第109話 なくしたえんぴつ
学校で使っている文ぼう具って、いつのまにかどこかへ行ってしまうことがありますよね。今日は、しょうたくんとりさちゃんが「なくしたえんぴつ」をめぐってすごした、ちょっと心あたたまる一日のお話です。
算数のじゅぎょうが始まる前。
しょうたくんは筆ばこをのぞいて、顔をしかめた。
「あれ? えんぴつが一本たりないぞ……」
昨日まで使っていた青いえんぴつが、見あたらないのだ。
「どうしたの?」
となりの席のりさちゃんが声をかけた。
「えんぴつがなくなっちゃったんだ。気に入ってたのになぁ」
すると、りさちゃんが自分の筆ばこから一本えんぴつを出した。
「じゃあ、これ貸してあげるよ」
「でも、それじゃりさちゃんが困るでしょ」
「いいの。私は予備を持ってきてるから」
しょうたくんは「ありがとう!」とにっこりして、そのえんぴつで算数をといた。
お昼休み。
クラスのみんなで教室をそうじしていると、黒板の下からコロンと何かが出てきた。
「ん? これ……」
拾い上げてみると、それはしょうたくんの青いえんぴつだった。
すこし短くなっているけれど、名前シールがちゃんと貼ってある。
「やったー! 見つかった!」
しょうたくんは大よろこびでりさちゃんに見せた。
「よかったね!」
「ほんとだよ。りさちゃんが貸してくれたから、授業も困らなかったよ」
しょうたくんは貸してもらったえんぴつをていねいにけずって、きれいにして返した。
「ありがとう、りさちゃん。これからはなくさないように気をつける!」
「うん。でももしまたなくしたら、そのときはまた貸してあげるよ」
ふたりは顔を見合わせて笑った。
なくし物はちょっと困るけれど、見つかったときのうれしさは特別です。そして、友だちに助けてもらったことも、きっと心に残る思い出になりますね。




