第56話「赤とんぼをおいかけて」
秋になると、空をすいすい飛ぶ赤とんぼを見かけます。
あかい羽根が夕やけに映えて、とてもきれい。
今日は、さくらちゃんたちが赤とんぼを追いかけた日の物語です。
放課後の公園。
さくらちゃんとゆうたくん、みなとくんは、広場で鬼ごっこをしていました。
ふと、さくらちゃんが空を見上げて叫びました。
「見て! 赤とんぼだ!」
空には、赤い小さな影がスイスイと飛んでいます。
夕やけ空に、羽がきらきら光っていました。
「つかまえてみよう!」
三人は駆け出しました。
でも、赤とんぼはふわっと上に飛んだり、スーッと横に流れたり。
もう少しで手が届きそうなのに、するりと逃げてしまいます。
「ぜったい捕まえる!」
ゆうたくんがジャンプ! ――けれど、空振り。
みなとくんは帽子をふり回しましたが、それも失敗。
さくらちゃんがそっと両手を広げると……ひらり。
赤とんぼが、さくらちゃんの指先にとまりました。
「やったー!」
三人は大喜びで顔を見合わせました。
でも、しばらくすると赤とんぼはまた羽をひらひら動かし、夕やけの空へ飛んでいきました。
「またね!」
三人は手をふり、秋風にのって小さくなっていく赤い羽をいつまでも見つめていました。
赤とんぼは、秋のおとずれを教えてくれる小さなともだちです。
つかまえても、すぐに空へ帰してあげると、またどこかで会えるかもしれません。
みなさんも秋の空を見上げて、赤とんぼを探してみてくださいね。




