表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まいにちの小さな冒険 友達や家族と楽しむ毎日の発見  作者: たむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

215/225

第215話「星の本をさがして」

見つけたかけらは、夜空や星座の絵につながっているのかもしれません。

もしそうなら、どんな星の名前なのか、調べてみたくなります。

次の日の昼休み、三人は図書室へ行くことにしました。

 次の日の昼休み、あかりちゃんたちは給食を食べ終わると、すぐに顔を見合わせました。


「行こうか」

 あかりちゃんが言うと、ゆうとくんとはるとくんがうなずきます。


「今日は図書室だね」

「星の本、あるかな」


 三人はろうかを歩いて、図書室へ向かいました。

 窓の外は明るくて、校庭では元気な声が聞こえています。

 でも、図書室の近くまで来ると、まわりはだんだんしずかになりました。


 図書室のドアを開けると、紙のにおいと、やわらかな光が迎えてくれます。

 本棚には、物語の本、図鑑、むかし話の本が、きれいに並んでいました。


「こんにちは」

 あかりちゃんが小さな声で言うと、図書の先生がにっこり笑います。


「いらっしゃい。今日は何をさがすの?」

「星の本です」

 ゆうとくんが答えました。


「星座の本でもいいです」

 はるとくんがつけたします。


「まあ、いいわね」

 図書の先生はやさしくうなずいて、奥の本棚を指さしました。

「図鑑のコーナーに、空や宇宙の本があるわよ」


「ありがとうございます」

 三人は小声でお礼を言って、本棚のほうへ向かいました。


 図鑑のコーナーには、青や黒の表紙の本がたくさん並んでいました。

 月の本。

 太陽の本。

 惑星の本。

 そして、星座の本。


「あった!」

 あかりちゃんが目を輝かせます。


 ゆうとくんが、少し大きめの星座の本を取りました。

 表紙には、夜空に星がきらきら光っていて、その上に線でつないだ星座の絵がかかれています。


「これ、見てみよう」

 三人は近くの机にすわって、本をそっと開きました。


 最初のページには、空いっぱいの星の写真。

 その次には、季節ごとの星座の紹介。

 白い線でつながれた星の形の横に、いろいろな絵がのっています。


「わあ……」

 あかりちゃんは思わず声をもらしました。


「きれいだね」

 はるとくんも、ページをのぞきこみます。


 しし座。

 さそり座。

 はくちょう座。

 そして、ページをめくっていくと――


「あっ」

 ゆうとくんが指を止めました。


 そこには、大きな羽のある馬の絵がありました。

 星を線でつないだ形の横に、白い羽を広げた馬が、空をかけるようにかかれています。


「これだ!」

 あかりちゃんが小さく声を上げます。


「ペガサス座」

 はるとくんが、ページの文字を読みました。

「やっぱりあった」


 三人は顔を見合わせます。

 昨日、教室で話していた“羽のある馬”が、本の中にほんとうにいたのです。


「見て、羽」

 あかりちゃんが絵を指さしました。


 白く広がった羽。

 夜空の中を飛ぶ姿。

 青いかけらと、白いかけらと、月のような絵を思い出すと、どこか似ています。


「でも」

 ゆうとくんが少し考える顔で言いました。

「月はこの絵にないね」


「ほんとだ」

 あかりちゃんもページを見つめました。

「空と星と馬はあるけど、月はない」


「じゃあ、ペガサスだけじゃないのかも」

 はるとくんが言います。

「別の絵もまざってるのかな」


 三人はもう少し本をめくってみました。


 すると、別のページに、細い月が描かれた夜空の絵がありました。

 そこには、星座の名前だけでなく、夜空の背景の説明もあります。


「ほら」

 ゆうとくんがそのページを指さしました。

「星座の絵の後ろに、月を描くこともあるんだ」


「じゃあ、かけらの絵は、星座そのものじゃなくて……」

 あかりちゃんがゆっくり言います。


「星座の絵がついた、何か」

 はるとくんが続けました。


「何か?」

「うん。たとえば、看板とか、かざりとか」


 三人は、しばらく考えこみました。


 月の絵。

 星のある青い空。

 羽のような白いかけら。

 それらが全部そろうなら、たしかに「夜空の絵が描かれた何か」に思えます。


「ねえ」

 あかりちゃんが、本の端をおさえながら言いました。

「学校に、昔、星の絵があったのかな」


「理科の掲示とか?」

 はるとくんが言います。


「でも、木の下にうまってたんだよ」

 ゆうとくんが首をかしげました。

「ふつうにかざってたものなら、なんであんなところにあるんだろう」


 たしかに、そのとおりです。

 だれかがなくしたのか。

 わざと隠したのか。

 それとも、ずっと前に埋もれてしまったのか。


 三人の前で、なぞは少しだけ形を見せて、またわからなくなりました。


 そのとき、あかりちゃんの目に、ページのすみにある小さな絵がとまりました。


「見て」

 二人がのぞきこみます。


 そこには、星座早見ばんの絵がありました。

 丸い板に、夜空の星が描かれていて、くるくる回して使う道具です。


「これ……」

 あかりちゃんがつぶやきました。

「丸い」


「ほんとだ」

 はるとくんが目を丸くします。


「かけらも、もしかしたら……」

 ゆうとくんが、手で丸い形を作りました。

「もともと丸いものの一部なのかも」


 三人は、はっとしました。


 月のかけらも、青い空のかけらも、白い羽のかけらも、ぜんぶひとつの丸い板の上に描かれていた――

 そんな想像が、急に本物らしく思えてきたのです。


「だから、かけらなんだ」

 あかりちゃんが言いました。


「われたのかな」

「それとも、ばらばらになっちゃったのかも」


 三人は本と顔を見比べながら、しばらく胸をどきどきさせていました。


 そのとき、昼休みの終わりを知らせるチャイムが鳴りました。


「あっ、もう時間だ」

「早いなあ」

「でも、少しわかったね」


 本を閉じながら、ゆうとくんが言いました。

「ぼく、ペガサスは関係あると思う」


「うん、わたしも」

 あかりちゃんは大きくうなずきました。

「それに、丸い板かもしれない」


「じゃあ、つぎは」

 はるとくんが静かに言います。

「木の下のかけらが、丸くならぶかどうか見てみよう」


 三人は本をもとの棚へ返して、教室へ向かいました。


 ろうかを歩きながら、あかりちゃんは窓の外の空を見ました。

 昼の空には、まだ星は見えません。

 けれど、夜になれば、そのどこかにペガサス座も出てくるのかもしれません。


 もし木の下にねむっているかけらが、本当に空の物語の一部なら。

 その続きを見つけるのは、なんだか夜空のひみつをひろうことに似ている気がしました。

図書室で調べてみると、羽のある馬の星座「ペガサス座」が見つかりました。

けれど、見つけたかけらは、ただの星座の絵ではなく、何か丸いものに描かれていたのかもしれません。

三人のひみつは、少しずつ“星の道具”のような形を見せはじめています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ