第92話「きつねびをさがして」
秋の夕方、山や林の奥で「きつねび」が見られるという言い伝えがあります。
今日は子どもたちがドキドキしながら、そのふしぎな光を探したお話です。
ある日の放課後。
さくらちゃん、ゆうたくん、みなとくんは、近くの小さな林にやってきました。
「ここで“きつねび”が見られるんだって!」
ゆうたくんが得意げに言うと、さくらちゃんは目を丸くしました。
「ほんとに? おばけじゃないの?」
「ちがうよ、ほら、不思議な光がふわふわするんだって」
三人はわくわくしながら林の奥へ入っていきます。
夕やけがだんだんと夜に変わるころ。
しんと静かな林の中で、赤や黄色の落ち葉が足もとでかさかさ。
「……あっ!」
みなとくんが指さした先に、小さな光がふわりとゆれました。
まるでホタルのように、木の根元でちらちら光っています。
「きつねびだ!」
三人は声をひそめながら近づきました。
でもよく見ると、それは落ち葉の間に光る小さな虫。
でもその光はとてもきれいで、本当に魔法みたいに見えました。
「きつねが遊んでるみたいだね」
さくらちゃんがつぶやくと、三人はにこにこしながら光を見守りました。
夜が深くなる前に家へ帰りながら、みんなの心には「ほんもののきつねびを見たんだ!」というわくわくがのこりました。
むかしから伝えられてきた「きつねび」。
本当は虫や光のいたずらかもしれませんが、子どもたちの目にはふしぎな冒険の光に見えるのです。
みなさんも夕方の林を歩くときは、ぜひ足もとや木の影をのぞいてみてくださいね。




