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ゲーム補正を求めて奮闘しよう!  作者: わんわんこ
【高校1年生編・後半】
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収益でクリスマスパーティーの計画を立てよう

4月17日に登場人物の雨の欄を追加しました。これで登場人物欄を全部埋めることができました!

12月になった。とうとう木枯らしが吹く季節になり、かなり寒い。

君恋祭でぶっ倒れた私はあの後、先輩や秋斗を始めとする生徒会の友達、先生に平謝りした。キャンプファイヤーの後片付けなどの仕事全てをみんなに任せっきりにしてしまったのだから大迷惑をかけたことになる。みんな気にしていなかったし、愛ちゃん先生なんて、「いいのよん、ちょっと得したくらいに思っておけば。」と言ってくれたので助かった。

そして平穏な日常生活が戻ってきた。

いや、平穏か?と言われると実際はそうも言いきれない。

「雪、気づいてるんでしょ?」

「何に?」

「最近の夢城愛佳。上林くんのところにばかり行ってるわよ?」

「そうみたいだね。」

今も遠くの方で、夢城さんが冬馬くんを呼び止めて何か話をしている。

「標的を上林くん個別コースに絞ったのかしら?上林くんなら秋斗くんほど嫌われてないからね。」

「まぁ、そうなのかもね。」

「なんかあっさりね?」

「そう?前からでしょ?そろそろ生徒会の方行ってくるね。」

「ん。いってらー。」

あっさり、か。

本当にそうだったらどれだけいいだろう。



私は一人で生徒会室に向かう。今日は君恋祭の売り上げ報告のまとめなのだ。君恋祭で出た収益は各部ないしクラスで使っていいのだが、一定額を学校に納める必要があるのでそれのチェック。これはミスが許されないので会計の桜井先輩や秋斗だけでなくてみんなで二重三重のチェックをすることになっている。まぁ、実際にはほとんどの部署では赤字スレスレ。人が多く来ても材料費やら何やらで使うから、結局打ち上げ代くらいしか残らないのが現実だ。

そんな中。

「茶道部はすごいねぇ!ばっちり黒字だよぉ!」

こめちゃんが嬉しそうに話している。

「愛ちゃん先生のお家の和菓子高いはずなのにどうしてですか?」

「そりゃあ原価ギリギリに抑えているからに決まってるでしょう?うちの文化祭での人気度はとても高いんだからねん。よりたくさんのお客様に来てもらいたいじゃない?」

愛ちゃん先生は鼻高々だ。

「これ、茶道部の打ち上げに使い切るには多いですよね?」

「そうね、海月くん。だから一部は生徒会に回したわよ?」

「え?」

「今年の一年生はほとんど生徒会役員でしょう?頑張ってくれていたからって横山さんたちも納得してたわ。茶道部の打ち上げはあの後やっちゃったから相田さんは参加できなかったのよねん?」

「すみません。いろいろと…。」

「いいのよ。そこでね、このお金を使って生徒会の子たちでクリスマスパーティーをやったらどうかしら?」

「クリスマスパーティー、ですか?」

冬馬くんが不思議そうに言う。

「そうよ。生徒会での打ち上げはしてなかったしねん、それにこの後すぐに期末試験があるからみなさんの時間は取れないでしょう?」

「いいですねぇ!みんなでクリスマス!!」

こめちゃんが飛び上がって喜んでいる。

「どうせだったら遊たちも呼べたらいいな。」

「新田、野口くんたちのことか?」

「はい、そうです。茶道部で仲が良くて。」

「俺たちは別に構わないぞ?彼らとは天夢の編入の時に大分話したからな。お前らのことすごく楽しそうに話してたぞ。」

「いいんですか?未羽とかも呼んで。生徒会じゃないんですけど…。」

「仲良いだろう、雪くん。もともとは茶道部の売り上げなわけだし!それにみんな一緒の方が楽しいじゃないか。」

「そうなのです!みんなで盛り上がるのは楽しいのです!」

「それであれば天夢の彼らも呼んであげましょうか。彼らは来年から生徒会を天夢に作ると言っていましたし、話も出来ますからね。」

「女の子や綺麗な男の子は多ければ多い方がいい!白猫ちゃんの弟くんも予定が合えば呼んでみてくれないかい?来年絶対入ってくれるんだったらちょっとくらいフライングしてもいいじゃないか!」

「太陽まで!お邪魔じゃないですか?」

「受験生の子に迷惑じゃなければ私たちは問題ないですよ。」

にこにこする四季先生も了承してくれる。

太陽なら間違いなく行くと言うだろうな。

「じゃあ茶道部のみんなと太陽には私が。」

「斉には俺が言っとくよ。」

「新田、お前ちゃんと雹にも声かけろよ?」

「分かってる!もうゆきとは『友達』だし?伝えるようにちゃんと言っとくよ!」



昼休みの作業が終わり、午後は家庭科の授業。女子は調理実習だ。君恋では調理実習は女子だけ。男子は裁縫になっている。なんて素晴らしい制度だろう!

それはあんたが裁縫苦手だからでしょ?と突っ込まれかねないけれど、こう思っているのは私だけではない。この授業は男女別である関係で、他クラス合同で行われる。クラスを越えてグループを組むことが認められているので結構人気だ。

私と未羽とこめちゃんは当然明美、京子と一緒に組んでいる。

「え、生徒会のクリスマスパーティー?!私たち行っていいの?!」

「うん、先輩や先生方が是非どうぞって。」

「うひゃあああぁやっほ―――――い!」

大声で叫んだ未羽は、同時に手に持っていた粉入りボウルを振り回したもんだから、家庭科の教諭に捕まって隅っこでガミガミと説教をくらっている。大げさだと笑うことはできない。全攻略対象者が集まるんだから、盗聴で知っていたとしてもこの子にとったら絶叫ものだ。きっと例のレコーダーの他、たくさんの盗聴機と隠しカメラが出動するんだろう。

「そ、それは東堂先輩もいらっしゃるんですわね…。」

京子が嬉しそうに頰を染めている。

うんうん、可愛らしい。

クッキーを作る手を休めず、話を続ける。

「あ、明美、雨くんも来るよ?」

「げ。なんで?!」

「雹くんたちを中心として来年から天夢高校にも生徒会を作るんだって。それで話す機会をって、会長が。」

「ううう。あいつがいるのか…。でもそれに行かないのは損だしなぁ…。」

「そうなの〜!雹くんたちも来るの〜!みんないるんだよ~?明美ちゃんも、行こうよ、ね?」

かつてこめちゃんの上目遣いおねだりに勝てた人がいただろうか。

「わ、分かった、行くわ。」

これで雨くん参加はほぼ確定したな。引っ越しまでした彼のことだから、クリスマスに明美と過ごせると知ったら、例え当日39度の熱が出たとしても這ってでも来るだろう。

「場所はどこですの?」

「それがね、まだ決まってないんだよね。愛ちゃん先生が探してくれるって言ってたから多分平気だと思うけど。」

「四季先生じゃないんですわね!安心ですわ!」

先生!生徒からの信頼0ですよ。



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