の子がいる。しかも遠目だけど美人。
「あれ、A組の相田雪。うざすぎる相田雪を略して、うざゆき」
「うざゆき?」
「あの子さぁ、あの顔じゃん?スタイルいいじゃん?でさ、勉強はずーっと学年トップなんだよ。」
「え!?学年トップ!?あの上林くんとかじゃないの?」
「そ。運動も出来てさ、体育祭とかでも男子に勝てるくらい超足速いし?」
「そんな子いるんだねー…。」
「そーそー。それはさ、別にいいんだよね。勝手にやってくれって感じ。問題なのは、ねぇ?」
「?」
あたしが首を傾げると、みんなが一斉に顔をしかめて言ってくれる。
「さっき言った人たちを独占する悪女。」
「ど、独占!?」
「あの子生徒会でさ、さっきのイケメンたちって、生徒会の人たちだから常に関わりあるわけ。」
「特に幼馴染の秋王子なんか、もうメロメロって感じでさ、あの子に振り向いてほしくて常にあの子の傍にい続けるわけ。うっとりした目で見てたりするし、優しく抱きしめてる姿見たことあるってファンクラブで言われてたよ。」
「なのに秋王子と付き合ってるわけじゃないんだよねー。」
「それにさ、さっきの冬王子も、A組の子の話だと、あのうざゆき本命じゃないかって。」
「え、まじ!?」
「マジマジ。なんか、うざゆきの隣が冬王子の席なんだけど、それも上林ファンからすると許せないらしいけど、授業中にめっちゃやさしー顔で見てたりするらしい。うざゆきに話すとき特に嬉しそうでさ。うざゆきが何かしてるとしか思えない。」
「うっぜー!」
「最近は二人で勉強会してるとからしいよ?」
「なんなのそれ、ビ○チじゃん。うわ。死ねばいいのに!」
「あの子そんなに嫌な子なの?」
「あんまり笑わないしさ、いつも上から目線だし、なんかバカにされてるよーな気がするんだよね。こないだとか、トイレでメイクしてた時にばったり会っちゃってさ?その時に、『あの、一応校則で華美な装飾品は禁止されてるから、そのじゃらじゃらしたピアスはしない方がいいと思う。没収されるかも。』とかわざわざ言ってきてさー。校則?そんなもんどーでもいいじゃんって。」
「うっわーなにが『あの』だよ、ぶってんじゃねーよタコ!やっぱ護衛部隊に回るかな。」
「護衛部隊?」
「うざゆきからあのイケメンたちを守るって会。」
「なにするの、それ?」
「うざゆきの物隠したり、もう彼らにちょっかいかけんなって。まぁ、自分の立場分からせるための会?」
それって、ただの嫌がらせじゃないか。なんかそういうのは嫌だ。
でもせっかくできた友達だし…そんなこと言ってハブられたりしたらやだ…。
「…ファンクラブってそんなこともやってんの?」
「ファンクラブじゃない部隊だね、今日一緒に見に行く?うちやっぱ入ろー。あの様子とか見てんの本当にうざい。うざいうざいうざい!」
「それと比べるとさ、同じ美少女でもA組の夢城さんはまだましじゃね?みんなににこにこしてるしさ。」
「まだ、だけどねー。でもま、マシっちゃマシだよね。」
そんなことを話してたら、同じクラスの男の子たちが来た。
「なんだよ女子―。お前らそれ負け惜しみだろ?」
「はぁ?男子口出してくんなし。」
「相田雪ちゃん、超可愛いじゃん。男子の間では夢城愛佳ちゃんと並んで『双璧』って言われてるぜ?あの二人はずば抜けてかわいいもんなー。」
「あんな彼女ほしー。でも俺らじゃ手でないー。」
「代わりにあるのがファンクラブ!!結構所属してるやついるぜ? 」
「男子って結局顔だよね?さいてー。」
「そりゃ美人な方がいいっしょ。あの清潔感ある感じとかさ、もーやばくない?」
「顔だけじゃねーよ?お前らもちょっとは雪ちゃんの言葉遣いとか見習えよ。女子っぽい感じじゃん。愛佳ちゃんほど可愛い感じないけど、なんつーの?清楚?完全に綺麗系だよな。」
「どっか行け男子。くそうぜぇ!」
「えーファンクラブには女子も見かけるぜ?なぁ?」
「そいつらが頭おかしーだけだっての、とりまどっか行け!!」
放課後、みんなに5人のファンクラブとか「護衛部隊」とか案内してもらった。
その後、カラオケに誘われたけど、あのノリだとその悪口大会になりそうで、忘れ物があると言って抜けた。
ファンクラブはまだ単に彼らの魅力について語る会だったからまぁいいけど、護衛部隊って好きじゃない。結局やってることはいじめじゃん。
そんなに嫌な子なのかなー?
いやでも、そんなこと思ってたらせっかくできた友達、いなくなっちゃう。
考えるのやめやめ!!
適当に先週入ったばかりのバレー部の部室で用事を済ませてから帰ろうとして廊下を歩いていたら、がしょがしょ、というブラシをこする音と調子はずれの歌声が聞こえた。
え、なんだこれ。
声自体は結構綺麗なのに、なんていうか、音が外れているのと変なとこでこぶしが回ってて何の歌を歌っているのかさえ分かんない。いわゆるオンチ。
止めた方がいいんだろーなー。聞かれたら恥ずかしいだろうなー。
そう思って、部室棟の昇降口を覗いた。
そこにいたのはお昼に見た、あの女の子。
「うざゆき…」
近くで見ると本当に綺麗な子だなー。背も女子にしてはあるし、手足が長い。ストレートのこげ茶色の髪は遠目から見てもさらさらしていて、CMモデルやれるんじゃないのってくらい。
じぃっと固まって見てしまったから、彼女の方がこっちを見た。
目も大きくて、睫も長くて、鼻は高くてすっと通ってて、ピンクの唇は小さくて。
芸能人みたい。芸能人の中でも正統派に美人な方の。
「えー…と。何か用、ですか?」
昇降口の掃除をしていたらしく、手にはモップを持って、近くにはバケツがある。
部室棟は運動部が1階にあって、泥のついた靴でそのまま上がってくるから汚れやすい。それを清掃しているらしい。
じぃっとその大きな瞳で見られて、吸い込まれそう。
「緑色…あれだ、鶯色だ…。きれー…。」
「え!?」
あたしの声は漏れていたらしい。
彼女は驚いたようにその二重のぱっちりした目を丸くして、それからぽっと頬を染めた。
「あ、え、っと。その、ありがとう。」
「ああああわわわごめんなさい。ああああの、もしかして、歌ってたの、あなたでした?」
「ききききき聞かれてたっ!?ごめんなさい。お願いなので忘れてください。…お、オンチなのは知ってます…。だからその、あんまり外では歌わないんだけど、誰もいなかったから。」
慌てて言う彼女が可愛くて、ついぷっと笑ってしまった。
「お一人でやってるんですか?」
「あぁ、そうなの。生徒会の仕事で、構内衛生の維持。」
着崩していない、第一ボタンまできっちり留めている彼女は生徒会風紀委員っていうのにぴったりだ。
「あたし、その、手伝いましょうか?」
「え、でもこれ私の仕事だから。」
「お一人だと大変そうですから。」
結局うざゆきこと相田雪さんと一緒に掃除をしえ終えた時、下校時刻はとっくに過ぎていた。
「これ、よければどうぞ。」
差し出されたのは、いちごミルクのパック。
彼女自身はストレートティーのパックを持っている。
「甘いの苦手じゃなかったら。…ごめんなさい。こんなに遅くまで手伝わせてしまった。」
「いや、あたしが言いましたから!」
部室棟のベンチに二人で座って飲みながら話す流れになった。
「同級生、だよね?リボン赤だもん。なぜに丁寧語?」
「あ、えと。相田さんは有名で、なんか違う世界の人っぽくて。」
「違う世界の人…ねー。ふーん。名前も知ってたんだ。あなたの名前も教えて?」
「知依佳っていうの。ちぃかって言われることが多い。」
「そうなんだ、ちぃかちゃんね。私のことは、えーっと。うざゆき?だっけ。」
苦笑する彼女を見て、申し訳なくなる。
「あ、ごめんなさいっ!!!」
「いーよ。裏でそう呼ばれてるのは知ってるし、…あれだよね、秋斗とか上林くんとかと仲良いから?かな。」
「そ、そう。…相田さんはそれでいいの?」
「え?」
「相田さん、誤解されてる!あたし、先週転校してきて、みんなから色々話聞いたけど、もっとずっと悪く言われた…。あたし一緒にしゃべってそんなことないって思ったのに。」
「なんて言われたの?」
「完璧女で、悪女で、うざいって。」
「あははははは!」
なぜか相田さんは明快に笑った。
「ね、ちぃかちゃん。私のこと、さっきの歌聞いても完璧って思う?」
「え。えっと…」
「オペラ歌手が歌ってるようには聞こえなかったでしょ?むしろ、ジャイア○?」
「じゃ、ジャ○アンって!そこまでじゃないよ。」
「悪女でうざいって言われてもさ、それは仕方ないもん。ああいう煌びやかなイケメンたちが近くにいたらそう言われるよねー。……あーもーだから逃げまくってたのに、くっそう。」
「逃げまくってた?」
「あはは。こっちの話。んーなんていうかさ、みんな悪役作りたいじゃない?」
「え?」
「ああいう王子?ぽい人たちがいてさ、その人たちとずっと一緒に女がいたら、その女が嫌な悪女だって思いたいんじゃない?だから思いたい人には思わせていればいい。」
「でもっ。いじめみたいなことも…!」
「あー。秋斗が幼馴染って話も聞いた?小学生くらいの時からそーゆーのあるし、気にしてないよ、もう。だからあんなに近寄るなって小さい頃言っても秋斗、聞いてくれなかったもんなー。」
「苦労、してるんだね。」
「そーだね、それでも彼らと近くにいる生活を選んだんだから、甘んじて受けるしかないよ。」
「…あたし、すごいなー。」
「え?」
「こんなに外見も中身も綺麗な、学校の有名人と近くで、普通にしゃべってるとか。」
「え、私、オンチだし、その辺でこけたりもする、ふつーの人だよ。…ちぃかちゃんがそれを分かっててくれるなら、私はそれでいいや。」
にこっと隣で笑った彼女は凛としていてとても綺麗だった。
「…せめて笑えばいいのに。」
「え?」
「そういう風に笑えば誤解だって解けるよきっと…!」
「んー。自分を嫌ってるって分かってる人に向かい合うとさ、笑おうとしてもなんか顔がこわばっちゃうの。努力してるんだけどね…逆にバカにすんなって言われちゃった。」
今度は寂しそうに笑っている。
そこに。
「あーこんなとこにいた!!!ゆき、探したんだよ!?」
秋王子だ!!近くで見たら、どんだけイケメンか分かる。顔ちっちゃい!
「あーごめんごめん。掃除に手間取っちゃったの。私一人だったらもっとかかったかも。」
「だったら呼んでくれればよかったのに!」
「こっちの、ちぃかちゃんが手伝ってくれたから秋斗呼ぶ必要なかったの。」
いきなり話に出された!
秋王子がこっちを見て、にこっと王子スマイルを浮かべた。
「ゆきを助けてくれてありがとう!!」
「いいいいいいいえええええっ。そんなっ。」
「ゆき、そろそろ戻らないと仕事が。」
「だよねー。うっはーあの鬼会長め。私への仕事量、倍にしたんだよ!?それで嫌な顔したら『あれ?無理ですか?今年の首席は大したことありませんね。』ってのたまったんだよ!?絶対やりきってやる…!目にもの見せてやる!」
「ゆき、会長にいいように使われてる気がするよ…。」
それから彼女は立ち上がってこっちを見た。
「それ、飲み終わった?」
「え、あ、うん。」
「一緒に捨てとくから、貸して?」
あまりに自然にゴミを取っていく。
百聞は一見に如かず。
彼女はすごくいい人だ。
それから彼女は、あたしに声をかけてくれた。
「じゃあまたね、ちぃかちゃん!またどっかで会ったら!…あ、でも、みんなの前だと私と話さない方がいいかも。」
「そんなことない!!!」
あたしが直ぐに言うと、相田さんはちょっと驚いている様子だった。
「あたし、自分の目で確かめたし。えっと、雪ちゃん、お仕事頑張ってね!!」
そう言うと、雪ちゃんは華が咲いたように、あたしが人生で今まで見た中で一番綺麗な笑顔を浮かべて手を振ってくれた。
それからあたしは、あの日教室で話していたみんなとさりげなく距離を置くようにした。
苛められない程度に。
それでクラスの他の子たちと今は仲良くしてる。
あたしには勇気がないから、みんなに雪ちゃんのいいところを伝えることはできない。
でも。
コンコン。
「あのーすみません、ファンクラブ入会希望なんですけどー。」
「え?女の子?ここ、あれだよ?相田雪さんのだよ?」
「護衛部隊とかいうわけのわかんない苛め集団からのスパイはお断りだよ?」
「分かってます。むしろ、雪ちゃんのファンなんです!」
あたしは明るく笑って言った。
おしまい