第89話「あきかぜとふうせん」
秋の空にふわふわと浮かぶ風船。
今日は、子どもたちが「秋風」といっしょにふうせんを追いかけたお話です。
土曜日の午後。
広場では町のおまつりがひらかれていて、子どもたちに風船が配られていました。
「わあ、青い空にぴったり!」
さくらちゃんは赤い風船を、ゆうたくんは青、みなとくんは黄色の風船を受け取りました。
三人はしばらく、風船をゆらゆらさせて歩いていましたが――。
ひゅううっと強い秋風が吹いてきました。
「あっ、ひもがはずれた!」
みなとくんの黄色い風船が空へと舞い上がっていきます。
「まってー!」
三人は広場を飛び出して追いかけました。
風船は木の上をふわり、川の上をひらり、秋風にのってどんどん遠くへ。
橋を渡ったところで、ふうせんは電線の近くにひっかかりそうに。
でも、また風がふいて、すーっと広場の方に戻ってきました。
「やった、つかまえられる!」
さくらちゃんがジャンプして、ぎりぎりのところで黄色い風船をキャッチ。
みなとくんは胸をなでおろし、
「ありがとう! あきかぜと追いかけっこしたみたいだったね」
三人は風船を大事に抱えながら、再びまつりへと戻っていきました。
風船が空に飛んでいくと、あっという間に小さな点になってしまいます。
でも追いかけてつかまえられたら、特別な思い出になりますね。
秋風といっしょに遊ぶような気持ちで、大切に風船を持って歩きたいものです。




